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捨てられ勇者逃亡記  作者: もぐささん
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オレノナカニナニカガイル

頑張っていきます。

目の前に少女がいる。

少女は小柄ながらもの、切れ長の目に,きれいな白髪、黒いローブにとんがり帽子、帽子の先っぽは折れていた。

顔だちも整っていてなかなかの美人さんだ…将来が楽しみな少女だ!

見た目からして魔術師か?

「道を教えてください」

俺は腰に手を当てて聞いてみる。

「何言っとるんじゃ!、この変態が!」

彼女の罵倒を受けて、俺は自分の恰好が人にものを尋ねる恰好ではないことにきずく。

腰に手を当てて人にものを尋ねるのは失礼だったか。

俺は姿勢を正して。

「道を教えてください」

「そんなことを言っとるんじゃない!」

俺の何が気に食わないのだろう?彼女のキレている理由が思い浮かばない?。

この子は何を言ってるんだろう?。

「なんで、なんも着てないんじゃ!」

そういうことか。

「すまん、つい混乱して……」

「混乱して脱ぐってのも、変じゃな…」

「本能に身を任してみたんだ」

「真性の変態じゃな!」

彼女のツッコみに俺は身震いするも、自分の恰好が少女に対する恰好じゃないことにきずく。

「この変態が—!」

少女が走り去っていくの見送ってしまうも、まだ道がわからないままだ……。

「道を教えてから、行ってほしかった……」

コノキモチハナンダロウ……。


変態にあってしまった…。

まだドキドキする、パーティーとはぐれてしまいなんとか合流しようとしていると、目の前に全裸の男が現れて道を聞いてきた。

答えられるはずがない、自分も迷っているのだから、早く仲間と合流しないと。

焦る気持ちに拍車がかかる、自分のミスで仲間とはぐれたのだ。

仲間たちが食事の準備中に用を足しに出た折に、普通より大きなクモを見つけてしまい、恐怖から走り出してしまった。

今頃仲間達が心配しているはずだ。

そう思うと、情けなさから足を急がせてしまう。

今日が初めての冒険、知り合いの冒険者に同行させてもらって経験を積もうと思った矢先の出来事だ。

後でこっぴどく怒られるだろう。

まあ、こちらがわるいんだしぃ、怒られてやろう!。

と、なぜか上から目線になって、自分の心のケアを行ってみる。

「ん?この匂いは!」

仲間たちが作っていた料理のにおい!心がはやる。

開けた場所に出る、仲間たちがいた場所だ。

そこにいたのは……HENTAIでした……。


「なんでお前がここにいるんじゃー!」

「なんとなく追いかけて、先回りしてみた」

今度はちゃんと服を着ている、大丈夫だろう。

少女をつければ、この森から出れる。

そう思っていたんだが、腹が減っては何とやら…先回りしてこの場所についてみると、食事が準備されているじゃないか、少しぐらい食べても罰は当たらあないだろう、毒見だ。

「ここにいたみんなはどこに行ったんじゃ!」

怒鳴られてばかりだな…。

「?みんな?俺がここについたときには誰もいなかったぞ」

「嘘を…嘘じゃないのか?」

うつむいて顎に手を当てる。

「のう、おぬしここにはいつ頃ついたのじゃ?」

「君がつく、少し前だが?」

まだ何か考えているようだ。

「荒らされた形跡もない、かといって食料、道具の類は残っているようだしの……これはどういうことじゃ?」

彼女は自分の考えに没頭しているようだ。

邪魔しないよう俺は、この料理に舌鼓をうつとしよう、なかなかだね!

「さっきから何黙々と食っとるんじゃ!」

「食べないともったいないじゃないか…それに、騒いでいると、連中が騒ぎだして危険が増すぞ?」

首をかしげる、かわいいじゃないか。

「連中?何のことじゃ?」

「ほれ、そこいらで俺たちを下から覗いてる奴らだ」

「下から覗いてる?何のことを言っているのじゃ?」

「きずかないのか?ずっと覗いているぞ」

言葉がわかるのか?、この覗き魔が姿を現す。

‘デック‘醜悪な姿で、土の中に住み、森の奥の暗闇に潜み、時に人に害をなす妖精。

姿は小柄で、耳がとがっている、股下は隠しているようだが、上半身は裸、全員が弓などの武器を持っている。

こいつらがでてきたということは…まさかこの飯を?。

俺は食料を守るかのように前に出る、俺の飯だ!。

「なんで自分のものでもないのにそんな必死になっとるんじゃ!?」

「俺な腹が減ってるんだ、これを食い逃して餓死なんて嫌だ!」

「もっと気になることがあるじゃろうが!」

そんなやり取りよしていると、数体のデックが何かをしようと構え、何らかの力が連中から発せられようとしている。


”デック”小柄な体で地下に住み、一説では地下に都市を作ってすむという妖精の一種。

その性根はひねくれていて、悪質、人々に害になることを喜んでする忌まわしい存在。


「魔術!?」

少女が驚いている、そう魔術は魔導式がないと使えない…と普通の人間は思いがちだが、魔獣、魔物、魔族等は自分たちの固有魔術を持っていることが多い。

だから、何かする前に。

俺は小さな小瓶…中身は爆発呪が込められた”魔法薬”。

魔法薬は、魔術の効果を特殊な水に込めることができる、をポーチから出す。

これを連中の真ん中に放り込むと、爆発…かなりの威力だ…少し驚いた…。たかいでけはある!

