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なにかと便利なこのスキル!  作者: 宮本けん
第一章 最低ランクの僕が贅沢な暮らしをするのはそんなに簡単じゃない!
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プロローグ ガチャで決まる生活水準



 四月が始まり新年度、皆様はどうお過ごしでしょう?

 学校が楽しみな小学一年生。クラス替えが気になる中学生。新たな学校で不安な高校一年生。 

 また、特に変わり無い人もいらっしゃるでしょう。

 そんな中、僕にいたっては、綺麗なお姉さんに天界へ飛ばされ、ロリっ子と対面。

 結果、異世界に行く。

 ...と、まあ。なんとも素晴らしい僕の新年度に一つかつを入れさせてもらいましょう。

「おかしいだろー!!」

 それが、異世界生活最初の発言になるとは、この時の僕は気付いていなかった。



 高校生活初日の朝、僕はパンをくわえているわけでも、遅刻しそうと言うわけでもなく、ただ普通の登校をしていた。

 まあ、男子のパン食い登校なんて、どこに需要じゅようがあるわけでもないが。


 そんな事を思いながら登校する僕、神楽かぐらゆう(16)。どこにでも居るただの非リア(16)。高校では、リア充(勝ち組)になろうと企む、ただの高校デビュー志願者(16)。

 高校デビューでいいじゃないか、(16)だもの。

 さりげなく、いな。大胆な?否。

 ...なんと表せばいいのか分からないが、自己紹介を済ませ学校に歩いていく。

 疑問に残った事といえば、僕はいったい、誰に自己紹介していたのだろうか?どくしy...いや、なんでもない。

 この時、初めて、メタ発言というものを身をもって感じることができた。


「やあ、君が神楽祐だね」

 突然、女の人が。修正→綺麗なお姉さんが僕に話しかけてくる。

 まず一つ言いたいのが、学校初日からフラグなるものを立てるのを止めてもらおう!

 心からの叫びを脳内で復唱し、気の利いた返しを考える。

「そうですが、どなたですか?」

 考えた結果がこれだ、普通と言えばよいのだろうか。いや、ここでは模範的としておこう。


「私はサテラ、女神サテラよ」

 うん。僕、思うんだよね。いくら見た目が良くても中身がダメな人はダメだと。

 例えば、自分の事を女神だと言い切るお姉さんとかさ。


「説明?なにそれおいしいの?」

 そのお姉さん、サテラさんが何かをぼやいたが独り言だろう。

「後の説明は、ロリっ子に聞いてちょうだい」

 さっきから何を言っているんだこの人。

「少し痛いかもだけど良いよね。むしろその方がいいよね?」

 お父さん、お母さん。僕、綺麗なお姉さんにマゾ認定されたよ。

 報告が済んだところで、当人が僕に指をさす。

「■□■□■□■□■□■」

 どこかの言葉を話した直後、宣言通り、否。以上の激痛が走る。

 ...最後に感じたのは意識が遠退とおのいていく感覚だった。



「大丈夫ですか?」

 次、目を開けた時、そこに居たのはロリ、女児、幼女。

「いや、だめです」

 何がだめかと言うと一から十まで。大きなものでは、この状況を把握できていない事。体の節々の痛み。

 そして、目の前に正義が存在すること。

 ちなみに、正義とは。可愛いは正義(可愛い=正義)という格言かくげん等式変形(とうしきへんけい)した結果だ。


「...それでは、説明は...受けたと思いますので早速始めましょう」

 おっと、どうやら。僕の体調はどうでもいいようだ。

「えっと、始めるも何も。なんですか」

「説明を受けませんでした?せんぱっ...サテラさんに」

 サテラ?ああ。あの、おかしなお姉さんか。

 まあ、女神なんだよな。

「それなら、ロリっ子に聞けって」

「誰がロリっ子だ!!!!」

 そのロリっ子は、それはそれは大きな声で水晶らしき物に叫んでいた。

「それでは、説明すると…」以下略。


 ロリっ子が少々舌っ足らずの中、頑張って伝えた説明を、【以下略。】したところで要約という素晴らしい文化をもちいて簡単に話そう。

 異次元宇宙論で言う、並行世界ではなく、単的に独立した異世界、魔法とか魔王とか異種族とかが居る世界があるらしい。 

 そこでのヒューマン、人類種の数が少なくなり、このままでは世界の均衡が崩れてしまうという。

 そこで、有能な人材を送り、文化を発展させようと考えた神は日本人に目を付けた。

 しかし、いきなり異世界に連れていかれるなんて聞いたら、そりゃ、納得できないよな。

 ということで、今年中には事故なんかで亡くなる人間を、助けてあげる代わりに、異世界に行ってもらって、もし可能なら魔王も倒しちゃって(テヘッ★)ということだそうだ。

 魔王討伐はついでなのだと、ロリっ子は言い切ってしまった。


 ここで問題になるのが、生身の人間でどうにかなるのか?ということだ。

 そして!大切なのはここ!!異世界転生時に強力なスキルを授けてくださるそうだ!!

 ハハ、ハハハハ!!やっとだやっと。ついに僕に転機てんきが!


「でも、なんで僕。死ぬんですか?」

 それは、素朴そぼくな疑問だった。まあ、単純に交通事故かなんかだろうが。

「えっと、詳しくは聞かされてないので、よく分からないですけど...お偉いさん達は、『笑顔で屋上から飛び降りた』って言ってましたよ」

 ええ!なに?何があったの!僕の身に!?

 あまりの驚きに、倒置法を使ってしまったが、そんな事はどうでもいい。

「...詳しくは聞きません」

 頑張れよ!未来の僕!!


「それでは、早速スキルを授けますね」

「あの、その前に。異世界に行くといっても、そっちの言葉分かるんですか?」

「オール。おっけー」

 そこには、おかしなテンションの女神、否、ロリっ子がいた。

 そのロリっ子が無造作に取り出したものは、何というか、こう。ガチャガチャだった。

「あの、それは」

「ガチャです」

 もう一度言おう、ロリっ子が取り出したのはギャンブル要素、娯楽ごらく要素を求めた結果、創造された産物、文化の頂点、ガチャガチャそのものだった。

「そんなに、バンバン強力なスキル渡してもパワーバランスが崩れるので。」

 いいじゃん!そんなの崩そうよ!

 まあ、僕は運もいい方だし大丈夫、だよな。

「わかりました」

 僕はガチャガチャに手をやり、回す。

 落ちてきたものは、一度は見たことがあるだろう。カプセルだ。

 僕は前ふりなしに開けてみる。


【下級魔法詠唱不要】

「...下級魔法って、外れじゃねーか!!!」

「自己紹介がまだでしたね。私はメイティス、女神メイティスです。それでは、神楽祐さん。あなたが人類種繫栄の大きな力になることを陰ながら願っています」

「まって、もう一回!一回だけ!引かせて!!」

 この時、僕は初めて、リセマラの無いこの世界を恨んだのだった。


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