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捨てられ勇者逃亡記  作者: もぐささん
7/7

キアン・テスター道中記

まだまだ過去編続きます。

~キアン・テスター~

私が十二歳の時に私の家はなくなった。

その日は、死ぬことを覚悟した日だった。

父は目の前で切り殺され、母と姉は凌辱され死んだ。私は駆けつけた騎士たちに連れられて難を逃れることができた。

長い髪は切り落され、髪の長さもバラバラにされてしまってけどなんとか無事に逃げ出せた

その後、駆けつけてくれた兄に引き渡され、私は兄に連れられ森の中を走りながら泣いていた。

戦争だった。

私の父が治める領地は隣の国との国境の近くにあり真っ先に狙われるところにあった。

国の軍は遅く、攻めてくる敵軍を食い止めるのは次の領地で防衛線を敷き迎え撃つつもりだ。

私の住む領地は見捨てられたのだ。兄は軍に身を置きいち早く気づき誰か助けられないかと早馬を走らせて危険を承知で帰ってきてくれたのだ。だけど、敵軍の騎兵はすぐそこまで迫ってきている。

兄が馬から降りる。

「キアン!しっかりしろ!おまえは生きるんだ!」

私は目の前で行われた行為に心が折れてしまっていた。母が、姉が、目の前で犯され私はなんとか書庫の中からその行為を見ていることしかできなかった。

兄が来てくれなければ私も同じようにされていただろう。

そう思うと涙が止まらない。

すぐ後ろから敵の騎兵が迫ってきている。兄は剣を引き抜き迎え撃つつもりのようだ。

「兄様!」

兄が馬の尻を叩く。


「キアンお前は生きてテスター家を復興させろ!」


馬が走り出す。

兄と騎兵の戦闘が始まったようだが、しょせん一騎だ迂回した騎兵が私が乗っている馬に迫ってくる。

馬に乗れるとはいえ訓練された騎兵の操る馬と小娘の操る馬とでは馬の力を引き出すには至らず、馬は追いつかれ、横腹に体当たりされ馬が転倒する。

なんとか起き上がり逃げようとするが、騎士たちは気色の悪い顔を顔に張り付け馬に乗って追いかけてくる

もう少しで捕まる。


「騎兵が三か、将の首はなし、しけてるが騎士首には違いない。一個幾らかにはなるか……」

その時矢が先頭を走っていた騎兵の首に当たる。馬が騎手に首を引かれ転倒するのが見えた。転倒した馬にけつまづいていて後方を走っていた馬が巻き込まれて転倒する。

そのすぐ後、一人の少年が木の上から降りてきて素早く転倒した騎士に躍りかかり、順番に一人づつ首に剣を刺していく、片手剣だろう。

次々と止めを刺していく中で一人の騎士が起き上がり剣を少年背後に向けて切りかかろうとしている。

なんとか声に出して少年に教えようとしたが声が出ない。

だが、そんなことは解っているとばかりに少年は振り返りざまに剣を水平に持ち替え、相手の剣に触れることなく鎧のスキを突き騎士を絶命させる。

「さて、そこの奴!このテスター領の奴か!」

私に顔を向け問いただしてくる。

「兄様が向こうで戦ってるの!助けて!」

この少年は強いもしかしたら兄様は助かるかもしれない!、そう思って助けを願うと。

「そんなことはいい!その場所に将はいたか!」

「そんなことって何よ!兄様が今死に物狂いで戦ってくれてるのよ!助けてよ!」

「悪いが俺にとっては、兄様とやらより金が要るんでね、そこに将クラスの奴がいたならついでに助けてやる」

「……たぶんいたと思うよ、だから助けて!」

「ふん……、嘘かほんとかわかったもんじゃないが、まあ、こいつらよりマシなのがいるかもしれないしな、案内しろ」

何よこいつ!、偉そうに、でも兄様の命には代えられない。

「うん……、どっちから来たかわかんない……」

泣きそうになる私を見て少年は困惑した様子になる。

「ん……、まあいい、だいたい馬のひづめの後を追っていけばいいからな!、お前もついてこい、ここにいても連中につかまって姦されるか、遊びで殺されるかだ。さっさと行くぞ!」