密集してなかったので、ほぼ全てのデックが一撃でかたずいた。

「いきなりなにすんじゃ!」

少女が俺に蹴りかかってきた。

「先手必勝、これで連中と話がしやすくなった」

なにかあきれているようだが、おれは黙って近づいていく。

周りへの警戒は怠っていない。

「まだ生きているんだろ?さっきから動いているのがまるわかりだぞ?」

言葉がわかるんだろう、傷ついた体で這いながら俺から離れようとする。

俺はこれを放置して見逃す。

「お・おいあいつがいっていまうのじゃ!早くおわんと」

俺は、倒れているデックに剣を二回三回と一匹づつ刺して回りながら。

「下を見ろ」

少女が下を見てきずく、血痕が続いている。


「しばらく放置して追った方が安全だし、連中の住処がわかるかもしれない、そうでなくても方角がわかる。ここで何が起こったかわからんが、ここにいた冒険者はそこにいる可能性が高い。いまは落ち着いて待つことだな。それに、どういうわけかここには食料が残っている。食べないと損だぞ」

俺発言に少女はあきれたようにため息をつく。


しばらくして這って逃げたデックを追うことにする。

「わしの名前はアナトル・キアじゃ」

追う前に自己紹介をすることにした。

「俺はヴァイク、ただのヴァイクだ」

「まあ、変態にはかわらんじゃろうが、今は、わしの仲間を助けるのを手伝ってくれ」

変態は変わらないんだな、仲間があそこで野営の準備をしていて、彼女は一人はぐれてしまったようだ。

「その前に聞きたいんだが、アナトル…」

「アナでいいのじゃ、嫌じゃがな…」

嫌なんかい……。

「じゃあ、アナ君は魔術師か?」

「いいや、魔導士じゃよ」


魔導士は、魔力の流れを正常に作動させ、奇跡を起こすことができる回路を刻むことができる者たちのことだ。

魔導回路は、特定の素材を用いることで人間や亜人など以外にも本や、剣、杖などに刻むことができる。


「魔導士か、だったら何の力を宿した物を持ってるんだ?」

「教えるわけないじゃろ?、しょせんこの時だけの共闘じゃ、おぬしこそなんなんじゃ?剣も貧相、防具も見た限りただのどこにでもあるもん、そんな装備でよくこの森に来ることができたの、ここは危険度C指定の森じゃぞ」

こいつ、人には答えんくせに…。

「まあ元農民で今は、テンダンの街で冒険者をやってるだけのもんだよ」

付け加えると、元勇者だけどね。

「ふんっ、農民か」

見下した目で見てくる。

それから彼女は一度もこちらを見ようとしてこなかった。


「あれを見ろ」

「農民がわしに命令するな!」

なんなんだ、急に大声をそんなことをいってくる。

「ふんっ!」

勝手にずかずかと進んでいく、俺は一応後ろからついていく。

デックが、途中で息絶えている。

何かおかしい、地割れが起きてできた裂け目の手前だ。

その先なあるのは、少し離れた位置にある森だけ、そんなところにこいつは死の淵で来たのだろうか?

アナはずかずかと、デックの死骸に近づこうとしていと地割れから何かが飛び出してくる。

「アナッ!離れろっ!」

寸でのところで俺はアナに襲い掛かってきた何かの攻撃を防ぐことができたが、肩に何かが当たる。

「どいていろ!」

アナは俺を押しのけ、背負っていた本を突き出し、襲ってきたものに向ける。

「穿て!」

キーワードを唱えると本から、白い光が放たれ当たる。

襲ってきたものの正体は、デックだった。

デックは先程のものよりも、大きめで武装もしていたようだが…グロイ…。

デックは見る影もなくなってしまっていた。

「ふん!おぬしなどに守ってもらわんでも、このぐらいのやつはわしのてきじゃないわっ!」

あきれてしまうが、俺は肩に当たったものに目を向ける。

当たったものの正体は、黒い石だった。

拾い上げてみると黒い石にはびっしりと何かが刻まれていた。

「?これに何かが刻まれているんだが、何かわかるか?」

俺から石を奪い取ると、アナはじっと石に向き合う。

「これは、魔導式の様じゃが、何を示しているのかわからんのう」

なら、決まりだ、俺は目印を木に刻み、そこに石を埋める。

「…何をしとるんじゃ!それが何かもわからんのに、捨ててしまうのか!これだから農民風情がっ!」

いちいち農民を絡めてくるな…。

「だからこうして目印を刻んでるだろうが……、それに何かわからないものを長々ともって歩くなんて俺はできないんだ……、持ち歩きたいいんだったら、離れて歩いてくれ」

「いわれずとも、近づかんわ」

俺が埋めた石に、近づき掘り返している。

そうしていると、そうしているとぞろぞろと裂け目からデックが出てくる。

デックが吠える。

引くか、俺は腰に差していた小麦粉の入った小瓶を放る。

ここは森の中、それも木々がうっそうと生い茂る場所だ、風はあまり吹いていない、空気に滞留しやすい。

俺はアナを担いで逃げ出す。


「はなさんかー!」


頼むから暴れないでくれ…。








次話は新勇者パーティーの話です

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