4月3日
更新滞っててすいません。
国際連合本部
「──と、各国から寄せられた情報を基にした結果、今回の制裁は全て失敗、この結論で日本は新しい新兵器を条約に背いて建造し、使用したとの結論に達しました」
日本以外が出席している国連本部の会議場にて、議長がそう宣言する。
「それにしても、日本も恐ろしい兵器を作り上げましたな……」
「よもや、これを足がかりに世界征服を再び実行に移すのかもしれませぬな」
「あの者達は反省と言う言葉を知らないのでしょうか」
各国の代表が日本に向けて思い思いの呪詛をはく。 だが呪詛を吐いたところで日本が展開したと思われるあの障壁が消えるわけでもない、その為話はすぐにあの障壁への対策に移っていく。 だが今までの情報により……。
1.武器攻撃は無意味どころか、理屈は不明ながら跳ね返される。
2.日本人以外は障壁を通過できない。
3.中に居た日本人以外を完全に追放することが出来る能力がある。
などの情報は既に得ており、具体的な侵攻方法、破壊方法をどの国も提示できない状態である。 旧世代の核使用による放射能攻撃も検討されたが、日本に近い国への被害が強く懸念されるため却下された。 毒ガスなどによる攻撃も環境を考慮されて却下された、表向きは。 そしてそのときである。
「向こうから出てこさせれば良いでしょう。 このままその障壁を展開し、世界全てに攻撃の脅威を与え続けるというのであれば、我々は日本に対し、戦争ではなく、殲滅戦を仕掛ける用意があると。 かの障壁は確かに強固ではありますが、日本の周りの空と海を押さえて脅せばよいかと。 障壁ではなく、中にいる人間の心を砕けば良いでしょうな」
この提案があがったのは。 それは妙案であると話し合いが行なわれ、最終的に『日本の首相は次回の国連会議に出席する事、出席しなかった場合は、国連軍の総力を持って日本を包囲する』事を中心に据えた宣言が製作され、全ての国にそれは伝わる事になる。
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その頃の日本首相官邸
「報告を聞こう」
「はっ」
光は特殊部隊隊長、沢渡大佐に命じていた調査の報告を受けるところだった。 日本特殊部隊、コードネームは〈忍〉。 何でこんな名前なのかと言うと、武器を使わず、目立たず首相の目と耳になると言う前提で作られているため。 そしてコードネームも、海外にも有名になってしまった『ニンジャ』の意味を示す忍びからとっている。 木を隠すなら森の中の理屈である。
結局求められることが歴史上に居たスッパとかラッパとか言われていた彼らと、原点回帰してしまったと言うのも皮肉な話で、実は少数ではあるが、あまりにも害悪な海外の人間を消した事もある。 当然首相もそのときは海外から調べられるが、証拠不十分で解放される。 それだけの技術を特殊部隊〈忍〉は所持しているとお考え戴こう。 それから余計な話でではあるが、『すっぱ抜く』の語源はこの忍者の呼ばれ方からきている。
「ふむ……ある程度の不満や私に対するある程度の悪口では発動していないか、これならば恐怖政治に陥ることは無くて済みそうだ」
「はっ、私を含め部下達も確認しております」
光が〈忍〉に命じていたのは、魔法陣『カルマ・リフレクション』による発動、ならびに発動を受けた人間の調査である。 報告書には細かく書いてあるのだが、大雑把に報告を書き直すと……。
未発動
国や首相への愚痴や悪口(酒の場などでの「首相はいっぺん死んで来い」等)
喧嘩などによるお互いが怒った状態での罵りあい。
気心が知れた相手への軽い冗談とはっきり分かる範囲。
などである。 要するに酔っ払いに、日常などで起こりうる喧嘩、軽い軽口などでは引っかからない様子である。
「ふむ、これならばまず普通にすごしていれば引っかかるまい」
報告書を捲りながら光は細かく確認を取っていく。 そしていよいよ発動したとされる報告書の確認に入る。
発動
数人がかりで1人を暴行するイジメを1週間以上継続した者。
悪意を持って他者を自殺に追い込み、自分に益をもたらそうとした者。
泥棒行為を行い、放火をしようとした者。
人種、等の本人の責任が無い部分で激しい罵倒を行った者。
発動者にはそのような人間が対象になったと報告書には上がっていた。
「加えまして、人種差別や、イジメ、そういった行動を行っていた阿呆達は、日本から消える前にいた海外の者が大半であったと加えて報告させていただきます」
光への暗殺行為によってほぼいなくなった海外の尖兵達だが、それ以外にも裁きを受けていたらしい。 190国以上あるにも拘らず、狙撃等の攻撃回数が100回少々だったのは、一足お先にそういう場所で裁かれていたからと言うことのようだ。
「そうか。 ──本当にごく一部の国を除いて、義も仁も無くなってしまったな。 2000年前から嘆かれていたが……今はそれがより悪化している、か」
そう言って光は目を瞑る、せめてもの救いは、日本人同士の義と仁は強くなっている事だろうか。 支えあい、育てあい、共に歩く。 みんな並んで一等賞ではなく、競い合いつつもいざと言う時には手を差し伸べる、そんな人同士の熱さがある。
「はっ、無念ではありますが……」
沢渡大佐も同意の声を上げる。
「故に、今回の話は逃すわけには行かない、これから転移するまでも、転移した後も苦労を〈忍〉にはかけるが、すまん、頼むぞ」
光は本心を沢渡大佐に告げる。 世界が熾烈な攻撃を行うのはこれからであると予想できるだけに、目と耳の〈忍〉特殊チームは大事な存在になる。
「はっ、では、失礼いたします」
そういうと、沢渡大佐は姿を消す。 〈忍〉は独立部隊でもあり、首相でも使われている技術を知ることは厳しく禁止されている、そうしないと情報が漏れやすくなるからだ。 沢渡大佐がいなくなった首相専用の個室で重いため息をつく。
「さて、世界よ。 次はどんな下種な手段で来るつもりだ……?」
もっと早めに更新しようとは思っていたのですが
おっさんの方とか、リアルとか、色々ありまして遅くなっております。
本当にすみません。