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虚無戦線  作者: MIROKU
狂気的な彼女
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ビッグバトル!の巻! 8 〜新たな戦い〜

「もちろん復活しますわ!」


 ねねは叫んだ。蘭丸もうなずく。


「な、なんだ、ありゃ!」


 叫んだのはソンショウだ。


 彼のみならず、ギテルベウスも見た。


 夜空を彩る花火が止み、闇の中に蠢く不気味な姿を。


 それは巨大な鳥のように見えた。


「行くぞ、ペネロペ!」


「もちろんよ、ランバー!」


 蘭丸とねねの姿が変わった。


 蘭丸は着流しから革鎧を身につけた、洋風の青年の姿に――


 ねねは着物から真紅のバッスルドレスをまとった麗人へと変わった。


 蘭丸はランバーに、ねねはペネロペに転身したのだ。


 二人は旅籠の外に飛び出し、不気味な影へと踏みこんだ。


「超ペネロペ光線ー!」


 ペネロペは両手を十字に構えて、光線を発射した。


 女吸血鬼であるペネロペ、最高の必殺技だ。


 聖なる光が邪悪を滅ぼすが、同時にペネロペまでダメージを受ける。


「うう、十字架が気持ち悪い……」


「はあ!」


 ランバーは手にした白銀の鎖を振るった。


 この鎖はラグナロクと呼ばれる神秘の鎖だ。


 ラグナロクはランバーの意思のままに敵を討ち、自在に形を変えるのだ。


 ラグナロクの鎖が夜闇に蠢く不気味な姿を打ち据えた。


 この間、チョウガイらも子ども達を背にかばい、戦闘態勢を整えていた――


 ――クワアアアア……


 夜闇に蠢く不気味な姿は、甲高い声を発した。


 それはランバーとペネロペを嘲笑う、妖しき女の声であった。


「死黒天使……!」


 ランバーはつぶやくが、自分が口にした言葉の意味すらわからない。


 わかるのは新たな敵と新たな戦い、そして新たな世界の始まりであった。


「わたくしが主役なら人気出るわよ!」


 ペネロペは手にした扇で口元を隠しながら、声高らかに笑った。


 妖艶だが残念な美女だ。

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