5話 正体不明の女の子
僕は、たった今会社に着いた。
会社には電気が点いておらず、誰もいないのか?
と思った。
誰かが一人いた。
それは、真っ白な肌と真っ白な長い髪の少女だった。
ジッと見ていると吸い込まれるのではないかと思ってしまう青色の瞳を僕に向けていた。
そして、その後ゆっくりと僕に近づいて来る。
その子は、僕の耳元にまで近づき、静かな声でこう言った。
「きみは、さいきんいんしょうにのこるゆめをみた。」
「きみは、そのゆめをけっしてわすれてはいけない。」
そう言うとその少女は、僕のおでこに優しく口づけをした。
正体不明の少女の唇が、僕のおでこに付く。
その後、その少女が光に包まれ。眩しさで堪らず目を瞑り、再び目を覚ますと、普通に会社に居た。
しかも、遅刻したという事実も無くなっているようだった。
その後は、特に怒られることもなく、仕事が終わった。
僕は、その不思議な経験を、もう二度と体験することは無いのだろうけれど。
再び、あの少女に出会えたら。
次は、会話が出来たら。
あの不思議な体験は何だったのか。
そう思いながら僕は、目の前のテーブルを見る。
そこには、一枚のコピー用紙とその上に一枚の白い羽が乗っていた。
コピー用紙を裏返す。
そこには、こう書いてあった。
きみはそのゆめをけっしてわすれるな
ぼくもきみのことはわすれない
そしてぼくのことをけっしてだれかにいいふらさないこと。
ぼくは、きみのことをみているからね