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21. いつかの春に
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居ても立ってもいられず、私は駅の外に出ました。
駅のすぐ前には鶴舞公園の入り口があります。右を向けば高速道路の高架が見えます。
と、その高架の方から走ってくる人影が見えました。
遠目にも分かります。それは見慣れた学生服です。
私は足を踏み出しました。
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駅の方から女性が走ってきた。
その背格好には見覚えがある。この一ヶ月というもの、ずっと目で追っていた。
走るのをやめ、歩みを緩め、立ち止まる。
青息吐息で言葉が出ない。
などとは言っていられない。
顔を上げる。彼女を見据える。
そして口を開く。
二人の声が重なった。
一陣の風が俺たちの間を吹き抜けていく。
もうすぐ木の葉枯れ落つる冬が来る。
その後は。
きっといつか春が来る。
了




