サンドイッチ
ここから話がスタートします。
....暖かな風と太陽の日差し。昼寝にはもってこいなんだろうな。まだ死に切れてなかったか。
目を開けなくてもわかる血臭と硝煙の香りもない。....待てよ何で全くしないんだ!?
おかしいと思い直の意識が覚醒する。条件反射的にガバッと目を見開いて起き上がった。
「うわぁ!」
隣から声が聞こえた気がしたがそれよりも目の前に広がる光景に目を疑った。
「どういう・・・ことだ・・・?」
俺は横浜にいたはずなのに目を開けて周りを見てみれば辺りは芝生の生い茂った丘ってどういう事なんだ?
目の前の光景に驚きを隠せないまま唖然としていると隣から声が聞こえてきた。
「やっと起きたんだ!あなたは誰!?どこから来たの!?」
やや興奮気味のナチュラルなブロンドの髪の..見立て10〜12歳位の少女がやや興奮気味に捲し立ててきて若干気圧される。
直はとりあえず聞かれたことに答えることにした。
「倉館直だ、出身は日本。」
そう答えると今度は少女が不思議そうな顔をして聞き返してきた。
「ナオシ?変な名前!ニッポンってどこそこ!?」
「....」
言葉を詰まらせた。まず此処が何処だか分からないのだから答えられず、仕方が無いのでこちらからも聞いてみることにした。
「なぁ、ここって何処だ?あと、君の名前を教えてくれないか?」
「え?ん〜、まぁいいけど。」
そういうと彼女はニコリと笑って
「私はリーナだよ!それで、ここはマーナル魔法公国領のリスト村の外れにある丘の上だよ!」
「ご丁寧に教えてくれてありがとうリーナ。」
するとリーナはにっこり微笑んで
「どういたしまして」
と応えてくれた。あぁ、いい子だなこの娘。
そう思っているとリーナが、
「そういえば、ナオシの近くにこれが落ちてたけどあなたの?」
と89式自動小銃の銃口を自分の腹に向けるように支えながら手に持っているのを見てギョッとした。
「俺のだ!俺のだから早くそれを置け!!!」
思わず大声を上げてしまってリーナは驚いたのだろう。ガシャンという地面に落ちた音が聞こえた。そして、ハッとしてリーナの方を向いた。
「ご、ごめんな。それ危ないものだからついムキになった。本当に申し訳ない。」
驚いた表情から少し落ち着いたのだろうかこくりと無言でリーナが頷いた。しばらくお互いに黙っているとグゥ〜っという音が互いの腹から鳴った。その音に互いに顔を見合わせ、しばらくしたらお互い笑った。
「とりあえず、おなかすいたからご飯食べようか」
「そうだな、少しそこのサンドイッチ分けてくれないか?」
そういうとリーナは笑顔でサンドイッチの入ったバケットを互いの間に置き、召し上がれっと一言ってくれた。
「いただきます。」
手を合わせてひと切れつまんだ。そしてそれを食べながら今後俺はどうなるのだろうかと頭を静かに悩ませた。