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第三話 就活ミソジ②

推敲なしで、一気に書き上げてます。後日こまごまと修正しておりますので、ご了承ください。

 株式会社サークルユニコーン本社、太郎達が採用試験を受けている部屋とは異なるフロア。

 通路を挟んで、両側に檻のついた部屋がずらりと並んでいる。

 一部の限られた人間しか入ることができないように、セキュリティは万全に期されている。


 一人の人物が、ゆっくりと通路を歩いている。

 黒いコートのようなものを纏い、年齢はおろか性別すら判断がつかない。


 ある一部屋の前で足を止めると、部屋の前に設置されているタッチパネルを操作する。

 手慣れた手つきで、作業を終えると、少し笑ったような表情をする。

 

 「誰か、そこにいるのか!?」

 

 警備を担当していると思われる社員が駆け寄ってきた。

 しかし、そこには誰もいなかった…。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 面接会場において。

 

 そういう設定。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 太郎は、そう考えていた。

 となると、その設定に乗っかる形でこれからの面接や実技に応えていかないと高評価を得られない。


 太郎は少しだけ、やる気を出しつつあった。



 「【現実ゲーム化現象】について、わが社で独自に調査をした結果、あることがわかりました」

 高嶺は、機械的なトーンで話を続ける。


 「どこかに、魔王と呼ばれる存在が発生していて、それがすべての原因であること。 そして、その魔王と呼ばれる存在を消滅させる(たおす)ことで、この【現実ゲーム化現象】が終わるということ」


 「この現象は何かのゲームをなぞらえている可能性が高く、ルールや法則といったものが存在し、それに則らないと魔王の討伐が不可能なこと」


 「そして、これがロールプレイングゲームと仮定し、その法則に則るならば魔王を倒せるのは勇者のみであるということ」


 受験者の四人は黙って話を聞いている。


 「これで、今回の職種を募集した意図がご理解いただけたと思います」


 <なるほど、現実世界を舞台にしたロープレの新作を出すのか…でも、設定がベタすぎるけど売れるのかなぁ…>


 太郎には、ゲームの心得があった。 子供の頃から友達とゲームばっかりやって遊んでおり、完全なインドア派だった。

 だが、ある日を境にまったくゲームをやらなくなってしまっていた。


 「それでは、簡単な自己紹介を行っていただき、実技選考を始めさせていただきます」

 高嶺は、そう言うと一人ずつ指名をしていった。


 天翔院(テンショウイン) マルス、男性、十六歳、某有名私立高校二年生。 ハーフと思われる美しい顔立ち、少し金色がかったビジュアル系のような髪型をしている。アニメかゲームに出てくる勇者のビジュアルと名前そのまんまだ。

 志望動機は、とにかく有名になりたいということだ。

 <いや、名前も見た目も十分目立っているよ> 太郎は喉から出そうになりながら我慢した。

 

 朱雀野スザクノ 勇王ユウオウ、男性、十五歳、公立高校一年生。 こちらも、美形な顔立ちをしているが、優しそうな印象を受ける。 黒髪でぼっちゃん刈り、学校指定のジャージを着ている。

 志望動機は、大学進学の資金を貯めるためらしい。

 見た目も相まって、とても応援したくなる。 <天性のヒモの才能があるぞこいつ>と太郎は思った。


 月野ツキノ 月輝姫ディアナ、女性、十四歳、公立中学校二年生。 少し茶色がかったロングヘアに、年齢の割に立派な胸、奥二重ながらも大きな瞳、低身長と、ロリ巨乳好きにはたまらないルックスをしている。

 志望動機は、魔王討伐後、世界を平和に導いたアイドルになって故郷に錦を飾りたい、とのこと。

 <可愛いけど名前がやばい、名前が…親は何を思ってそんな名前付けたんだ…月なんて苗字と名前にかぶってるし…自己紹介してくれなきゃ一生かかっても読めねぇよ、その名前。 おかげで志望動機とか頭に入ってこねぇよ!>


 <三人ともビジュアルと名前だけで選ばれてんじゃねーか? っていうか、三人ともそもそも本名なのか? それだったら全員親連れてこいってレベルだぞ…>

 

 そして、山田 太郎。

 志望動機は、リストラされて、次は夢を与える仕事がしたかった、という至ってテンプレ的な、夢という単語を入れてはいるが四人の中で最も夢のない動機であった。


 「このオッサン、誰かの保護者じゃねーのかよ…」

 天翔院が、見下したような眼で太郎を見ている。


 「これで、ライバルは一人減ったと思ったらいいよね」

 月野は、安心したようにつぶやく。


 見た目も、微塵も輝きを感じない、名前もどこかの書類のテンプレートのような名前、おまけにおっさん。 どう考えても勇者の要素の定石セオリーから外れすぎている。

 高嶺は、少し険しい表情で太郎を見ていた。

 

 そもそも、今回の選考は会社のとあるルートより手に入れた情報力を駆使して、身体、精神、才能、適性等の総合評価が高かった人物に求人の案内をかけていた。

 それは、同時に勇者として魔王を倒し得るなんらかの特殊能力を【現実ゲーム化現象】により目覚めさせる可能性が最も高い者たちであり、目覚める前に魔王により始末されてしまうことを、いち早くこの場に集めておくことで防ぐという意味合いもある。


 「()()()()()()()人物()の言う通りにここまでは順調にきたか」


 表情を崩さずに、用意された椅子に腰かけていた河瀬社長は、誰にも聞こえない声でそうつぶやいた。


 高嶺は、眼鏡のフレームを触りながら言った。

 「今から、実技選考の内容をご説明いたします。 みなさんにはこれから、モンスターを倒していただきます」

 「勇者が、最初に遭遇して経験値を稼ぐために戦うモンスターといえば…そう!スライムが定石セオリーです!」

 心なしか、高嶺のテンションが上がっているように感じる。

 「村人Aと、勇者とその仲間たちの違いはわかりますか? はい! 朱雀野さん!」

 「え…えっと、戦う力があるか、ないか…ですか?」

 突然、名指しされ戸惑った様子の朱雀野。


 「ほぼ正解です。 具体的に言えば、物語の中ではモンスター最弱のスライムといえども村人は殺されてしまっている。 大の大人であってでもです。 しかし、勇者はレベルが一であっても、碌に訓練を受けていなくてもスライムを【こうげき】だけで一人で倒してしまいます。 要するに、村人と勇者はスタート地点から戦う力に大きな差があるのです」


 「スライムを倒せてこそ勇者の資質があるとわが社は考えます。 ですので、みなさんに倒していただくモンスターは……スライムになります!」


 そう言うと、太郎達の目の前に宝箱が現れた!

 

コロナ関係等々で、更新が遅れます(見てくれている方がいるなら(笑))すいません。

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