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第五十一話 接僧ミソジ⑩

お待たせしました、更新再開します。相変わらず頻度はマイペースなのは、ご容赦ください…(;´д`)

景色が戻る。


燃えて朽ちかけていた宝生クリニックは、以前の姿を取り戻し、中庭に出来ていた戦いの傷跡や、折れかけていた大木の割れ目も丸ごとなかったことになっていた。


「どういうこった……? 確かにメチャクチャにされたはずなのに」

ホウジョウは、目を白黒させている。


「まぁ、簡単に言えば、さっきのはゲームの中の出来事って感じですかね~」

タロウはそう言いながら、ホウジョウに手を貸して立ち上がらせる。


「ゲームってあれか? テレビの前に座ってピコピコするやつか?」


「先生、その台詞ついさっき聞いた気がするのは、ただの気のせいっすかねぇ……」

カリノは、呆れながらもどこか楽しそうだ。


「まさか、全くゲームをやったことがない類いの人?」

タロウはカリノに尋ねると、彼女は無言で頷く。


「この状況を、まさかの知識ゼロの人に教えないといけないとか、どんな無理ゲーだ……」

崩れ落ちそうになるタロウを見て、カリノはニヤッと笑う。


「その台詞もついさっき言った気がするのは、気のせいじゃあないっすね~」


タロウでは不安なのでハルイチが、ホウジョウに簡単に状況を説明する。


それでも小一時間かかって半分わかってもらえたかどうか、というレベルだった。


「お前らの適応力が高すぎんだよ、一般人ってのはこんなもんだ」

そう言ってまた豪快に笑うタチバナ。


「その黒い衣装の女の子も、()()()()?」

タロウはタチバナに聞いた。


「そうだな、役割は俺らとは少し違うがなー」


「私は、バグを見つけてぶっ殺す【デバッガー】だよ~」


「ストーリーの進行を守るのと、何が違うんですか?」

今度はハヤカがカリノに聞いた。


「いい質問だね~、さっすがハヤカ! んとね~そこのオッサン達がストーリーの進行を監視してて、そこで発生するバグ、要するにさっきみたいな邪魔者を見つけたら私に連絡する役目。 んで私がそれをぶっ殺して修正する役目。 ただ、最近その仕事が退屈でつまんないみたいで、頼んでもないのに現場に出てくるんだけどね~」


「あー、なるほど」

タロウはそれを聞いて、思い当たる節がありすぎて何度も頷く。ハルイチは、何か難しい顔をしていた。


「ま、まぁいいじゃねーか、先生にはその都度怒られてんだから」


「で、さっきの異世界の化け物っていうのが、何で山田さんの邪魔をしてくるんですか?」

ハルイチは、頭からこぼれそうな数の質問の中から最初にそれを聞いた。


「それはねー、今はまだ言えない約束なんだー」

カリノは、悔しそうに答えた。


「んだな、このゲームをクリア出来て、()()()()()()()()()全部教えてやらぁ」


「教えられるほど理解出来てないし、覚えてないでしョ」

存在感を完全に消していたジローが、タチバナに突っ込んだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


主人公は、魔王討伐の旅の途中にとある国を訪れた。


その国では、謎の病が蔓延していた。それは発症すると身体中から血液を吹き出しそのまま死に至る病であった。


治す術を見つけられないその国は、感染の拡大と共に国としての機能を失いかけていた。


その国にある小さな村で、必死に病を治そうとしている一人の男と出会った。


その男は、その村出身の僧侶で、若くしてその治癒魔法の才能を認められ、宮廷で王族専属の治癒士として働いていた。故郷が病に襲われたという一報を聞くと、いても立ってもいられず早馬に乗って駆けつけた。


主人公と出会った僧侶は、その村に伝わる伝承を話した。


漆黒の森の奥に、あらゆる穢れを浄化する泉がある、と。


ただし、その森は地獄に通じていると言われるほど強い魔物が跋扈しており、泉に向かい生還した者はいまだかつて存在しないとすら言われていた。


主人公と戦士、魔法使い、そして僧侶で森の攻略に挑むことになった。


森の奥で待ち受けるのは、病の元凶たる魔王軍四天王の紅一点、ウェスドク。

ありとあらゆる病毒を操る強敵に、彼らは果敢に戦いを挑む。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ってのが、僧侶が仲間になるメインストーリーね」

カリノは、どこからか取り出してきた紙芝居で説明をした。


「顔が真っ青ですよー、大丈夫です? えっと…」

その話を聞いた途中から、顔面蒼白になったホウジョウを心配したタロウが近づく。


「あ、あぁ、まだ自己紹介してなかったな、宝生永人ホウジョウエイトだ。 よ、よろしく、でいいのかな?」


「俺は、山田太郎、一応、株式会社ユニコーンサークル所属の勇者だそうです」

そう言うと、タロウはハルイチをチラリと見る。


「操真晴一です、魔法使いやってます」

ハルイチに続いて、


「一文字隼歌です、センターで戦士を担当してます」

アイドルの自己紹介のような言い回しをした。


「君はどこかで見たような…」

ホウジョウは、ハヤカをじっと見つめて首を傾げる。


「でだな! こっからストーリーを修正するわけだが」

タチバナが、突然割って入る。


「本当だったら、森の迷宮ダンジョンに変わった現実の病院で僧侶と出会ってもらうはずだったんだが…」

タチバナはホウジョウを見て少し心配げな表情を見せる。


「お医者の先生には、何もわからないままゲーム化に巻き込んで戦ってもらおうとしてたんだが、さっきあんな怖い目にあったんだ、無理に進めようとは思わねぇよ…」


「ゲームってのは、よくわからんが、要するにさっきみたいな事をやれってんだろ? 俺に…、なんで俺なんだ?」

ホウジョウは、とんでもない厄介ごとに巻き込まれたと言わんばかりにその場にへたりこんでしまった。


「それは」

タチバナが、何かを言おうとした途端、ハルイチの携帯が鳴り響いた。


「父さん?」

着信先を確認すると、すぐに電話に出る。


深刻な様子で、何度も頷くハルイチ。

電話を終えると、父親からの話を伝え始めた。


「俺の父親は、医者なんですけど、勤務先でウィルスの集団感染が発生したって……、しばらく家に帰れそうにないって……」

身体は小刻みに震え、今にも涙がこぼれそうな様子にただならぬ空気が流れる。


「その、ウィルスの名前は? 聞いたのか?」

ホウジョウは、嫌な予感がしていた。


しばらく黙り混んでいたハルイチが、言葉を絞り出すように答えた。


「トーキョーアサシン…」


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