商人編 ハッピーハロウィンへ!の巻!
極寒の地にあるサンタクロース(※白銀マン)のログハウス。
そこで精神マンと眼マンはハロウィンの準備をしていた。
「ニャガニャガ……」
子ども用の小さなお菓子の包を作りながら、精神マンは反省していた。
スピンオフというから、てっきり完璧商人始祖だと勘違いしたのだ。ちょうどアニメも始まるし。
ステカセ王のスピンオフも面白いが。
「シャバババ……」
眼マンはハロウィン用の衣装(リクエストの多かったホラクエ2のギガンテス)を作成しながら、反省した。
悪魔商人ワニゲーターを倒したのは眼マンである。微妙な気分になった。
白銀マンはといえば外に出て、一人で黙って巨大棍棒を左右に握り、それを振るって筋トレしていた。
厳粛なる雰囲気だ。本来の白銀マンは平和の神でもある。
平和という「概念」と「存在の意義」を守るため、鍛錬の日々だ。
だが、世界情勢は変わらない。むしろ悪化しているかもしれない。
白銀マンが戦場に現れて戦い、戦争を集結させても、それでは何も変わらない。
人類が「未来を守る」という決意をしなければ、未来は訪れない。
完璧商人始祖のジレンマはそれだった。たとえ巨悪を討ったとしても、守ったはずの人類に未来を守る意志がないならば、意味がないのだ。
今は人類の未曾有の危機なのだ。
今の辛苦は人類自身、人類全てへの問いかけなのだ。
未来を守るか、自身の欲望に負けるか。
意志の決定が人類の未来を決める。
「外道が〜……」
だが白銀マンは深遠なるテーマからは遠く離れた境地にいた。
彼女いない歴数億年の白銀マン(でも実は子孫がいる)。
彼にとってハロウィンに浮かれる外道は、悪行商人に等しい。
かつて悪行商人を成敗した時は、兄の黄金マンと並んで多数の者を殺害した事から「虐殺王」とあだ名された白銀マン。
今年もハロウィンに赤い雨が降るのか。
「白銀マンさんには私がいるじゃありませんかー!」
その時。上半身裸になった精神マンがログハウスから飛び出し、白銀マンへ突撃した。
それは精神マンの究極奥義「秘密の花園」(※何それ)の発動した瞬間であった。
「ツアー!」
白銀マンは殺意をむき出しにして、突撃してきた精神マンの足元へ滑りこむ。
次の瞬間には腹筋の力で精神マンを宙高く放り上げた。
それだけでは止まらない。自身もブリッジの姿勢で飛び上がると、何度も精神マンの体を腹筋で放り上げた。
「それでこそ白銀マンさんですよー!」
精神マンは窮地にあって歓喜した。
白銀マンに似合うのは、外道を憎む事ではなく、ましてや虐殺王でもない。
万に一つの曇りない闘志で、全身全霊を以て大敵に挑む平和の神。
それでこそ白銀マンなのだ。
「ハッピーハーロウィーン!」
精神マンは半泣きになりながらも笑っていた。白銀マンのために貢献できるなら、それが精神マンの喜びである。




