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 後日、美月あやのは話してくれた。

「きっと雅緋ちゃんは最初から春影さまを疑っていたんだろうね」

「最初から?」

「そして、いつか矢塚と接触する可能性があると考え、春影さまをずっと見張っていたんだと思う」

「春影さまを襲ったのは?」

「あれは『堕ち神』だからね。あの姿になった矢塚はほとんど意識がなかったんだと思うよ。闇に引き込まれるっていうのはね、自分でもそうとは気づかないほどに、少しずつ少しずつ染まっていくものなんだ。それでも矢塚はそれに気づいた。だからこそ結界をはった。そこで何をしようとしていたのかはわからないけどね」

「でも、それでふみのさんを?」

「そうだね。ふみのはその矢塚の異変に気づいたのかもしれない。矢塚は結界を解いて、ふみのを殺し、『花籠館』に逃げ込んだ。それでも『堕ち神』となった矢塚は闇からは逃げられなかった。闇に魂を蝕まれて春影さまを襲うことになった」

「矢塚さんが『堕ち神』になったのはどうしてですか? なぜ闇に引き込まれたんですか?」

「その理由は私にもよくわからない。でも、きっとふみのは知っていた」

「どうして?」

「ふみのは美月の当主だから、と考えるのが自然かもね。瑠樺ちゃん、私たちにとって、家を継ぐというのはそういうことなんだよ」

 あやのは美月の家を継ぐつもりでいる。それは自分の身を危険に晒すことだ。それをわかっていて家を継ごうとしている。きっと、今後、詳しい事情がわかっても彼女は自分にそれを教えようとはしないだろう。

 自分が『和彩』でない限りは。

「雅緋さんはあれが矢塚さんだと知っていたんでしょうか?」

 血を浴びて立っていた雅緋の姿を思い出す。

「さあ、どうだろうね。知っていて殺したのか、殺した後で気づいたのか……どっちにしても、雅緋ちゃんにとっては辛いことだったろうね。雅緋ちゃんは、口で言うほど憎しみで生きられる子じゃないからね」

 もし、春影を助けようとした結果、それが矢塚だと知ったとしたら、雅緋はどんな気持ちになっただろう。

「雅緋さんは今、どうしていますか?」

「眠っているよ。我を忘れて力を使い過ぎたんだろうね。でも、きっと大丈夫だよ」

 その言葉を信じるしかなかった。そして、雅緋が立ち直ってくれるのを祈るしかなかった。

 春影は一命を取り留めることが出来た。だが、意識は戻っていない。

 『フタクビ』から受けたその傷は重く、いつ意識が戻るかはわからない。そして、再び以前のように歩くことは出来ないかもしれないという話だ。それは傷だけのせいではない。大きな呪いをその身に受けたためらしい。

(呪い)

 それは誰の呪いだろう? 矢塚の?

 矢塚は春影を恨んでいたのだろうか。

 本当に矢塚は自分を裏切ったのだろうか。

 答えの出ないことばかりが頭を駆け巡る。


   了


世界観は一つでも、それぞれが独立した物語にしたい・・・と思っていたはずなのに、完全に続きものになってしまいました。読んでくださってる方、申し訳ありません。

次の章へさらに続くことになります。


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