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虚無戦線  作者: MIROKU
狂気的な彼女
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恋愛イベント!の巻!

「ペネロープ様……」


 ゾフィーは蒼白だ。ペネロープは元恋人だという。


「え、それってレズ○アンじゃない」


「ゾフィーさんって女とつきあってたの?」


「外人さんってすご〜い……」


 ギテルベウス、さくら、こゆきの三人娘は他人事として騒ぐ。


 落ち着かないのは当人であるゾフィーと、そして凱と翔だ。


 凱にいたっては全身に汗をかいていた。初めて遭遇する恋愛イベント、彼女の別れた元恋人が復縁を迫って現れる……


 そんなイベントに遭遇するとは、凱は夢にも思わなかった。


 神代から伝わる武術を受け継ぐ神社に産まれ、大学では元応援団団長にして学内最強と呼ばれた男。


 そんな凱が女の修羅場を前にして萎縮するとは。蛇に睨まれた蛙とは、この事か。


「俺がガツン!と言ってやるぜ!」


 翔が前に出た。彼は凱の遠い親戚にして弟分だ。


 凱と翔の祖父同士が兄弟なのだ。


「おい、アンタ!」


「何よ」


 翔はペネロープの豊かな胸に目を奪われた。


 身長百七十センチ前後の翔には、身長百八十四センチのペネロープの胸が眼の前にあった。


「おっぱいでけえなあ!」


「ふあああ!」


 ペネロープの右フックに翔は吹っ飛ばされ、アスファルトの上で二転三転した。


「何よ、あのおっぱい…… 中華街で見た特製ぶ○まんよりでかいわ……」


「小さなメロンみたいよね……」


「あんなに大きいのはヤダな〜……」


 ギテルベウス、さくら、こゆきも傍観するしかなかった。個性強い彼女らですら、ペネロープの前では見劣りした。


「さ、ゾフィー。わたくしの元に戻ってらっしゃい」


「い、イヤです!」


「ダメだゾフィー」


 言ったのは凱だ。彼の気配は変わっていた。ペネロープすら驚かせるほどに。


「ペネロープさん、悪いがゾフィーは俺の恋人だ」


 言った、言い切った。凱はレベルアップした。


 ケンカは強すぎるが、女にはからっきし――


 そんな凱が変わった!


「ぬっはあー、いい男だわー!」


 ペネロープは鼻血を吹いた。二十代半ばの長身妖艶欧州系美女が、まさかのギャグだ。


「気に入ったわ、二人ともお持ち帰りするわ!」


「ダメです、ペネロープ様ー!」


「は、離せー!」


 ペネロープ、ゾフィー、凱、ここに新たな三角関係が誕生した。


 翔、ギテルベウス、さくら、こゆきは完全にモブキャラだった。


 また、ペネロープは帝都にメイド喫茶「ブレーメン・サンセット」を開店しているという……






 バーチャルゲーム「バトリング」。


 来たるべきイベント「ビッグファイト」に向けて、世界中でプレイヤーが燃えていた。


 その前夜祭的なイベントにて、アーマー騎兵と機甲ハンターとの試合が組まれていた。


「え、マジで?」


 ゴヨウすら注目する試合とは……


 

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