表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第1話

よろしくお願いします。

「ゴブリンに気を付けるんだよ!」


母が、洗濯に川へ行こうとしたアタシにいった。

でもアタシを本当に心配しているワケじゃない。

働き手が1人減ったら困るからだ。

それは母の投げつけるような口調でもわかる。


赤切れの手は沁みるけど、友だちのルナと話ができるので、洗濯は好きだ。


洗濯場に着くと、ルナはもう来ていた。

「おはよう!」

「ドミンガ、遅かったじゃない!」

少し拗ねたように、ルナがいう。

「ごめん! 弟が食事の片付けのジャマするから遅れたの」

「ロペ?」

「今日はパト! めんどくさいったらないわ! キツくいったら親に叱られるし」

「アンタのトコ、男の子には甘いからね~」

「ホントよ! アタシも男に生まれたかった」


たわいもない話をしていると、村の男の子たちが3人で歩いてきた。

そのうちのバス―ラが、声を掛けてくる。

「ルナ!」

「何? アンタら畑仕事に行かなくていいの?」

「今日はいいんだよ。それよりルナに話があるんだ」

「?」

バス―ラは、ルナの耳元に口を寄せた。

「オレたち、村を出て冒険者になろうと思ってるんだ」

「え?」

「明日の朝、村を出るつもりなんだ。良かったらオマエも来ないか?」

「あんたら剣なんて使えないじゃない」

「何いってんだ! セルドもドロテオもすごいんだぞ!」

バス―ラは、他の2人を見ながらいった。

「ただの決闘ごっこでしょ。実際の戦いとはちがうわ」

「バカだな。同じだよ」

「うぬぼれ屋ね」

「オヤジたちみたいに、このまま村でくすぶってるような人間じゃないんだよ、オレらは!」

「ふ~ん、好きにすればいいんじゃない?」

「え? オレたちと来ないのか?」

「行くわけないでしょ」

「オマエだって、こんな村で一生を終えるつもりないだろ?」

「アンタらと行くなんてイヤだわ」

「なんだよ! つまんねえ女だな!」

アタシは、ずっと話を聞いていた。

そうして、決心した。

「アタシが、行く」

ルナが驚いて、いった。

「え? 本気?」

「うん、本気」

ルナが耳打ちする。

「やめなよ。アイツらバカなんだから、一緒に行ったってロクなことないよ」

「このまま村に居たって同じだよ。ロクなことないよ。弟と家事で人生終わるなんてつまんないよ。それにドロテオが…」

「ああ…」

ルナには話したことがあったけど、アタシはドロテオのことが好きだった。

ドロテオがいないこの村で、生きていたって意味がない。

ドロテオが何か言いたげにアタシを見ているのに気付いた。


一緒に来て欲しいんだ…


ルナにはわからないけど、アタシにはわかる。

ドロテオもアタシのことが好きなんだ。

でも言い出せないんだ。

恥ずかしがり屋だから…


バス―ラがいった。

「ドミンガか… まあいいや。仲間は多いほうがいいからな。明日陽が昇る前に一本杉の所に来いよ」


バス―ラたちが去った後も、ルナはアタシを説得しようとしたけど、アタシは気持ちを変えなかった。


そしていつものように弟の世話をして、夕食を作り、後片付けをした。


決意を秘めて…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