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第${%話 ある親子の話

 ある男がいた。

 今年八歳になる息子が駆け寄ってくる。


「父さん、今日は剣術を教えてください! 毎日毎日、勉強と魔法の修行ばかりでは全く強くなっている実感が沸かないのです!」


 男は困った顔をして言った。


「息子よ、そうは言っても父さんは【賢者】なのだよ、とりあえず一通り武術もこなせるがあくまでも得意分野は魔法なんだ」


 冒険者として活躍をしていた男は、いつしか魔法使いの攻撃魔法と、僧侶の回復魔法を極め【賢者】と呼ばれるようになっていた。


「村が%¥{~軍に襲われたあの日、ほとんどの村人が殺されてしまいました。僕にもっと力があれば救えた命があったかと思うと、悔しくて仕方ないのです、僕は生き残った【"<;%$】としてもっと強くならないといけないのです!」


 年端もいかぬ子どもとは思えない表情で、父親に訴える少年。


 あまりに真剣な訴えに折れた父親はこう言った。


「いいか@<~?*、剣術は教えてやる、ただし今まで教えてきた魔法がちゃんと身に付いているか確認出来てからだ」


 少年は小さく頷いた。


「では、お前に問う、魔法とはなんだ?」


「この世界の大気や、生き物の体内に存在する霊子れいしに働きかけ、様々な現象を引き起こす術です」


「その働きかける方法とは?」


「呪文を用います。起こしたい現象にまつわる言葉を一文字ずらすことで特殊な言霊と韻を産み出し、思念と同調させることで呪文とし、魔法を発動させます」


 少年は父親からの問いに一切の迷いなく、すぐさま答えた。


「そうだ、それが魔法の基礎にして奥義でもある」


 父親は、足元に落ちていた手頃な太めの枝を手に取ると剣を模すかの様に構える。


「まだお前は幼い、力も非力だ、それで剣を扱うとなるとやることは一つ」


 父親が、そう言って意識を集中させると枝の先がわずかに光を纏う。


「父さん、それは……!?」


 父親は何も言わずに、近くにあった巨石に向かった。

 そして、金属の武器でも容易に傷つけることは困難だと思われたその巨石に、枝の先をなぞるように軽く振り抜いてみせた。


 すると、音もなく一部分に大きな亀裂が走ったのだ。


「す、すごいです!」


「これは剣術に、お前の嫌がってた魔法を組み合わせた戦法だ」


 父親は息子に振り返る。


「どうだ? 魔法の修行も捨てたもんじゃないだろう?」


 そう言うと、満面の笑みを見せた。

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