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虚無戦線  作者: MIROKU
狂気的な彼女
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ビッグバトル!の巻! 12

 しかし、ヘッドガンは急には止まれない。


 グワシャ!という轟音と共にイプエロンのアーマー騎兵は半壊して吹っ飛んだ。


「……キリオー!」


 イプエロンはノーダメージだ。


 彼女は鮮やかなマイクロビキニ姿でヘッドガンに駆け寄ってきた。


「私と勝負しろおー!」


「綺麗なお姉さーん!」


 ゴヨウはコックピットから飛び出すと、イプエロンにタックルして胸に飛びこんだ。


「俺と一緒に来てください……!」


 ゴヨウはイプエロンの胸で泣いた。


 もてない男の涙だった。


「わ、私のプライドが……!」


 イプエロンは耳まで真っ赤になった。


 凛々しい美女たるイプエロンは、バーチャルゲーム「バトリング」のノンプレイヤーキャラだ。


 それがカオスの波動を受けて自我に目覚めた。


「寂しいよおー! 男一人でどこまでもなんてー!」


『おいおい、俺を忘れてねえか?』


 ヘッドガンのAIブルックリンは抗議した。


 今はウィスキーを燃料代わりにしたせいか、酔っぱらっているようだ。


「……わ、わかった」


「ありがとう、綺麗なお姉さん!」


 ゴヨウはイプエロンの豊かな胸に顔を埋めた。


『お色気担当の汚れ役だな』


「なんだそれは! 私は戦うヒロインのポストを求む!」


「うおー、女の子が来てくれて良かったー! 野郎ばかりじゃむさくるすぃー!」


「ゴヨウ……」


 怖い女の声にゴヨウは振り返った。


 見れば、蛇遣い座の女神、ハロウィンの女妖魔マイマイ、そしてAI女王と融合したカオスがいた。


 三人の女性ににらまれて、ゴヨウは蒼白になった。


「は、はわわわー!」


「また別の女に手を出したのか!」


 怯えるゴヨウを蛇遣い座の女神らが囲んで袋叩きにした。


「お前は戻れ!」


 イプエロンはカオスの中に吸収された。彼女はカオスの分身の一つだったようだ。


「アレが来ないのよ!」


 マイマイの一言に、場は気まずい沈黙に包まれた。

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