2020年3月14日:お題『魔法少女』
わたしは魔法少女が嫌いだ。
サンタの真実を知るよりも早く、わたしは魔法少女の幻想を打ち砕かれた。
小さい頃は人並みに(もしかしたら人並み以上に)憧れた覚えもあるけれど、あれは何歳の誕生日だっただろうか……。
当時放送していた人々の夢を守る十何代目かの魔法少女たち、取り分けスポーツ万能の青色の子が好きで、私も小学校に入ったら運動部に入ろうと決意した。
魔法のステッキのCMを見てからは、親を拝み倒し、お手伝いを欠かさずにこなして、ようやく誕生日に変身セットを買ってもらう事ができた。
やったぁ! これで私もあの子達と一緒に戦えるんだ!
変身の呪文を唱えて、魔法のステッキを振り、手元のスイッチを入れる。
魔法のステッキはチープな電子音を響かせてぴかぴかと安っぽく光り輝いた。
ドレスも、ティアラも、グローブやブーツも現れはしない。
……変身できないんだけど?
「あっははは! 何言ってんの、あたりまえじゃんおもちゃなんだから」
無情に響く親の笑い声に唇をかみしめた。
だってそんな事は知らなかったもん……。
だから、夢を守ってくれなかった魔法少女が、私は嫌いだ。
初出:https://twitter.com/Brigitt_L_Forge/status/1238811590314450944