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虚無戦線  作者: MIROKU
混沌極まる時
17/99

商人編 ハッピーハロウィンへ!の巻!



 極寒の地にあるサンタクロース(※白銀マン)のログハウス。


 そこで精神マンと眼マンはハロウィンの準備をしていた。


「ニャガニャガ……」


 子ども用の小さなお菓子の包を作りながら、精神マンは反省していた。


 スピンオフというから、てっきり完璧商人始祖だと勘違いしたのだ。ちょうどアニメも始まるし。


 ステカセ王のスピンオフも面白いが。


「シャバババ……」


 眼マンはハロウィン用の衣装(リクエストの多かったホラクエ2のギガンテス)を作成しながら、反省した。


 悪魔商人ワニゲーターを倒したのは眼マンである。微妙な気分になった。


 白銀マンはといえば外に出て、一人で黙って巨大棍棒を左右に握り、それを振るって筋トレしていた。


 厳粛なる雰囲気だ。本来の白銀マンは平和の神でもある。


 平和という「概念」と「存在の意義」を守るため、鍛錬の日々だ。


 だが、世界情勢は変わらない。むしろ悪化しているかもしれない。


 白銀マンが戦場に現れて戦い、戦争を集結させても、それでは何も変わらない。


 人類が「未来を守る」という決意をしなければ、未来は訪れない。


 完璧商人始祖のジレンマはそれだった。たとえ巨悪を討ったとしても、守ったはずの人類に未来を守る意志がないならば、意味がないのだ。


 今は人類の未曾有の危機なのだ。


 今の辛苦は人類自身、人類全てへの問いかけなのだ。


 未来を守るか、自身の欲望に負けるか。


 意志の決定が人類の未来を決める。


外道バカップルが〜……」


 だが白銀マンは深遠なるテーマからは遠く離れた境地にいた。


 彼女いない歴数億年の白銀マン(でも実は子孫がいる)。


 彼にとってハロウィンに浮かれる外道バカップルは、悪行商人に等しい。


 かつて悪行商人を成敗した時は、兄の黄金マンと並んで多数の者を殺害した事から「虐殺王」とあだ名された白銀マン。


 今年もハロウィンに赤い雨が降るのか。


「白銀マンさんには私がいるじゃありませんかー!」


 その時。上半身裸になった精神マンがログハウスから飛び出し、白銀マンへ突撃した。


 それは精神マンの究極奥義「秘密の花園」(※何それ)の発動した瞬間であった。


「ツアー!」


 白銀マンは殺意をむき出しにして、突撃してきた精神マンの足元へ滑りこむ。


 次の瞬間には腹筋の力で精神マンを宙高く放り上げた。


 それだけでは止まらない。自身もブリッジの姿勢で飛び上がると、何度も精神マンの体を腹筋で放り上げた。


「それでこそ白銀マンさんですよー!」


 精神マンは窮地にあって歓喜した。


 白銀マンに似合うのは、外道バカップルを憎む事ではなく、ましてや虐殺王でもない。


 万に一つの曇りない闘志で、全身全霊を以て大敵に挑む平和の神。


 それでこそ白銀マンなのだ。


「ハッピーハーロウィーン!」


 精神マンは半泣きになりながらも笑っていた。白銀マンのために貢献できるなら、それが精神マンの喜びである。

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