魔法?ああ、なんか俺も魔法使いになっちゃったけど
昨日は更新できずごめんなさい。
もうホントにすいませんでした!
これからはあんな事がないように努力します!
では、本編をどうぞ!
「ようこそ、機関【フォルティス】へ」
白い建物の中に入り、朔葉に連れられ部屋に入る。
そこには黒いスーツを着て、黒髪を後ろで束ねたキリッとした顔立ちの女の人が居た。
『どうも、七つk――「七月水希君よね? 朔葉さんからよく聞いてるわ」…ゑ?』
よく聞いてる、だと…!? 何を話した、朔葉っ!! おかしな事は言ってないだろうな!
俺は朔葉の方を向き、ジト目を向けてやる。
「え、えへへ…」
あ、そっぽ向きやがった。変な事言ってたら…二時間正座&お説教だな。
「私は【霧雨凛香】よ。よろしくね、水希君」
何故だろうか。この人とよろしくしたらマズイ事になりそうな気がする。でも、よろしくしないとアレだしな…。
『よろしくお願いします、凛香さん』
「ええ。よろしく。…じゃあ、話を始めるわね」
ハハハ、あんまり聞きたかないな…。嫌な予感しかしないんだもん。
「まず、あの黒いバケモノについてね。あれの事を私達は【黒獣】と呼ぶわ」
黒獣…黒い獣って事だよな?
「私達【魔法使い】は黒獣と戦っているの。黒獣が現れ始めたのは、十年程前。突然、何もないただの道に現れたの」
え、何?十年も前からこの世界はファンタジってたの?
『あ、あの…一つ聞きたいんですけど、魔法使いっていつ頃からこの世界に居たんですか…?』
俺は遠慮気味に凛香さんに問う。
「本によると、世界創世の時かららしいわ」
な、なんか話のスケールがでかいな。世界創世って…魔法使いって随分歴史が長いな。
「話を続けるわね。黒獣が狙っているのは、人間や動物…植物等、生けるモノ全てに宿る生命の核。【生命核】よ」
『生命核、とは…?』
「生命力を生み出す部分の事よ。生けるモノ全てに宿っていて、これが奪われては生きる事は出来ないわ」
どんな形してるんだろ…。なんて、割とどうでもいいんだけどさ。
「黒獣は、どうも生命核を集めているようなの」
命の源を集める、か…おそろしいバケモノだな。見た目も真っ黒で最悪だし。
「そして、長い時間をかけて私達は見つけたの」
『何を、ですか?』
ゴクリと、俺の喉が唾を呑み込む音がした。
「この世界の真正面にある世界…闇に包まれた暗黒の世界、【黒界】を」
その言葉を聞いた時、俺の背中を何か冷たいモノが走った気がした。
「このディスプレイを見て」
凛香さんが指差した方に目をやる。
『これは……』
言葉を失った。画面に映るのは、黒く禍々しく、この世の負の感情を全て集めたような、寒気がするほどおぞましいモノ。
俺達が住む世界、と書かれた文字の下にはその名の通り俺達が住む世界が。その真正面に位置する世界は、まさに暗黒の世界だった。
「これが、黒獣達が居る世界よ。この世界には、黒獣しか居ない。元は、この世界にも人が住んでたような痕跡はあるのだけれど…黒獣に、滅ぼされたみたい」
凛香さんは、ディスプレイに映る黒界を、睨みつけていた。
俺の頬を、冷たい汗がつうっと滑り落ちていく。
「年々、黒獣との戦いは激化していってるわ。人手も足りないの。…そこで、水希君。貴方にお願いがあるの」
そう言ってこちらを向く凛香さんの顔はとても真剣だった。俺も、表情を引き締める。
『なんですか?』
「貴方に…水希君に――――魔法使いに、なって欲しいの」
…………………………ゑ?
俺は、今たぶんものすっごくポカーンな顔をしていると思う。
「水希くん、私からもお願い」
今まで空気と化していた朔葉が言う。
えええええー、ちょっと待って。何?なにそれ?俺が、魔法使い?つい最近まで『魔法なんかねーよ』状態だった俺が?
正直言って、嫌だ。だけど――――もし、黒獣が俺の知り合いを襲ったら?そっちの方が、嫌だ。
『………いいですよ』
「えへへっ」
朔葉が、「やっぱりね」みたいな得意げな顔でこっちを見ている。なんだよ。
「ありがとう、水希君。貴方には、私が魔法を教えるわね」
「えええーっ!?わ、私が教えたかったのに!」
「何か?」
「なんでもありませぇん…」
あれ?あれ?なんか話が急展開。俺の先生がすでに決定しておられる。
「と言う訳で…明日から毎日、ここに来てね」
俺は、その時向けられた凛香さんの笑顔が忘れられない。…悪い意味で。
なんと言うか…獲物を見つけたトラかライオンみたいな表情。
やばい。最初の嫌な予感はこれか。
俺、明日からどうなるんだろ…。俺までファンタジってるし…不安だ。
感想・ご指摘・誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします。
では、また明日お会いしましょう!