魔法なんてあるわけ…ないよ、な?
どうも、うぇーい!です。
駄文で仕方がない小説ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
では、どうぞ。
『眠いな…』
俺こと【七月水希】は、通学路で一人大きな欠伸をしながら呟く。
『小説、あんな時間まで読むんじゃなかった…』
まあ、そんな事を今更後悔しても遅いワケだが。
「あ、水希くーんっ! おはよーっ!」
俺が歩いている道の先に、肩より少し上くらいまで伸びた茶髪の可愛らしい少女が立っていた。
なんて説明風に言っても、俺と同い年の幼馴染だが。
『おはよ、朔葉』
こいつ…俺の幼馴染の少女、【御波朔葉】と言う。
「眠そうな顔してる…また夜更かししたの?」
俺の隣に並び、俺と朔葉は歩き出す。
何故分かるのだろうか…そんなあからさまに眠いオーラを出しちゃいないぞ、俺は。
むしろ隠そうとしたんだが。
『………してないです』
夜更かしをしたとバレたら、俺は絶対に怒られるであろう事を知っているので、嘘を吐いた。
―――――まあ、バレるでしょうけどね。
「嘘吐かないの。水希くん、『眠いな…』って顔してるよ?」
その半端じゃなく似てない俺の声真似はなんなんだ?
そして何故、俺が先程言った言葉を一字一句間違う事なく言えるんだ…この幼馴染、怖い。
『…ごめん、夜更かしした』
俺はこれ以上嘘を言ったら大変な事になるであろう事は目に見えているので、素直に謝る。
「もーっ、この前も言ったのにー。いっつも夜更かししてちゃ…水希くん、体調崩しちゃうよ?」
心配そうに俺を見つめる朔葉。
『分かってるんだけど…な』
誤魔化し気味に言うと、朔葉は頬を膨らませてちょっと怒ったような表情を見せる。
「ほんとに分かってるの? もう…」
むーっ、と、頬を膨らませて拗ねるようにそっぽを向く。
『朔葉、悪かったって。ほら、今日も話聞いてやるから!』
俺が謝り、話を聞いてやると言うと、途端に朔葉は目を輝かせる。
「ほんと!? やった、ありがとう水希くん!」
えへへー、と笑顔を見せる朔葉。
『で、今日はどんな話なんだ?』
俺がそう聞くと、朔葉は嬉しそうに話し出す。
「あのね、今日も【魔法使い】のお話!」
――――またかよ。朔葉は、【魔法】や【魔法使い】の話をいっつも俺に楽しそうに話してくるのだ。
『そうか、で?』
「魔法使いは、凄いんだよ! 人々を影から守ってるの!」
俺は、【魔法】とか【魔法使い】とかの存在を信じちゃいない。
そりゃあ、昔はそんなもんに憧れたりしたが…結局は、現実とふつうの毎日しか存在しない事に気づいた。
が、だ。朔葉は、魔法使いを居るもんだと信じてるし、魔法もあると思ってるんだ。
『確か、魔法使いの組織があるんだったな』
まあ、俺は幼馴染の話を聞いてあげる。俺は信じちゃいないが、話を聞いてやるぐらいはしないとな。
「そうそう! ようやく水希くんも魔法を信じる気になった?」
えっ、何を勘違いしてるんだい? この子は。
『いや、全然』
「ええーっ!? うぅ…ほんとに居るのに…」
なにやらしゅんとしている。
だが、信じてないのはしょうがないだろ。
なんて、話し込んでいるうちに学校へ着いていた。
『ほら、もう学校だぞ、朔葉』
「はーい…」
未だしゅんとしている。仕方がない、後で焼きそばパンを奢ってやるかな。
「――――魔法使い、居るよ? 水希くんの、こんな近くに…」
朔葉が何か言った気がしたが、俺には聞こえなかった。
『はあ…卵を買い忘れるとは…』
俺は夜の街を歩いていた。
晩御飯に使うはずだった卵を、すっかり買い忘れていたのだ。
そんなこんなで、俺はコンビニへと向かっている。
『公園通った方が、近かったよな』
この公園付近は人気が少ないのがちょっと怖…アレだが、ここを通ったほうがコンビニに向かうには近い。
俺は公園を通ってコンビニへ行こうとして――――歩みを止めた。
「グルアアアアアアアアッ!!!」
俺の目の前に居る、【コレ】は何だ?
黒い、バケモノ?
分からない。俺はこんなモノ、見たことがない。
「ギャァオオオオオオオオオ!!」
黒いバケモノは、叫びをあげて俺の方へ向かってくる。
近づかれちゃいけない。逃げなきゃ。そう思っても、俺の足はまともに動いちゃくれなかった。
そんな事を考えているうちに、もうバケモノは俺の目の前で腕を振り上げていて。
もう、ダメだ。俺の心を恐怖が支配する中、俺はもう、諦めていた。
「――――水希くん、諦めるなんてらしくないよ?」
アレ、痛くない?なんて思っていると、俺が何より聞きなれている声がした。
俺が目を開くと、そこには―――――
「水希くん、大丈夫? ごめんね、遅くなって。…えへへ、これで【魔法使い】は居るって、信じてくれるよね」
純白のローブを身に纏い、俺に向かって微笑む幼馴染が居た。
感想、ご指摘、誤字脱字等ありましたら遠慮なくお願いします。
出来るだけ毎日更新をしたいと思います!
こんな小説を読んで下さり、本当にありがとうございました。
では、また。