特別攻撃
駆逐艦を沈めた。
後は、強襲揚陸艦そしてアパッチ。
沈みゆく駆逐艦の上で睨んだ。
アパッチの銃口は霊式をとらえる。
「行くょ」
付喪神に語りかけた。
「はい」
もう一度可変して大空へとまいあがる。
夜の闇の中、真紅の機体が目標になる。
機銃掃射が機体に穴を開ける。
もう引き返せない。
コクピットのガラスが割れる。
「ウォォォォ」
「カ・ミ・カ・ゼ」
付喪神がコダマする。
可変して機関銃をつかんだ。
勢いで両機体がまとまって艦橋に激突する。
アパッチが腕を振る。
「グワァ」
霊式が吹き飛ばされる。
距離が開く。
エンジンの出力はアパッチが上である。
「死ね、吸血鬼」
スピーカーでわめく。
不死者の侮蔑語、かつて飲み過ぎた人間が死ぬ事なくウイルス感染してそれが広まった種族。
精神力で吸血衝動を抑える個体もあるが、吸血して殺す個体まある。
ソフィア正教会が悪魔認定した。
アパッチが霊式を蹴る。
海に落ちたら動けなくなる。
いや、それはお互いにか、
なんとか海に引きづりおろせば、
最低相打ちにはもちこめる。
「楽には殺さんぞ」
左腕を振り回される。
横Gがかかる。
腕がちぎれる。
「中破、もう飛行はできません」
付喪神が報告してくる。
「アイツを海に沈めたい、何か手がないか」
「力のない力士が足を持って土俵に追い込む技がありますが」
「それしかないか」
左足にとびついた。
「無駄な、アガキを」
背中をつかんでひきはがされる。
海に落下しないように制御するのが精いっぱい。
「今、コクピットから引きづり出してやる」
左手で頭を握って引きづりあげられると、右手でコクピットを握り潰してくる。
「このまま握りつぶしてもお前らは簡単には死なないだろう」
その時、船体が大きくかたむいた。
モアが反重力プレートで横に落下してきた。
衝撃で船が転覆した。
これが最後のチャンス。
計器もレバーもハンドルも吹き飛んだ。
「付喪神、最後のお願い。アイツを海に」
返事はない。
傾く甲板の上で霊式が体当たりした。
お互いに沈む。
「やったー」




