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虚無戦線  作者: MIROKU
混沌極まる時
9/107

商人編 未来を守る力!の巻!


   **


「ニャガニャガ、使命を果たす時ですね」


 精神マンは――


 完璧商人始祖パーフェクト・オリジンの一人は、青空を見上げてつぶやいた。


「シャバババ、我らの使命はクリスマスを祝福する事だ……」


 眼マンもまた青空を見上げて言った。


 精神マンと仲の悪い眼マンも、使命を果たそうとする時には戦友であり同志なのだ。


 人類の未来を守る、その一助としてクリスマスを祝福する。


 精神マンと眼マンは完璧商人始祖であると同時に、概念や存在の意義を守る守護者ガーディアンなのだ。


「ツアッー!」


 血涙を流した白銀マンは青空に吠えた。


 世間は若い男女の熱い恋のロマンが展開されているというのに、自分には何もないのが悲しいのだった。


 そして、混沌カオスの名を持つ青年の登場に加え、戦場にやってきた白黒ゼブラ、超人バーベキュー、そして天道マンの登場に、人類の未来は未だ闇の中である気づいた。


   **


 夏の海だ。


 暑い陽射しの下に、人々の楽しげな笑顔がある。


 海水浴客で満員御礼の海岸を見つめ、完璧商人始祖パーフェクト・オリジンの眼マンと精神マンは満足げに微笑んだ。


「ニャガニャガ、カップルさんも、夏の即席カップルさんも楽しそうですねえ」


「シャバババー、即席なんかではない、全てはこれから始まるのだ」


 精神マンと眼マンは特にカップルに注目していた。


 人類四百万年の歴史は、男と女が紡いできた。


 今、世界を覆う危機的状況を覆すには――


 人類滅亡を防ぐには光と闇、そして男と女が力を合わせる必要があるのだ。


 だが、その理想は果てしなく遠い。


「ツアッー……」


 白銀マンは精神マンと眼マンから少し離れて、腕組みして海水浴客でにぎわう海岸を見つめていた。


 彼はバカップルを憎む。だが真実を知った。


 死した女性達はひ孫や玄孫やしゃごのために、現世に生まれ変わる事があるのだ。


 友人や先輩後輩、更には恋人になるために。人はそうして未来を創っていくのだ。


 バカップルもまた、そうした子孫を見守る女性の愛から誕生する。そこから明るく正しい道へ進めれば良い。


 だが、世界を覆う悪意の渦は、女性達の思いすら裏切って、残酷な未来を生み出していく…………


「ゲギョゲギョ……」


 大魔王サタンは海の家で働いていた。


「ゲギョー、ヤキソバ一丁あがったよー!」


 汗水流してヤキソバを作る大魔王。


 数年前に正義マンに完膚なきまでに倒された大魔王だが、どっこい活動はしていた。


 人類が滅びれば大魔王も滅ぶ。大魔王は人類の悪しきエナジーを糧にして存在する。


 人類を滅ぼすわけにはいかない。そのような大義を胸に秘めて、大魔王は海の家で働いているのだ。


 そして好評だった。


「ねえ、こっちのラーメンセットはー?」


「おじさん、仕事いつ終わるのー?」


 水着姿のギャル達が大魔王に興味を持ったか、積極的に話しかけていた。


「ゲ、ゲギョ?」


「あたしら夕方までいるからさー」


「夜は遊びに行こー」


 大魔王は照れた。ギャルにからかわれているかもしれぬ、話半分くらいに聞いておくが、大魔王の心にほっこりと温かいものが湧いてきた。


 男女の間に生じる温かい感情こそが、実りある豊かな未来を創る力のはずだ――


「ツアッー!」


 と、血涙を流した白銀マンが大魔王に襲いかかった。


 何故よりによって、大魔王が女子にもてるのか?


 その不思議に白銀マンは大いに嫉妬していた。


「……私はまだ倒れぬ、倒れるわけにはいかぬ…… 何があっても…… 何をしても絶対に…… ここで倒れるわけにはいかぬのだーっ!」


 大魔王は必死に戦った。人類を滅亡させるわけにはいかないのだ。


「ツアッー!」


 だが白銀マンは人類を滅亡させかねない迫力で、大魔王を攻めた。


 そんな白銀マンを、精神マンと眼マンが青ざめながら眺めていた……

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