事の発端
主人公は伏見玲哉、妹は紗希です。
この学校は神社ととある隣接しているという裏設定があります。
それ駄目なのでは?という野暮な質問は無しです
フィクションなのであしからず...
「本当に行くの?」
紗希は俺にそう言った。
「そりゃ行くよ、夜の学校とはいえ背に腹はかえられないからな」
何を隠そうこの俺はアホなことに代々家に伝わる家宝、勾玉を学校に置き忘れてしまったのだ。
でもってそれを今し方思い出した。
何の変哲もないもないただの勾玉だが、その道のプロは神器だというらしい。なんでも八尺瓊勾玉なんて言う大層な名前まである。
そんなこっちゃあ知ったことじゃないが、親が肌身離さず持っていろと言った物(しかも家宝)を学校に置いておくわけにはいくまい。
こう見えて真面目なのだ。学校への不法侵入は置いておくとして。
多分親に持って無いことバレたらめちゃくちゃ怒られるし...
それになぜかあの勾玉がそばに無いと少し不安になるのだ。感覚でいうと周りの空気が濁る感じがする。
「それじゃ、ちょいと行ってきます」
潰れた靴の踵を直して履きながら言うと、
「あ、待って、私も行く!」
と紗希が言ってきた。
自分用の懐中電灯を取りに行った紗希は遠縁の親戚の子どもで、親が亡くなったため歳がほとんど一緒の俺の家にきた。小5の公式的な妹分だ。
「え、なんで?なんか忘れたの?」
「いや単純に興味本位だよ?家にいてもつまんないしさ」
「まぁ今日は両親ともいないからいいけどさ」
そんなこんなで夜の学校に突入することが決まった。
何やらいろいろと準備があったらしく、やっとのことで戻ってきた。
準備が長くなったら立派な女性だななんてくだらないことを考えながら紗希を見た。
...よし気を取り直そう
「それでは紗希隊員!」
「はい!なんでしょう玲哉隊長!」
「持ち物確認をする!」
「はい!」
「懐中電灯!」
「あります!」
「...以上!!」
「それだけかい!!」
「出発!!」
「おー!!」
夜の街並みは少しわくわくする。田舎だけど。やっぱりこの平行世界に迷い込んだ感が良いんだよなとつくづく思う。
夏の夜の気温と湿度、草木の匂い。前にもこんな感覚があったと懐かしむ。この感覚が心地良い。この暑さ自体は止めてもらいたいの一言に尽きるが...
上がりまくっていたテンションが落ち着きかけたところで校門の前にきた。
さあ勾玉を取ってこよう。
あれ、こんなに不気味だっけ?
あと腕時計忘れた。
紗希が持ってる?そうですか...
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