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71話 ラナンキュラスと今後のこと


焔龍(バハムート)のラナンキュラス……良いでしょう、気に入りましたわ!」


 僕はその場の思い付きで名前を考えたが、お嬢様は大変お気に召したようだった。

 少し蔑称の意味合いを込めた事は黙っておこう。



「あら、決まったのかしら?」

「内緒話は終わった~?」


 スミマリちゃんが下から聞いてくる。

 もう小声で話す必要はなかった。

 僕はお嬢様ドラゴンことラナンキュラスから飛び降りて、地面に着地する。


この子(バハムート)の名前が決まったよ」

「マリィママ様、スミレ様。

 わたくし、今後はラナンキュラスと名乗るように致しますわ。

 以後宜しくですの」


「この子、バハムートになったの?

 まぁ、今まであったことからすれば些細なことかしら……とにかくラナ、よろしくね」

「らなんキューらすちゃん?」


「別に今まで通りでも構いませんわ。

 そのために良い名前をクローバー様に考えて頂いたのですから」


 これで名前の件は決着が着いた。


 とはいえ、何もかもが上手くいっている訳ではない……。

 僕は懸念事項が増えたことを聞いてみる。


「それで、エトワールに戻るんだよね?

 ラナを連れて行けるの?」


「それは……」

「ええっと……」


 二人は僕の質問を受けて考え込んでしまう。

 それもそうだ。妖精族(エルヴス)に加えドラゴンが2段階進化して街にやってきたとなれば、大騒ぎになるのは目に見えていたからだ。



「やっぱり少しでも警戒心を解く方向でいった方が良いと思うんだけど……」

「そうね……確かにこれは、無理かもしれないわ……」


 マリィちゃんが先に結論を得ると、ラナンキュラスは嘆きを得る。


「えっ……わたくし、また置いて行かれるんですの……?」

「ごめんなさい。でもラナも、エトワールで炎の攻撃を受けたでしょう?

 人はああやって魔獣に対しては聞く耳を持っていないから、人の街に連れて行くのは難しいのよ……」


「……そうですわね。この世界は野蛮に満ちておりますわ。

 わたくしも子供みたいな駄々はこねられません。

 事情がはっきりしているのならば、お留守番することは許容出来るのですわ……」


「ごめんねぇ~キューちゃん~」

「スミレ様……宜しいんですのよ。

 今度は淑女らしく大人しく待っているんですのよ……」


 ラナンキュラスが淑女かどうかは正直無理があるかと僕は思うのだが、反論もなくそれで彼女のお留守番は決まった。



「それじゃあ……レベリングも飽きたし、今日はもう休みましょう?」

「マリィママ様。出発はいつになるんですの?」


「明日にするわ。ラナには、ここで待ってもらってても大丈夫かしら?」


「大丈夫ですが、わたくしはこの猫娘(ヒミコ)に謝らなければなりませんから。

 待っている間の時間は謝罪に使わせていただきますの」


 ラナンキュラスは猫娘をヒミコと呼んで、暴れ喚いたことを謝罪し始める。

 僕達はそれを見て話は終わったことを確認し、もう宿屋へと向かう所だったが……


「ほら、ヒミコ。先ずは許して頂戴な……」

「あの、その、私もビックリしてしまって、ごめんなさい……」

 

 気が気でないような展開が始まってしまっていて、僕は予想外の方向から頭を殴られたような気分になっていた……。



(百合……まさか、()()……?

 ドラゴンとアサシンキャットの百合……無いな。いやむしろ有りなのか?

 ボクも半分は人とは言え人とは違う種族なのだし、姿が違うことなど許容……受け入れる姿勢を持つべきなのかもしれない。

 しかしこの巨体で始まるのか? 組んずほぐれづの百合が?

 ボクの脳内でお嬢様を軽率に人化の術でも始めるしかないかッ……!?)



 僕が叶いもしない不毛な妄想に耽っていると、もう宿屋の前にまで来ていた。 


「あら……?」


 宿屋の前には、少し職人みたいな風貌の猫娘族(アサシンキャット)が立っていた。


「…………」

「えっと……?」


「ん、」


 彼女は何やら小さな箱を取り出して、短い言葉で突き付けてくる。


「えっと、私達に……?」

「最高の仕事が出来たと自負している。受け取れ……」


「あっ、どうも……」


 小箱がスミレちゃんの胸に押し付けられると、職人さんはそのまま僕達を横切ると立ち去ってしまった。

 一体何なんだと首を傾げると、スミレちゃんがその答えを教えてくれた。



「頼んでたものが一日早く出来たから、それで届けてくれたみたい~」

「なるほど、それでね」


「後で開けよ~ね~!

 先にご飯も食べて、休もうよ~」

「そうしましょうか」



 さて、僕は箱の中身はお揃いの指輪だと分かっているので、これから僕達は指輪の嵌め合いっこをしたり、結婚を誓ったりするのかもしれない。


 そのことに想いを馳せると、僕は今、究極の幸せの真っ只中にいるんだなあと、自覚せずにはいられなかった……。


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