ビッグバトル!の巻! 11
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花火の打ち上げも終わった。
この「昭和の日本」という虚無空間にも夜の静寂が訪れた。
「さ、みんな寝ようね」
「歯は磨いたの?」
ゾフィーとギテルベウスの女性陣は、まるで母親のごとく子ども達を寝かしつける。
広い宴会場の畳の上に敷かれた布団で、四人の子ども達は眠りについた。
この子ども達は「未来」の概念だ。
チョウガイ達がこの虚無空間に導かれたのは、人類の未来を守るために他ならない。
「どうすっかな、兄貴?」
「やれる事をやるしかあるまい」
浴衣姿のソンショウとチョウガイは、腕組みして窓から夜空を見つめる。
この虚無空間には不安がある。恐怖がある。
だがゾフィーとギテルベウスの愛がある。希望の光がある。
チョウガイとソンショウは、ゾフィーとギテルベウス、更に未来を守って死ぬ事は怖くないのだ。
「んが〜……」
ペネロペはイビキをかいていた。美人だが残念だ。
ペネロペはランバーと二人で一枚の布団で寝ている。ランバーはペネロペに蹴り飛ばされたか、布団から体が半分飛び出していた。
「この二人は何なんだ?」
「おそらくは協力者だろう」
「協力者?」
「この虚無空間にも味方はいた……」
チョウガイはそれを感謝する。
協力者が現れたのは、チョウガイとソンショウに義があるからだ。
天は自分を助くる者を助ける――
それは宇宙の真理だ。
「な、なんだよ、俺とお前で寝るのかよ」
「へ、変な事すんじゃないわよ!」
「さ、チョウガイさんもおネムしましょうね」
「ゾフィーさん……」
ソンショウとギテルベウスは同じ布団に、ゾフィーとチョウガイも同じ布団に入って眠りについた。
明日は何が待つのか、それはわからない。
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別の虚無空間では知多星ゴヨウとヘッドガンの戦いが続いていた。
ゴヨウはウィスキーをヘッドガンの燃料にし、パイロンタワーの中を突き進む。
「うらやますぃー!」
ゴヨウはコックピット内で血涙を流した。
彼はチョウガイらの戦いを感じ取っていた。
そしてチョウガイとソンショウ、更にはランバーの側に麗しい女性がパートナーについている事に嫉妬していたのだ。
「リア充爆発しろおおお!」
『男の嫉妬はみっともないぞ』
「うるさあああい!」
ゴヨウは戦車形態のヘッドガンを時速六十キロで疾走させながら、レールガンやキャノン砲で次々と現れる護衛ロボットを撃破した。
その時だ、ゴヨウは女性の声を聴いた。
「キリオー! 私と勝負しろおー!」
ヘッドガンの前方に青いアーマー騎兵が立ちふさがった。
それは完璧兵士イプエロンの駆るアーマー騎兵だった。




