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虚無戦線  作者: MIROKU
レディ・ハロウィン
62/99

レディ・ハロウィン3



   **



 宇宙空間に似た虚無戦線で、レディ・ハロウィンとクリスタル・ボーヤは再会した。


「ハッピー・ハロウィンよ、ボーヤ。お邪魔だったかしら」


「いいさ、僕と君の仲だ」


 レディ・ハロウィンもクリスタル・ボーヤも不敵に笑った。


 宿命の対決だ。


 レディ・ハロウィンは宇宙船「陸ガメ号」の甲板に上がった。


クリスタル・ボーヤは自身の軍艦の司令室で指揮をとる。


 距離は数百メートル離れているが、互いの殺気が伝わりそうだ。


 レディ・ハロウィンの左手が輝き、変化する。


 彼女の左手は「精神銃」と化していた。


「バカなやつだね、軍艦バトルシップに精神銃で立ち向かう気か」


「知らないの、ボーヤ? 精神銃はね、その日のコンディションに左右されるのよ!」


 レディ・ハロウィンの精神銃の銃口は、クリスタル・ボーヤの軍艦に突きつけられた。


 同時に陸ガメ号が発進した。操縦するのはレディ・ハロウィンの双子の妹、バレンタイン・エビルだ。


 宇宙最速の船、陸ガメ号が驚愕のスピードでクリスタル・ボーヤの軍艦に迫った。


「ハロウィンナイトは絶好調よ、惑星だって砕いてみせるわ!」


 レディ・ハロウィンの左手の精神銃が火を吹いた。


 極大の閃光が虚無戦線の闇を裂く。


 陸ガメ号は軍艦の脇を一瞬で翔け抜けた。


 そして、クリスタル・ボーヤの軍艦は、精神銃の閃光に貫かれていた。


 ミサイルの直撃にも耐える軍艦の装甲が、いかに精神銃とはいえ、個人で携帯可能な武器に貫かれるとは!


「レ、レディ・ハロウィン……!」


 クリスタル・ボーヤのうめきは、軍艦の爆発の中に消えていく。


 虚無戦線の闇をも照らす軍艦の爆発は、夏の夜空の花火に似た。


「妖魔は倒した、今日は私が勝った…… でも妖魔は必ず蘇る! この世に人間がある限り……」

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