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5月16日

今回ちょっと短いですが、どうかお許しを。ここで区切らないとすっきりしないので

 さて、そんなバカンスから戻ってきて心身ともにリフレッシュし新しい心構えと共に政務に励む光。無理のない範囲でだが、気力がみなぎっている為か、仕事の進みが早い。そんな充実している日々を送っている光の所に、SOSが入った。助けを求めてきたのは……


「どうか、日本皇国のお力をお貸しください……私達だけでは、手に余る事件が発生いたしまして」


 フォースハイム連合国のティアであった。話を聞くと、例の3機体の素材を集めるために鉱石を掘り出していた所、ある洞窟を掘り当ててしまったらしい。それだけならまだ問題はなかったのだが……鉱石を掘り起こしている人員の安全を確保するために洞窟内部を探索すると、内部でソウル・ガーディアンを発見。


 ソウル・ガーディアンと戦う事が目的ではない為、その場は引き上げたが……そのソウル・ガーディアンの先にある洞窟の壁に、有用な鉱石が多数含まれている事も魔法による調査で判明している。何とか鉱石を掘り出したいが、作業を行えば間違いなくソウル・ガーディアンを刺激してしまう。


 その、ソウル・ガーディアンと何とか穏便に事を済ませたい。しかし、その方法が思いつかない……とまで考えた所で、ティアはソウル・ガーディアンと対話をすることが出来た光の存在を思い出した。今まで私達はどうやってもコンタクトを取れない存在であったが、日本皇国ならもしかしたら、と考えて話を持ってきたとの事。


「ソウル・ガーディアン……確か、死亡した人や動物、モンスターなどが死に切れないほどの無念を残していたりするとまれに魔力と結びつき発生することがある現象でしたかな? そして、その場から動かない、守護するような動きを取る、と」


 光の独断では決められないので、大臣を会議室に緊急招集。大臣全員にティアの話を聞いてもらった。そして、確認を取る池田法務大臣の確認の言葉に、ティアが頷く。


「はい、その通りです。近寄らなければ何の問題もないので普段は近寄らぬようにしているのですが……今回はソウル・ガーディアンの近くにある鉱石が非常に質の良い物なので、何とかして手に入れたいというのも本音でして。しかし、ソウル・ガーディアンと戦えば甚大な被害が出る事はほぼ間違いなく、今の時期にそんな被害を出すわけには行きません」


 以前の説明で、2Mの大きさを持つソウル・ガーディアンを倒すために、500人の戦士、500人の魔法使いが半日かけて倒した、という報告もあったなと光は思いだす。


「以前、倒したソウル・ガーディアンの大きさは2Mで、戦士と魔法使いの合計1000人が半日かかってやっと倒したという報告を思い出した。それを踏まえて聞くのだが、そのソウル・ガーディアンの大きさは如何ほどなのだろうか?」


 光の確認に、ティアが言葉に詰まった。が、さすがに言わないわけには行かないという訳で口を開いたティアから出た内容はというと。


「大きさは6M、人型のローブを纏った姿が確認されています……」


 ティアの言葉に、お互いの顔を見合わせる日本皇国側。


「その、記憶が確かであれば……ソウル・ガーディアンはそのサイズが大きければ大きいほど強い、という報告もあったと思うのですが。6Mともなると……」


 大臣の一人の発した言葉に、ティアは頷く。


「はい、倒そうと考えること自体が愚かというレベルですね……ですが、もし話し合いができるのであれば。そしてこちらはあくまで洞窟の壁に存在している鉱石が目的であり、ソウル・ガーディアンと戦う意志は無いという事を伝えることが出来れば……無用の争いを避け、物資を手に入れることが出来ます」


 確かに、機体を作るために必要な素材は少しでも多く欲しい。機体の数が揃っても予備パーツなども作らなければならない。だからこそ、ティアの話は無視できない。


「確かに、忘れがちになるが長門や大和もソウル・ガーディアンだったな……しかし、ティア殿。そうなると私が出向くしかなくなるのだが……大和や長門の声を安定して聞き取れるのが私だけだからな」


 長門や大和の声を聴くことが出来るという人は、時間が経つにつれて多少出てきた。しかし、一番安定して話が出来る、言葉を聞けるのは光なのである。そうなると、一番出向くのに向いているのは光という事になる。一番最初の話し合いというものは非常に大切だ。ここをしくじると、色々その後がこじれる可能性が高い。


 しかも今回は相手が人ではなくソウル・ガーディアンである。こじれたらそのまま戦いになって、被害がどれだけ出るか分かった物では無い。それだけでなく、掘り出したかった鉱石が戦いによって台無しになってしまったら目も当てられない。


「さすがに、ヒカル様に出向いてもらう訳には……と言いたいのですが、あの巨大な船の姿をしたソウル・ガーディアンと話し合いが一番できるのが光様というのであれば……お願いする他ありません。本当に申し訳ないと思うのですが……」


 申し訳なさそうな表情を浮かべつつ、途中で言葉が止まりそうになりながらもティアはそう口にした。その言葉に、うーんと唸る日本皇国側。


「総理にまた負担をかけるのは……」「しかし、しかし。総理のおっしゃったとおり、長門殿や大和殿と一番スムーズに話し合いができるのは総理だからなぁ」「私は、長門様しかハッキリと見えないんですよね。大和さまはうっすらとしか」「こればっかりは個人差という事なのだろうか……」


 せっかくバカンスを楽しんで元気になった総理にまた負担をかけるのは嫌だなぁ、というのが光を除く大臣皆の心境である。が、代案が浮かばない。故に皆で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる事になる。そんな周囲の反応に苦笑いを浮かべながら、光は自分の考えを話す。


「協力できるところは積極的に協力すべきだろう。故にこの一件は私が出向こう。移動方法は、そうだな──確か神威・参特式の方がそれなりに仕上がって来たという報告があったな。慣らし運転を兼ねて神威・参特式で行く事にしよう。あれなら、長門と大和の分体も連れていける。彼女達もいれば話が聞き取れないという確率は下がるだろう」


 この光の意見が採用され、3日後に光が神威参特式に乗ってフォースハイムに向かう事が決定した。ティアは申し訳なさそうにしていたが、フォースハイムからとれる鉱石はソーサラーとランチャーのフレーム部分にかなり使われている重要な素材であり、ここで行動しないという選択肢はなかった。


 光はさっそく各自用意を整え、やれる範囲内で政務を片付けておく。そんな風に働いていれば時間が過ぎるのはあっという間であり、出発予定日の3日後はすぐにやってきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 新世界の歴史や状況、フォースハイムのSGらしい外見や、SGの存在意義やその執着から考えると……今は無駄な浪費は避けたいですし、新世界側の新たな仲間が出来るなら嬉しい所なのですが、SGFHの試…
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