優しい死神
第ニ話《軍人と死神》
兵士「中隊長、これ以上は危険です!」
中隊長「駄目だ、やらなければ…」
戦車がこちらを向く
兵士「ッ!」
砲弾が隊に直撃した…
中隊長「おい!立て!立つんだ!」
敵兵が近づいてくる
中隊長「クソッ」
銃声が鳴り響く
兵士「ここは…はっ!…中隊長!」
中隊長が壁に寄りかかって倒れている
近くには敵兵の死体が…
兵士「中隊長!しっかりしてください!」
腹部から血が出ている
中隊長「俺はいい…はや…く…応援を…呼べ……」
兵士「喋っては駄目です!」
中隊長「はやく…し…ろ」
敵兵「まだ奴らはいるぞ!」
兵士「な、なんでまだ敵兵が…」
無線「ミサイル発射まで150秒…」
中隊長「俺はいい…はやく…にげろ!」
兵士「隊長を置いてはいけません!」
中隊長「いいからいけ!」
銃を発砲する
兵士「隊長…本気なんですか…」
敵兵「敵は近くにいるぞ!」
兵士「俺は絶対にあなたを…」
敵兵「いたぞ!」
兵士は急いで走って行く…
それを微笑みながら見ている…
爆発の音が兵士の背中に響く…
死神「あなた、こんな事で良かったんですか?」
中隊長「ああ…」
死神「変な人もいるもんだ」
かつての兵士は今老衰しようとしている
周りには泣いている娘と孫
手を握っている妻
死神「時間は4分です」
そう言って死神は兵士の魂を半分取り出した
兵士「ああ…中隊長、私は…」
中隊長「駄目だ…お前は家族に
ちゃんと別れを告げていないだろ…」
兵士「中隊長…」
中隊長「こっちに来るのはそれからでいい…
待ってるから…」
兵士「…」
ピッピッピッ
妻「お医者様を呼んで!」
ありがとうございます…中隊長…