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虚無戦線  作者: MIROKU
バレンタイン・クライマックス
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6 知多星ゴヨウ


   **


 天の(はたらき)を知る宿星、天機星「知多星」ゴヨウ。


 彼の意識は(あるいは魂は)、虚無の彼方をさまよっていた。


「う〜わ〜……」


 彼は悩まされていた。


 蛇遣い座の女神、カオスとメロリン。


 地球意志、大地母神、海母神。


 それら超越の存在が伝えるメッセージ。


 それが人として存在するゴヨウを苦悩させるのだ。


「やるだけやるかあ〜……」


 ゴヨウもあきらめた。開き直った。


 彼一人で人類の未来をどうこうできるわけでもない。


 今、人類は未曾有の危機に見舞われているが、それを打破するには決意が――


 強い意志が必要なのだ。


 計算ではない。


 気合などでもない。


 己を捨てた先にある魂の光が、必ずや未来をもたらすと信じている。


 ゴヨウに知恵と勇気を与えてくれるのは、不動明王と虚空蔵菩薩ーー


 その眷属たるチョウガイ、ソンショウだ。


「できるだけの事はしなきゃな……」


 ゴヨウは微笑した。


 彼が姉のように思っていたリッキーとコーエンも死んだ。


 人々を守るために命を散らしたのだ。


 二人の気もちが今になって理解できたような気がする。


 そして無数の同志の活動も知る。


 概念や存在の意義を守る守護者ガーディアン


 レディ・ハロウィンとバレンタイン・エビル。


 彼女達の活動にもゴヨウは支えられていた。


「いくのじゃ、ゴヨウ」


 虚無の闇に屹立する巨大な人影は、蛇遣い座の女神であった。


 宇宙創成の女神の一柱は、ゴヨウを見守り、導いている。


 それはあたかも母親が息子を導くに似た。


 男は女の後から創られたのだーー


「はあ〜い……」


「なんじゃ、その気のない返事は!」


 ゴヨウと蛇遣い座の女神、二人のやり取りもまた母と子に似た。






 虚無戦線の暗い空、荒れ果てた大地。


 ゴヨウは人型の黄巾力士ロボット、アーマー騎兵の「猟犬」に搭乗し、臨戦態勢を整えていた。


 そして地平線の彼方から土煙が湧き上がるのを見た。


 それは人の悪意が具現化したアーマー騎兵ーー


 「デッドショルダー部隊」の出現だ。


「いくぞ!」


 ゴヨウはアクセルを踏みこんだ。アーマー騎兵の猟犬は、その名のごとく戦場に踏み入った。


 足裏の風火輪によるローラーダッシュで猟犬は突き進む。


 ゴヨウはトリガーを引いて、猟犬はマシンガンを乱射する。


 ゴヨウは左足だけブレーキをかけた。猟犬は左足を基軸に、半回転して方向転換した。


 そしてゴヨウは肩のロケットランチャーも発射した。


 ロケット弾は数体のデッドショルダー部隊のアーマー騎兵を吹き飛ばす。


 ゴヨウは尚も右に左に方向転換と半円の動きを繰り返す。


 乱射されたマシンガンはデッドショルダー部隊を撃破していく。


 高い機動性を活用する、それがアーマー騎兵の戦い方だ。


 だが、デッドショルダー部隊はまだまだいる。


 ゴヨウの武装も尽きかけていた。


 その時だ、応援が現れたのは。


「思い知れえー!」


 機甲ハンターのメロリンが戦場を駆けた。


 敵アーマー騎兵の眼前にまで踏みこみ、長さニメートルに達するライフルをーー


 対アーマー騎兵ライフルの先端に取り付けられたパイルバンカーを突きつけた。


 轟音と共に打ち出されたパイルバンカーの一撃が、コックピットを差し貫いた。


「メロリン……」


 ゴヨウは微笑んだ。


 何処に行っても敵がいるが、何処に行っても味方がいる。


 それを天に感謝した。

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