そうだ買い物に行こう④
どうしてこうなった。
俺の前には美少女と美女が二人ニコニコと談笑をしている。
ここはショッピングセンターのフードコート、俺たちは買い物を済ませ、ここで少し休憩しようと言う話になった。
一人は元気いっぱいで『あれは何だ!』と五分に一回立ち止まり何事にも興味津々だ。
もう一人はクールに元気な少女の問いかけに間髪無く答えて行っている。二人ともなんかすごい。
元気いっぱいコーデリアの服装を女性目線で選んでくれるらしい。そこには本当に助かった。男の一人暮らし、女性経験はゼロに等しい。そんな俺に女性服のファッションセンスがあるわけがない。
アオイさんが選んでくれた事は本当に助かった。特に下着は俺じゃ絶対にわからない。
コーデリアさんの来た世界、ロスガレスにも下着は存在しているとの話だが、昨日来た時に全部濡れてしまった。一応洗濯はしたけれど、出かける時にはまだ乾いていなかった。
『あ、私下着無くても大丈夫です!』と言われたがさすがにそれはまずい。
俺も男だぞ、もうちょっと考えポンコツ娘。
「なななななな、なんですかこれは!」
「え、どうしたの?」
「この飲み物……! 冷たい! それに果汁が新鮮であります!」
「……当たり前じゃない。オレンジジュースなんだから」
アオイさんがポカンと口を開けてコーデリアを見ている。ですよねー。
「私の国では、このような飲み物は存在しなかった! ラリララ!」
出た『ラリララ』、彼女の国トゥーリアの言葉で美味しいという意味らしい。
「一体どんな田舎から出て来たのよ」
「ラリララ! ラリララ!」
コーデリアが満面の笑みを浮かべる、何故かアオイさんが呆れて笑い出す。二人のそのやり取りを見ていて、つい俺も笑ってしまった。
「ふふ、良かった。トモヤ君、やっと笑ったね」
「え……」
「ちょ、ちょっと心配していたのよ。ほら……あんな辞め方しちゃったから……その、元気ないのかなーって……」
アオイさんはそういうと頬を赤らめ、慌てて俺から目線を逸らしアイスコーヒーを啜った。何この可愛い生物。高校時代から十分美人だったけど大人になってから色気が増した気がする。
これは『デレ』と言うものですか。
いや、まさか俺なんかにあのアオイさんが『デレ』る訳はない。気のせいだな。うん。
「ご、ご心配おかけました……」
「んまーーーいい!」
「こんなに美味しそうにオレンジジュース飲む人、初めて見たよ」
「アオイ殿は何を飲んでいるのだ? 黒い液体、トモヤ様と同じだな!」
「アイスコーヒーだよ、飲んでみる?」
首を取れるんじゃないかと思える程コーデリアが激しく頷く。大きな目がキラキラしている。こうしてみるとどこにでもいる十代の女の子、何事にも興味を示し本当に可愛い。
そのままアオイさんが飲んでいたアイスコーヒーを一口啜る。
「んが! に、苦い!」
彼女はプルプル震え、その可愛らしい顔がコーヒーの苦みで渋い顔になった。
「コーヒー飲んだことない?」
「何だこれは! 何故こんなに苦いのだ!」
「初めは苦いだろうけど、慣れてくると美味しいのよ」
「そ、そうなのか! 日本人凄いな!」
この世界の人間でコーヒーの味を知らない人は彼女ぐらいだろう。その新鮮な反応にどうしても頬が緩くなる。
確かに俺も初めてコーヒーを飲んだ時、『どうしてこんな苦い飲み物を飲むのだろう』と思っていた。けれどアオイさんが言うように慣れてくると飲みたくなる。
「アオイさん、ありがとうございます」
「う、うん。気にしないで」
またアオイさんが俺から視線を逸らす、少し顔が赤くなっていた。きっと寝不足なんだろう。昨日あんまり眠れなかったって言っていたし。
何故かアオイさんがもじもじしている。トイレに行きたいのだろうか。
しばらく談笑をして俺たちは食料品を買うためにアオイさんにお礼を述べた。するとアオイさんがまた買い物を手伝ってくれるとの事。
俺たちは何故かショッピングカートを押し三人で食料品を選ぶ事に。
「今日は……、何にしようかな、コーデリアさん何か食べたい物ある?」
「おお! それなら昨日の唐揚げというのがとても美味しかったのである! また食べたい!」
「え、昨日のはコンビニ弁当だから……じゃあ家で揚げるか」
「トモヤ君、料理出来るの?」
「え、ええまあ。これでもずっと一人暮らししていますので簡単な料理ぐらいは……」
「アオイ殿は唐揚げ好きか?」
「うん、私も唐揚げ好きよ。あー私も今日唐揚げにしようかしら」
「おお! ならばいっしょに食べようぞ!」
「え」
「え」
何を言い出すんだ、このポンコツ娘。誰が料理すると思っているんだ。
「トモヤ様、ダメか……? 食事は大勢で食べた方が美味しいと思うのだが」
「確かにそうだけど……アオイさんにも予定があるだろうし……」
「良いよ」
「ね、アオイさんにもよて……えええええ! 良いんですか!」
「うん、特に予定無いし、コーデリアさんとの話楽しいしね」
なんという事でしょう。状況がどんどん変化していくぞ。
それから俺たちは食料品を買い帰宅。アオイさんは一度家に帰り荷物を置いてから来るという事になった。
俺は家に帰りすぐに掃除を始める。
乾いた洗濯物はクローゼットやタンスへ収納し、聖剣トワイライトもクローゼットに隠す。こんな物騒な物を見られたら洒落にならない。
ついでにコーデリアが来ていた服もクローゼットにしまう、さすがにこの服装も目立ちすぎる。
俺はスマートフォンで時間を確認し、テキパキと部屋を掃除する。
しばらくすると家のインターフォンが鳴った。
俺は部屋の扉を開けアオイさんと対面する。先程の恰好を違い着替えていた。メイクもバッチリ決めてきている。これが彼女の余所行きの恰好なのだろう。
家へ招き入れる時、アオイさんの髪からフワッと良い香りがした。
凄く魅力的だ。
アオイさんは手に持っていた鞄から数本缶ビールを出した。
「て、手ぶらも何だから……少し飲み物買って来たわ。コーデリアさんは飲めないだろうけど、トモヤ君は飲むよね?」
彼女が上目遣いで俺を見る、その角度犯罪です。
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