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君が好き過ぎて終わらないRPG  作者: ものもらい
2.れっつ、こんてぃにゅー!
33/44

1-2.大人な君



「それっ」

「きゃっ…もうっ!こんな所でからかわないで下さいな!」

「ああ、デステア、ここ解れたが」

「え……あー!モールの馬鹿っ」

「いやー、すいません」

「そうだ、僕が繕うか?」

「でも……」

「なに、得意だから」

「じゃあ、お願いできます?…モールも!文に謝って頼んで!」

「へいへい、さーせん。で、頼めます?」

「ふふ、任せてくれ」

「なー!」



ブスと朝の手合わせをして帰ってきたら、三人と一匹が仲良さそうにお茶を飲んでいた。


もうこの時点で俺の胃は限界だったが、後ろにはブスがいるし、また喧嘩にならないうちに先手を打っておく。


「おはよ」

「おーっす」

「…おはようございます」

「な゛っ!」

「…………」


文 か ら の 挨 拶 が 無 い 。


…終わった。もうやだ、詰んだ……。



「………」

「………」

「…………」

「……おはよう、国光くん」

「!」

「お、茶。飲む…?」

「の、飲む!」



多分、傍から見たら俺は犬みたいに尻尾を振ってんだろう。


でも、それでも。……僅かに触れた文の手は温かくて、ちょっと泣きそうになる。


姫様が「ご飯にしましょうか」と声をかけて、モールとブスで食料を取りに行ってたけど、正直どうでもよかった。



「ふ、文っ、今日の具合はどうだ?」

「大丈夫」

「そ、っか…よかった」

「んあー」

「あ?あんだよ。この茶は譲らねーぞ」

「んあーっ」

「…ふふ、"汗臭い"って。嫌がってるよ?」

「」

「もう少し陽が高くなったら、身体を拭くといいよ」

「……な、なあ、文も、その、臭いって思うか?」

「ううん?…国光くんの香りだもの」



くす、と文が笑う。笑って……くれたああああああ!!

も、もう怒ってないのかな。許してくれそう?まだ、見限られてないよな……?



「…文、向こうに着いて、医者に診せたら、さ。……一緒に、出かけないか?」

「え?」

「俺もお前も、偶にはガス抜きしねーと。な?」

「でも……」

「そうですわ。最初から根を詰めるのも如何なものかと思いますわよ」

「デステア……」



意外とデステアも俺の援護をしてくれた。

二回目の旅で俺との仲は良くないが、文との仲は変わらず良いし、……気にかけてたんだろうな。


「文、遊ぼう?」

「……うん」


今度の微笑みは、一回目の最初の頃の文と同じ物だった。

嬉しそうな、ほっとしたような、そんな笑顔。―――よかった。不貞腐れないでくれて…。






――――だけど、文は熱を出してしまった。


俺は氷を砕いて砕いて、毛玉はよいしょと小さな手で袋に詰めて文の頭の下に入れる。


「……お嬢さんは病弱な方でしたかな?」

「いや…」

「ふむ、召喚獣に慣れていないのか……薬は出しておきますが、個人的には神殿で診てもらうのをお勧めしますよ」


そう告げて帰って行った医者の爺さん―――神殿って行ったこと無いんだけど。


モールに相談しなくちゃな、とタオルで手を拭いていたら、文が俺の服の袖を引っ張って、


「やだ」

「…文?」

「やだ。国光くんと、……約束したのに」


…出かけたい、って事か?

でもなあ……うーん、流石になあ…………ちょ、そんな目で俺を見るなよ。駄目だって、無理だって。



「……文?」

「…………」

「どーした?」

「…国光、くん。……僕のこと、嫌いになっちゃった…?」

「えっ」

「僕、寝てばっかだし、何の役にも立てない。…こんな僕より、たくさん動けるブスの方が、いい?」

「な――んなわけないだろ!?馬鹿言うな!!お、俺は、俺は……」

「……?」

「ふ、みが。……文だけが、好きだ」

「!」


はっずかしいいいいいいいいいいい!!!


くそ、でも言わないと文落ち込むだろ!?うあああああああでも恥ずかしいいいい!!



「ほんと?」

「お、おう…」

「……じゃ、じゃあ、また誘ってくれる?」

「もちろん!…だから、早く元気になろーぜ?」

「うん……」



前髪をくしゃりとすれば、熱い文のおでこが分かる。

文は氷で冷えた俺の手が気に入ったようで、中々俺の手を離さない。


やがてゆっくり瞬きすると、熱で浮かされた目で俺を射抜いて、



「国光くん。………キスして?」



その、瞬間。


俺は。その衝動に身を委ねて。







壁に頭を打ち付けた。



「く、くにみつくん…!?」

「アア、ウン、チョット虫ガイタンダ。ゴメン」

「虫……手でやればいいじゃないか……」



なんかエライもったいないことをしてしまったような……。

で、でも、文とそういうイチャイチャするのは元の世界に帰ってからだ!こんなクソみたいな世界でヘラヘラできるか!!


鉄臭い匂いがするけどまあいい―――俺がもう一回、文のおでこを撫でると、文は無邪気に笑った。

熱のせいかおかしかったからなのか、その頬は林檎色だ。……生きてる色だ。



「ふふ、国光くんだ」

「……なんだよ、それ」

「だって、大人っぽくなっちゃうんだもの。……寂しかった」

「!」

「もしかして、国光くんじゃないんじゃないかって、色々疑ってたんだ―――ごめんね…」

「い、いや!俺が勝手に動き回ってたから……」

「……」

「その、これから俺、お前を不安にさせる事ばかりだろうけど。…でも、お前が好きなのは変わらないって、それだけは信じててくれるか?」

「…うん。ずっと、信じてる」



そっと小指が差し出されて、俺は思わず口を緩ませて小指を絡ませた。


少し痩せた気がするけど、でも、確かに文の意思がある、大切な小指だ。



「元の世界に帰って、誕生日を祝って、デートに行こうな。……絶対だ」

「うん、絶対行こうね……」



そうして小指が離れてしまう、その刹那の体温が、やっぱり切ないんだ。






なんかフラグを踏んだ気がする話。


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