ここは
企画「ヒヤゾク」参加作品です。
寒い。
僕は目が覚めた。一面真っ白な雪の中。ここはどこ?僕はどうしてここに?そもそも僕は誰?
僕はのっそりと立ち上がった。お腹が空いた……。何か食べ物が欲しい。でも吹雪いていて、先も見えない。
どこかへ行かなければ僕は飢え死にしてしまう。僕は当てもなく歩き始めた。どこへ行けばいいのだろう。僕は歩き続けた。空腹を満たすために。
ここはどこ?歩いても雪だらけ。でも山の中だということはわかった。傾斜がある。上へ行くべきか、下へ行くべきか……。
ごはんはきっと下にある……!何故か僕の中で確信があった。僕は山を降りて行った。
何かがいる。
「ひい!」
あれは何?
「く、来るな!」
何だろう、これは。ごはん?僕は一歩一歩近づいた。
カチャ、ドン!
痛い。僕の左肩に何かが当たった。赤いものが流れる。何故こんな目に?僕は『それ』に近づいた。
カチャ
また痛いのがくる!
ザッ!
僕は咄嗟に手を振り上げ、『それ』を引き裂いた。『それ』から赤いものが流れている。
「た、助けてくれ……」
いい匂い。これが僕のごはんだ。
「ぎゃあ!」
そうか。僕は『それ』に『熊』と呼ばれていた。思い出したよ。そして『それ』は『人』だった。『人』って美味しいね……。