超越者の女子会!の巻! 1
**
虚無の彼方で、超越者たちの女子会が開催されていた。
「まったく、ゴヨウときたら」
「女にもてないくせに女好きだなんて、タチ悪いわね」
「でも少しは甲斐性あるわよ」
蛇遣い座の女神、瞑想の神カオス、AI女王メロリンはゴヨウを話題にしながら中華テーブルで点心を楽しんでいる。
「最近は調子がいいの」
「でも気をつけてね」
「これもゴヨウのおかげかしら……」
地球意思、大地母神、海母神の三柱は和室で茶と茶菓子で憩いの一時を過ごしていた。
地球意思は老女、大地母神と海母神は美魔女の姿だ。
これは地球の生命力が衰えているからに他ならない。
本来ならば命は大地や海に還り、再生し、循環する。
それを妨げるのは人間だ。欲望に目がくらみ、天地宇宙の理から外れた人間のせいだ。
天地宇宙の理とは、命の理だ。
命は損得勘定や計算によって育まれるのではない。
人間の魂は、地獄にも入れず地上に戻ってきた悪意に支配されつつある。
「彼氏とはうまくいってるの?」
「え、か、彼氏なんかじゃないよ! 運命の人だよ!」
「彼氏より凄い存在なんですね〜」
テーブルではローレン、グレースの給仕をゾフィーが務めている。ゾフィーはチーズケーキの皿をテーブルに置いた。
ハロウィンの守護者ローレンと、バレンタインの守護者グレースは、母親同士が双子で、いとこの関係になる。
ゾフィーはローレンに仕える侍女であり、欧州系長身美人だ。彼女の豊かな胸は、悪心に生きる鬼夜叉の心すら穏やかにする。
三人ともに恋しているからか、魂がキラキラ輝いていた。
「この前さ、翔と一緒にほ、ホテルに行ったのよ」
バーのカウンターでは、ギテルベウスが近況報告だ。
「ホテル!?」
「ち、ちょっと! 運営に消されちゃうわよ!」
脇に座るマイマイとヒューイットは衝撃を隠せない。
彼女たち三人は、ハロウィンの悪夢の顕現だ。
だが、女の顔を得たことで、何かが変わった――
「とにかく聞きなさいよ…… で、あのヤロー、金がないから、あたしに出してくれって言ったのよ!」
ギテルベウスはグラスワインをイッキ飲みし、ダン!とカウンターに叩きつけた。
「か、甲斐性ないわね……」
クールビューティーすぎて、出番に恵まれなかった不遇のマイマイ。
彼女はハロウィンの守護者の宿敵だったが、今では宅配ピザのバイトに充実している。彼女のおかげで注文は三割増しだという。
また、ゴヨウとは一晩だけの恋人だった――
「出してあげればいいのに……」
ヒューイットは暗く小さな声でボソッと言った。
縮小した八尺様と形容される儚げな美女ヒューイット。彼女は五歳年下のケンという彼氏がいる。
「うっさいわね、あんたは早く初体験済ませなさいよ! ……で、むかついたから『喧嘩スペシャル・ヌーボー』でケーオーしてやったわ!」
ホテルの前で、彼氏にネプチ◯ーンマンの必殺技「喧嘩スペシャル・ヌーボー」をかけるとは。
化粧が濃くて、性格も残念なギテルベウスだが、その痛快さゆえに人気がある。
「はい、次の方!」
ギテルベウスは次をうながした。
次回はリリースとイブの女子会をお送りします。




