時の狭間で

作者：ののの

美咲は東京の大学で物理学を専攻する学生だった。彼女は研究室での地味な日々を送っていたが、心の奥底では冒険を求めていた。そんなある日、彼女は教授の研究室で見つけた古びた機械に興味を持った。それは、過去に戻ることができるという信じられないタイムマシンだった。

好奇心に駆られた美咲は、タイムマシンを操作することに決めた。彼女は自分の過去、特に高校時代の自分に戻り、あの頃の自分にアドバイスをすることを考えた。しかし、教授から聞いた警告が頭をよぎった。「過去に戻ることはできるが、戻った後に過去を改変することはできない。戻ったとき、何も変わっていないことを受け入れなければならない。」

それでも美咲は好奇心を抑えきれず、タイムマシンのスイッチを押した。瞬間、彼女は眩しい光に包まれ、気がつくと高校の教室に立っていた。周囲は懐かしい友人たちの笑い声で満ちていた。彼女は心の中で、自分が過去に戻ったことを実感した。

美咲は、当時の自分に向かって友人との関係や勉強の大切さを伝えようとしたが、彼女の言葉はまるで風に消えていくようで、誰にも届かなかった。改変ができないという教授の言葉が彼女の心に重くのしかかる。

時間が経つにつれ、美咲は過去の自分を見つめることしかできなかった。自分が犯した過ちや後悔が、あの頃の自分には全くの無知であったことに気づく。彼女は、過去を変えることはできないとはいえ、せめてその時の自分を見守り、支えてあげたいという思いが強まった。

結局、美咲は何も言うことができず、ただその場に留まることにした。彼女は、自分が過去を変えることはできないという現実を受け入れながらも、あのころの自分が未来に向かって成長していく姿を静かに見守ることにした。

やがて、時が経ち、美咲は再びタイムマシンの元に戻ることを決意した。彼女は心の中で、自分の選択や経験が未来を形作る大切な要素であることを認識した。過去を受け入れることで、未来に向けた一歩を踏み出す勇気を持つことができた。

タイムマシンのスイッチを押すと、再び眩しい光に包まれ、美咲は現代に戻った。彼女は心に温かい感情を抱え、過去の自分を励ます気持ちを忘れないと誓った。そして、彼女の新たな冒険が始まるのだった。

こうして美咲は、過去と向き合い、自分の成長を受け入れながら未来へと進んでいくことを決意したのだった。