第9話
〜フランス国民軍 大本営〜
ナポレオン率いるフランス国民軍はあまり今回の件は議題に出なかった。
何故ならまだ国内の平定が終わってないのに海外のことに関して関わっているような暇も兵力も財力もなかった。
ただしナポレオンがその優れた勘によって日本を将来倒さなければならない敵とみなしたため、グルーシー将軍以下数名が対日戦の研究を開始した。
中国大陸で始めて対日戦闘を経験したオランダ人を招き、日本の武力を推し量っていた。
「敵は連射もできる恐ろしく高性能な銃と見えないところから撃てるくらいの長射程の臼砲(まだ野戦砲ではなく長射程の臼砲だと思われていた。)も持っている!さらに空を飛ぶ機械まで作り上げ、そこから球を落としてきた!」
「落ち着いてください、慌てず…ゆっくりと…真実を話してください…」
「いや!真実だよ!みんなそれで死んだんだ…」
「どうしますグルーシー閣下、こいつ錯乱していてあまり情報は取れなさそうですが…」
「まぁいい、我々は最悪に備えてここで話し合ってるのだから。」
「ライン同盟の奴らの情報によると敵は最新鋭の英国戦艦をいともたやすく沈める船を持っているそうです。」
と報告官が絶望感に浸されて述べていた時、部屋の扉がふと開いた。
「ならば上陸させて包囲すればいいじゃないか。」
「閣下⁉︎」
「要は攻めさせたいところは兵を置かず、逆に守りたいところに砲兵を置く。いくら英国戦艦を打ち沈めた船がいるとて湾岸線の要塞に突っ込んでくる間抜けではないだろうよ。」
「閣下、では海軍はまた放置ですか?」
「いや、敵を引きつけたらその周りを囲う。いくらなんでも輸送船までにも太刀打ちできんほど弱くはないだろう。」
「揚陸させ、ある程度内陸部へ誘ったのち、包囲殲滅ですね。」
「そうだな、英仏海峡から揚陸してくるとしたらノルマンディー地方およびカレー地方には要塞線を築き、ダンケルク海岸辺りに揚陸させよう、そしてブルーニュー高地をワザと与え、油断させた辺りで包囲し、敵野戦軍を撃破すればいい。船だけでは我々は殺せんよ。」
とある程度楽観視していたがきちんと対策が練られていた。