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魔王さまも食べてみたい  作者: 四葩
5/10

It's time to eat. 【5】

 場が静まり、皇女の様子も落ち着いてきた頃に、誰かがぽつりと呟いた。


「でも……私たち、地球に帰れるのかな…?」


 まぁ、それもそうだろう。本来であれば真っ先に確認が取られる事柄なのだから。どこかの天納さんが突っ走りさえしなかったのならば、の話だが。


「あ…………確かに…」

「俺たち、ずっとこっちにいるのか…?」


  一人の発言を契機に、生徒たちの心に拭えない懸念が生じる。


「それに対しましては、必ず元の世界に帰れる…とは断言致しかねます…」


 皇女の言葉で懸念が確信に成りつつあるのか、誰もがその顔を歪め始める。


「ですが、伝承には勇者様を召喚する方法が記されていました。我々の世界へと御呼びして、元の世界へと還せない道理はございません。幸い伝承には未だ解明されていない部分もございます。未解明の伝承を早急に解き明かし、勇者様が魔王を討ち倒すその頃までには、必ず元の世界へと還す方法を探しだしてみせます…!」


 皇女は右手を胸へと当て、左手を外側へと力強く振るいながら、そう熱弁する。


 暗闇に光明が射したかの如く皇女を見詰める生徒たち。


 あー、うん。分からなくもないよ、その気持ちは。

 人は窮地に立たされた時、どうしようもなく何かに縋りたくなるものだからね。


「聞いたかい、皆! 僕たちはただ、強くなって、魔王を倒すことだけに力を注げば良いんだ…!!」


 天納、お前扇動家の才能あるよ…。


 ◇


 結局、現状の説明はそれで終了し、俺たちは今皇国の料理を振る舞われている。


 食事を摂っている俺たちへと皇女が静かに口を開く。


「……勇者様には常人を上回る力があるとはいえ、魔王はそれを踏まえてなお、強大に勇者様の前へと立ちはだかります」


 それを受けて食事を一時中断する生徒たち。

 この料理美味しいな。焼いた生地と中身の具材がなんともマッチしていて…。


「……ちょ、ちょっと、東雲くん…!?」


 …桐生さんがなんか凄い焦ってるけど、どうしたんだろうね?

 果実を水で割った飲み物で喉を潤しながら、ほんの少しの疑問を抱く。……まぁ良いや。


「この世界には命有るもの全てに神格があり、ステータスがあり、魔力が宿ります。異世界──つまりこの世界、アークに召喚されたばかりの勇者様は総じて神格が1の状態です」


 ふむふむ…もぐもぐ…ごっくん。…あ、あれも美味しそう。


「~~~っ!? …東雲くぅん……っ!?」


 桐生さんはさっきから何を驚いているのか。ちゃんと皇女の話は聞いた方が良いと思うんだけどなー。…今後の身の振り方を決める上でも。

 ほら、他の生徒も食事もしないでちゃんと話聞いてるよ?


「そこで勇者様には、我々皇国の有する皇国聖騎士軍…その軍団長であるマリアに教えを受け、実力を付けていただきます」

 へぇ……。この世界には、レベルやステータスなんてものまで存在するのか。いよいよファンタジー世界そのまんまだな。


 ステータスを確認するためには、……念じれば良いのかな?


────────────────────────────


 名前  東雲 明

 神格  1

 年齢  16歳

 性別  男


 称号 【境界を越えし者】



 HP 1000


 MP 1000


 筋力 100


 生命 100


 魔力 1000


 技巧 100


 敏捷 100


 スキル 【絶食Lv.10】【飽食Lv.03】

     【言語理解Lv.─】


 特性  【悪食】【霜界】

     【魔法適性】【魔術適性】【魔力親和性】



────────────────────────────


 …ふーん。どのくらいの強さなのか全然分かんないや。


「……東雲くん、ってばぁ……っ!!」


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