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虚無戦線  作者: MIROKU
ラグナロク
93/99

超越者の女子会!の巻! 1


   **


 虚無の彼方で、超越者たちの女子会が開催されていた。






「まったく、ゴヨウときたら」


「女にもてないくせに女好きだなんて、タチ悪いわね」


「でも少しは甲斐性あるわよ」


 蛇遣い座の女神、瞑想の神カオス、AI女王メロリンはゴヨウを話題にしながら中華テーブルで点心を楽しんでいる。






「最近は調子がいいの」


「でも気をつけてね」


「これもゴヨウのおかげかしら……」


 地球意思、大地母神、海母神の三柱は和室で茶と茶菓子で憩いの一時を過ごしていた。


 地球意思は老女、大地母神と海母神は美魔女の姿だ。


 これは地球の生命力が衰えているからに他ならない。


 本来ならば命は大地や海に還り、再生し、循環する。


 それを妨げるのは人間だ。欲望に目がくらみ、天地宇宙の理から外れた人間のせいだ。


 天地宇宙の理とは、命の理だ。


 命は損得勘定や計算によって育まれるのではない。


 人間の魂は、地獄にも入れず地上に戻ってきた悪意に支配されつつある。






「彼氏とはうまくいってるの?」


「え、か、彼氏なんかじゃないよ! 運命の人だよ!」


「彼氏より凄い存在なんですね〜」


 テーブルではローレン、グレースの給仕をゾフィーが務めている。ゾフィーはチーズケーキの皿をテーブルに置いた。


 ハロウィンの守護者ローレンと、バレンタインの守護者グレースは、母親同士が双子で、いとこの関係になる。


 ゾフィーはローレンに仕える侍女であり、欧州系長身美人だ。彼女の豊かな胸は、悪心に生きる鬼夜叉の心すら穏やかにする。


 三人ともに恋しているからか、魂がキラキラ輝いていた。






「この前さ、翔と一緒にほ、ホテルに行ったのよ」


 バーのカウンターでは、ギテルベウスが近況報告だ。


「ホテル!?」


「ち、ちょっと! 運営に消されちゃうわよ!」


 脇に座るマイマイとヒューイットは衝撃を隠せない。


 彼女たち三人は、ハロウィンの悪夢の顕現だ。


 だが、女の顔を得たことで、何かが変わった――


「とにかく聞きなさいよ…… で、あのヤロー、金がないから、あたしに出してくれって言ったのよ!」


 ギテルベウスはグラスワインをイッキ飲みし、ダン!とカウンターに叩きつけた。


「か、甲斐性ないわね……」


 クールビューティーすぎて、出番に恵まれなかった不遇のマイマイ。


 彼女はハロウィンの守護者の宿敵だったが、今では宅配ピザのバイトに充実している。彼女のおかげで注文は三割増しだという。


 また、ゴヨウとは一晩だけの恋人だった――


「出してあげればいいのに……」


 ヒューイットは暗く小さな声でボソッと言った。


 縮小した八尺様と形容される儚げな美女ヒューイット。彼女は五歳年下のケンという彼氏がいる。


「うっさいわね、あんたは早く初体験済ませなさいよ! ……で、むかついたから『喧嘩スペシャル・ヌーボー』でケーオーしてやったわ!」


 ホテルの前で、彼氏にネプチ◯ーンマンの必殺技「喧嘩スペシャル・ヌーボー」をかけるとは。


 化粧が濃くて、性格も残念なギテルベウスだが、その痛快さゆえに人気がある。


「はい、次の方!」


 ギテルベウスは次をうながした。


 次回はリリースとイブの女子会をお送りします。

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