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虚無戦線  作者: MIROKU
狂気的な彼女
45/99

パーフェクトファイター!の巻!


   **


 来たるべきイベント「ビッグバトル」に向けて、バーチャルゲーム「バトリング」のプレイヤーは世界中で盛り上がっていた。


 体験人数は二十万人を越すとされ、ビッグバトルに参加するプレイヤーだけでも一万人を越えるらしい。


 そんなバトリングで注目されるのは、謎の機甲ハンターの美少女メロリンと、パーフェクトファイターのイプエロンだ。






 緑に覆われた戦場に緊張が走った。


 ジャングルで敵味方に分かれて戦っていたアーマー騎兵達の前に、謎の青い機体が出現したのだ。


「イプエロンだ!」


「逃げろオー!」


 敵も味方も慌てふためく中で、青いアーマー騎兵がローラーダッシュで突撃してきた。


 一回り大きな機体で軽快な動き――


 例えるなら大型トラックが、バイクのように軽快に走り回る様に似た。


 ――ドキュン!


 青いアーマー騎兵の右手から発射された徹甲弾が、敵アーマー騎兵のコックピットを貫き爆発炎上させていく。


 正確な射撃、たったの一発で敵アーマー騎兵を撃破していくとは。


 戦場を駆け巡る青い稲妻――


 イプエロンが駆るアーマー騎兵はブルーサンダーと呼ばれた。


 射撃ではなく、接近しての格闘戦でもブルーサンダーは無類の強さを発揮した。


 ――グワシャア!


 ブルーサンダーの右手は鉤爪となっている。


 特殊な超硬合金製の鉤爪は、アーマー騎兵の装甲を紙のように突き破る。


 イプエロンには大型の火器は必要ないのだ。


 正確な射撃によって右手に仕込まれた徹甲弾一発で敵アーマー騎兵を爆発炎上させ、接近すれば鉤爪で引き裂く。


 パーフェクトファイターに相応しい戦いぶりだった。


 人間に例えると、短距離走選手のように速く、プロボクサーのように素早く敵に襲いかかり、プロレスラーのようなパワーで撃破する……


 勝てる者などいようか。いや対等に戦う事すら難しいだろう。


 イプエロンはNPCであり、出現してから五分で撤退するが、今日は五分も必要なかった。


 四分未満で十数人のプレイヤーが全滅していた。


「キリオはどこだ!」


 この日、イプエロンはちょっとしたパフォーマンスを披露した。


 コックピットを開き、ヘルメットも外して素顔を全世界のプレイヤーの前にさらしたのだ。


 それは凛々しい眼差しの美女であった。肌にぴったりしたパイロットスーツの肢体に反応する者は多かった。


「私の、私のプライドが……!」


 イプエロンのつぶやきは謎だった。






「やるのお……」


 混沌はゴヨウと共にゲーム画面をのぞいていた。


 パーフェクトファイター、イプエロン。


 その強さは本物だ。ビッグバトルが開催された時、彼女は世界中の何処に現れるのか。


「……逃げてもいいかな?」


 ゴヨウはひきつった笑顔で混沌に振り返った。混沌は軽くゲンコツをゴヨウの頭に落とした。


「わらわもメロリンもゴヨウをサポートするから、がんばるのじゃ!」


「む、無理だよー!」


「ゴチャゴチャ言うな!」


 混沌は再度、ゴヨウの頭にゲンコツを落とした。これも愛情表現だ。






 バーチャルゲーム、バトリング。


 そのビッグイベントであるビッグバトルの開催は近い。

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