無理やり私の手を取って連れて行こうとする少年。

「い……痛いよ、ゆっくりして……」

「な・なんて言い方するんだよ!、お前の兄様とやらが待ってるんだろ!急ぐんだよ」

少年が顔を赤くして怒鳴ってくる……、なんかかわいい。

「うん!」

助けようとしてくれてるんだ!。

「あ、名前なんていうの、私キアン、キアンテスター」

「名前…俺はジーン、ただのジーンだ」

これがジーンとの初めての出会いだった。この後はすさまじかった、なんとか持ちこたえていた兄様に、ジーンが駆けつけて、追手の兵約10をジーンは次から次に倒して兄様や私を助けてくれた。

それが初めての出会いだった。


・・・・・・・・・・・・・・

私はそれからテスター領から離れ、少し離れた街に引っ越した。

貴族としての仕事は兄に押し付けた形になったが、兄はあんなことがあったのだから仕方ないと、私を貴族の枠組みから離してくれた。

それからジーンとは度々会うことになった、私が引っ越したのはジーンがよく来る街だったからだ。

まあ、それが狙いだったんだから仕方ない!。

後から知った事だが、ジーンはあれが傭兵としての初陣だったらしい、その後幾度かの戦争に参加し、武勲を挙げたそうだが、本人の口からは聞いたことがない。

なんでも、弟さんの病気に効くお薬のためだったらしい、お金が必要、戦争がある、金になる。

こういう考えだったらしい、もう少しましなのなかったのとも思うが、そのおかげで助かったから何も言えない。

それなら私は、ジーンの助けになることをと思って、シーフになるべく冒険者ギルドに入って技を盗み、磨きをかけた。

3年後、ジーンは傭兵をやめていた……、弟さんの薬代が貯まったらしい、遅かったか。

それから、ジーンは大人しくなったけど、やたら武勇伝を聞くことになる。

やれ竜種を無傷で倒した、やれ巨人族にケンカを売って半殺しにしただのだ。

やっぱり私がついて、手助けしてやらないとと思っていると、やたら綺麗なお姉さん風の聖職者に連行?されて街に来た、なんか別れの挨拶がしたいらしい……。

どういう状況?。

「キアン俺、なんか勇者になって魔王領を開放するために、魔王を殺しに行かなくっちゃいけないらしい、今生の別れになるかもしれない。今まで仲良くしてくれてありがとう……。お前のこと忘れないから」

腕に縄をされた挙句、涙ぐむ姿は勇者に姿には見えない…、どちらかというとあっち系の場所に連れていかれる奴っぽい。

現在進行形で助けてほしいのは私だよ!

「ごめん!、話はあとにして、今私絶賛ピンチの真っ最中なんだよぅ!」

正直、現状はそんな話ができるような状況じゃぁない、私がいたパーティーの仲間が私が盗賊ギルドの幹部を殺害したと告発したのだ!。

「ああ、なんか外にいたな、ごめん友達だった?、なんか襲ってきたからとりあえず、川に流れてもらったけど駄目だった?」

「話をきけよう、絶賛ピンチだって言ってるじゃんか!って、外にいた盗賊ギルドの精鋭全部川に流したのかよう!」

なんとかピンチは切り抜けられたようだ。

「まあ、だいたいの事情は知ってるんだけどな……」

あっ、なんか大きく息吸ってる。

「このバカ野郎が!、なんでもっと早く言わないんだよ!」

「そんな姿の奴に言われたくないよぅ……」

大声を出すとジーンは縄を引きちぎると、外に歩き出す。

「どこに行くんだよぅ、今街には盗賊ギルドの奴らがいっぱいいて危ないんだよぅ」

「ふんっ、襲ってきたら叩き潰せばいい、殺しにかかってきたら川に放流してやればいい」

「川に放流しても迷惑なだけだよぅ!」

少しずれたところでツッコんでしまう……、けど子供の時から変わらないなぁ、ジーンは少し強引だけど誰かのために平気で死地に飛び込んでいく、あの時握ってくれた手は少し震えていたように思う。

