11.子息令嬢――「令息」「息女」はなじみがない?
「王立学園は、13歳から18歳までの、貴族の子息令嬢が通う学園である」
みたいな表現をときどき見かけます。
しかし、「子息」と「令嬢」は、本来、対にして使うものではないはずです。
「令嬢」と対になるのは「令息」。
「子息」と対になるのは「息女」(または「子女」)。
つまり
令息←→令嬢
子息(息男)←→息女(子女)
という関係のはずです。
思うに、「令嬢」「子息」に対して「令息」「息女」という言葉の認知度が低いため、執筆者がそういう表現を思いつかないのではないでしょうか。
※言い訳※
上記で、「子息」「息男」「息女」「子女」の使い分けがごちゃごちゃしていますが、この辺の対応関係がはっきりしないせいです。
例えば『広辞苑』(第6版)は、「息女」の対義語として「息男」を、「息男」の対義語として「息女」を挙げています。一方『使い方の分かる類語例解辞典』(小学館・1994年)は、「息女」の反対語として「子息」を挙げています。
「子女」という言葉には、「帰国子女」のように息子と娘両方を指す場合もありますから、誤読を避けるためにも「息女」を使ったほうが良いのではないかな、と思います。




