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13/23

報道

「では、続いてのニュースです。昨夜十一時頃千葉県で起きた謎の爆発事件について、警視庁は特別対策チームを発足。全力で事件の究明に臨む見解を示しました。警視庁は初期の発表として『ガス爆発』によるものとしております。ここでコメンテーターの東京化学大学准教授の永井さんにご意見を頂きたいと思います。永井さん、この事件、夜遅く謎の爆発事件として本当に近隣の方は恐ろしい思いをしたと思いますが、永井さんはどのようにお考えでしょうか?」

「はい、現在警視庁が事件の究明にあたっておりますが、そう簡単には解明できないでしょう」

「と、申しますと?」

「現在、インターネット、SNSにて謎の爆発事件と前後して、何人かの人影を目撃したという情報が挙げられております」

「つまり、永井さんはその謎の人物がこの事件に何らかの形で関わっていると仰るのでしょうか」

「はい、私はそう思います。千葉駅周辺で発生した謎の爆発、これを見てください」

「それは?」

「千葉駅に設置された定点カメラの画像です。この画像おかしいと思いませんか?」

「と、申しますと……私にはただの爆発のようにしか見えませんが……」

「では、爆発とは一体何なのでしょうか? 爆発とは圧力が急激に発生したり解放される現象を指します。その際には、熱、光、音を発生させます。所謂化学反応です」

「永井さんの仰っている意味が良く理解出来ないのですが」

「では、こちらの画像を見てください。これは爆発が起こった後の建物の画像です。どうですか? 建物に熱を受けた形跡がありません」

「確かに。言われてみれば爆発が発生した際には炎があがり火災事故などに繋がりますね」

「そうなんです。この画像を見る限り建物の損壊は確認出来ますが、火災事故には至っておりません。これは他の建物にも当てはまります。つまりこれは化学反応による爆発ではない事がわかります」

「ちょっと待って頂けますか。化学反応ではない爆発。そんな事あり得るのでしょうか?」

「爆発は大きく分けて二つの種類が存在します。こちらをご覧ください。これは爆発の種類を大きくまとめたものになります。一つ目は物理的爆発。ガスなどで圧力が高まった際に起ったり、水蒸気爆発などがあります。火山の噴火や隕石の衝突もこちらの物理的爆発にあたります」

「なるほど」

「二つ目は化学的爆発になります。皆さんがご存じのようなガス爆発、空気中に舞った粉が連鎖的に燃焼する事で起こる粉塵爆発。どちらも燃焼によるものです」

「永井さんは今回の爆発事件、どちらとお考えなのでしょうか?」

「私は今回の爆発事件。物理的爆発でも化学的爆発でもないと考えます」

「と、いうと?」

「その根拠となるのが先程お見せした。こちらの画像です。よく見てください。建物は破壊され、瓦礫が積み重なっております。しかしそのどれも燃焼した形跡がないのです、いわゆる燃焼痕がありません」

「爆発によるその……燃焼痕が無いとどうなるのでしょうか?」

「つまりこれは第三の爆発だと言う事になります」

「第三の爆発?」

「はい、これは物理的爆発でも化学的爆発でもない。全く別の力による爆発です」

「そんな事あり得るのでしょうか?」

「現に昨夜千葉駅周辺で十数件の爆発が発生しました。しかしそのどれもが物理的爆発でも化学的爆発でもありません。中には物理的接触による損壊はあったようですが」

「永井さん、これはどのような現象だとお思いですか?」

「これは私の荒唐無稽な推測なのですが、この第三の爆発は、未知の力によるものだと思います」

「未知?」

「はい、根拠はありませんが、どこかの研究施設が海外から持ち込まれた謎の兵器によるものか、現在インターネットやSNSでも推測がなされておりますが、これはただのガス爆発ではない」

「警視庁の見解では、建物内にあった配管にガスだまりが発生しそれが爆発したと言われておりますが」

「その可能性は低いと思います。考えてみて下さい。十数件も連続してそれが発生するでしょうか? しかもあの短時間に」

「確かに考えにくいようですが……警視庁の見解は間違っていると仰るのでしょうか」

「はい、私個人の推測ですが警視庁の見解は何かを隠しているように思えます」

「第三の爆発はガス爆発ではなく、それを隠そうとしていると? 何を隠そうとしているのでしょうか?」

「それはわかりません。しかしこの画像を見てください」

「これは?」

「先ほどお見せした一枚目の画像です」

「千葉駅の定点カメラの画像ですか」

「はい、ここに人影らしきものが見えます」

「永井さんはこの人影は一体何だと思われますか?」

「恐らくこれはこの第三の爆発を行った人物であると私は思います」

「それはただ事ではありませんね。つまりこの人物による、犯行だと?」

「はい、この第三の爆発は物理的爆発でも化学的爆発でもない事はわかって頂けたかと思います。つまりこの人物はそのどちらも使わずに第三の爆発によってこれだけの被害を及ぼしています」