そんなジーンだから助けになってやりたい、そう思えるんだから。

「ちょっと待ってください!、あなたは勇者になって魔王領解放という大命があるのですから、こんなところで変な事件に首を突っ込んでいる時間などないのでうすよ!」

「大命なんて知るか!、俺の大事なもんに手を出そうっていうんだ、連中には知ってもらわなければならないんだよ。それでなれないっていうんなら最初っから願い下げだ!、プリズンでも断頭台でもすきに連れてけ!」

「断頭台って本当に何したの!」

「……わかりました。早々にこの事件を解決しましょう。それからあなた」

「はい!」

めちゃくちゃにらんでくるよう!

「この事件を解決したら一緒に旅に出てもらいます……、いいですね」

願ってもないことだ、やっとジーンの役に立てる。磨いてきた技や、集めたアイテムや武具がやっと本来の目的にかなう。

「わかったよ……、よろしくお願いしますよぅ!」

私たちはそれからほうぼう走り回り、真犯人である元仲間の妹に行きついた。

幹部の情婦をしていた妹の犯行だとわかり、犯行理由が幹部の子供を身ごもった彼女を殺そうとしたというものだった。

仲間が裏切ったのは、私への当てつけだったことから、半殺しでまあ許してやったけどねぇ。

当の盗賊ギルドは、ジーンが直接出向いて話をつけてくれた……、本当に話だけだったのだろうか?

まあ、直接盗賊ギルドの長が来て私にもう手は出さないと約束してくれたから、いうことはないけどねぇ。

それから私はジーンと、アインと名乗る聖職者と旅に出ることになる。

まあ、邪魔者がいるけど何とか排除……、仲良くやっていきたいと思います。




~~~~~~~~~~~~~

「この盗賊まがいのシーフ風情が!、さっさと先行して敵を見つけて来い!、お前ら等それぐらいしか能のないこそ泥なんだからな!」

この坊ちゃんは何言ってるんだろう、シーフはパーティーの要になって危険かパーティーを守ったり罠を解除したりする重要な仕事、ジーンはいつもそう言い、私に感謝してくれていた。

それなのにこのカマセ、やっぱりアインの提案に乗るんじゃなかった。

アインの提案に乗ったふりをして、後からパーティーを出てジーンを追いかけるつもりだったけど、めちゃくちゃはやい速度で走っていきやがった。

正直言うと、ジーンとは何度も体を合わせたことがあった。たぶんみんなもそうだと思う。だから愛されていると思っていたし、今でも愛してくれていると思う。

やっぱり先日の件で責めすぎたか……、アインのせいだ、この女がジーンを傷つけたんだ。

「はい、わかりました!少し待っていてくださいね!」

「ふん早くしろ、まあ、私の役に少しでも立ったのならお情けぐらいくれてやる……、まあせいぜいしっかりと働けよ」

はい!、これからあなたを地獄の底に叩き落してあげますよぅ!、この女とねぇ!。

そう思っていると、アインが近づいてきて。

「この先に強大な力を持った魔獣がいます……、一時的に手を組みましょう、ジーンを探すのに私の力は役に立ちますよ」

……この女殺気に気付いてやがった……。

「……わかったよ、それまでの間の休戦ってやつだからねぇ……」

まあいいか、それよりこのカマセをどうにかするのが先か……。

「この盗賊まがいが!、さっさとしないか!、お前が先頭に行って無事を確かめないと進めないだろうが!、このバカ女が!」

ああ早く、この坊ちゃんの顔が恐怖にゆがまないかな。


タノシミダナァ。




次はケイです。

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