「永井さんはこの事物をどう分析されますか?」

「正直、情報が少なすぎてわかりません。しかし次の画像を見てください」

「それは?」

「これはSNSにアップされた動画です。あまりに遠くに居るため顔などはわかりませんが、これをうちの化学班が解像度を上げたものがこちらになります」

「若い……男女のようですね」

「はい、これ以上は拡大出来ませんでしたが、三人の若者らしき人影が写っている事がわかります」

「男性のひとりは手には武器のようなものを所持しているように見えますね」

「恐らく片手剣か棒でしょう。柄も見えます」

「これでもうひとりの男性と戦っているようにも見えますね」

「そうです。この次……ここです! よく見てください。男性の手から何か光が発せられております」

「これは一体どういう事でしょうか」

「この動画では詳細まではわかりませんが、これは手に何かしらの武器や兵器のようなものを携帯しているのではないかと思われます」

「兵器? 今兵器と仰いましたか?」

「はい、第三の爆発はこの手から発せられた謎の現象ではないかとSNSでも噂になっております」

「永井さんも同じように思われますか?」

「正直、この動画だけではハッキリと申し上げれません。ただ」

「ただ?」

「彼らが第三の爆発に関わっている事は間違いないと思われます」

「なるほど、ありがとうございます」

「いえいえ」

「では、ここでその人物によるニュースです。昨夜謎の爆発事件付近で度々目撃された人物の画像がこちらになります。ここでこの画像を撮影された方と電話がつながっております。桜田さん、聞こえますでしょうか?」

『はい、聞こえますー』

「その時の状況を教えて頂けますでしょうか?」

『はい、彼ピと買い物に出掛けて夕飯を食べた帰りだったんですけどォ、なんか突然千葉駅ンとこのビルが崩れて私大急ぎでその場に向かったんです』

「はい」

『そしたらァ、なんか人混みが凄くてよくわかんなかったんだけどォ、なんか空に人影が見えてェ』

「はい」

『私ィ、慌ててスマホのカメラ起動したんですよォ。なんかめっちゃ早くてうまく撮れなかったんだけど、なんかユニク〇のジャージ着た男の人が黒っぽい服の人と空中戦してて、マジでビックリしました。彼ピには見えなかったみたいなんだけど、私ははっきりと見た訳。でも彼ピにこの話しても信じてもらえなかったんで、SNSでこの動画上げたんです。でも彼ピが……』

「桜田さん、ありがとうございました。さて、加世田さん、この動画どう見られますか?」

「SNSでもう有名になってるんでしょ? この男性」

「どうやらそのようです」

「なんて呼ばれているんだっけ。ジャージの男?」

「ジャージの剣士ですね」

「そうそう、そのジャージ君。彼がさっき永井さんが言った爆発事件と関わってるんじゃないかな?」

「加世田さんはそう思われますか」

「だって、そうでしょ。永井さんが言った通りだよ。SNSでもこのジャージ君の事で大騒ぎだし」

「確かにトレンド入りしていますね」

「でしょ? 私はあんまり詳しく知らないけど、謎の兵器で街を破壊する男とそれを防ぐジャージの男、なんかかっこいいよね」

「加世田さん、それは不謹慎じゃないか。けが人だって出ているんだよ」

「永井さんは偉いとこの学者さんだから、そう思うだろうけど、私のように芸能界に生きて来た人間からすれば、なんかかっこいいと思っちゃうね。だってこのジャージ君がその第三の爆発を止めたわけでしょ?」

「それはまだわかりません。警視庁の見解を待たなくてはいけません」

「そんなのいつまで待っても真実は明らかにならないよ。私のが前に……」


 俺はテレビのスイッチを切る。

 やれやれ。とんでもない事になった。


「はぁ……いきなり有名人になっちゃったよ」


 俺は頭を抱える。

 昨日の夜、コーデリアを救うために聖剣トワイライトを強く握りしめた。すると俺に魔力が宿り、その魔力で魔族を撃破した。

 それが一日も立たないうちにニュースによりSNSでも拡散する羽目になった。

 幸いにもまだ身元は割れていない。


 俺はチラリと隣に座るコーデリアを見た。目がキラキラと輝いている。


「これは……一体どんな原理なのだ! こんな黒い板の中に人が! 人がいたぞ! それも何人も! そういえば昨日も色々な人間が小さな板を持っていたな! あれは一体何だったのだろう。トモヤ様も持っていたな! あれはなんだったのだろう?」


 彼女は液晶テレビの裏側に周り大声ではしゃぎだす。そういえばテレビの事を説明していなかった。


「す、すごいな! さすがジャポネだ! これも魔法によるものなのか!」


 とりあえず手に持ったポテチを置こうか。ツッコミどころが多すぎて頭が追い付かないぞ。


「トモヤ様の事を言っていたな! 『じゃーじ』という実にカッコいい名前であるでござる!」


 いや、全然カッコよくないし。

 確かに昨日ジャージ着ていたけど、そのまま過ぎないか。もう少しカッコいい名前を付けてくれよ。


この度はお読み頂き、本当にありがとうございますm(*_ _)m


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またレビュー、ご感想などありましたらこちらも合わせてお願い致します


皆様が面白いと思える物語に仕上げて参りますので、これからもどうぞよろしくお願い致します。

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