第8話
〜プロイセン陸軍 参謀本部〜
ここプロイセンは前より少しずつ溜まってきていたドイツの統一への機運に応えるため、若手の参謀を積極的に戦地に観戦武官として派遣していた。
それは今回も例外ではなく、さらに自分たちは全く植民地を有しておらず、不当な搾取も行ってないと宣言し、秘密裏に行われていた南方諸島の植民地工作を全て停止した。
そして参謀本部付将校として1名将校を参謀本部推薦観戦武官として日本に、熟練者の参謀将校を派遣部隊指揮官という名ばかりの理由でイギリスに送った。
「今回の戦闘はどう予想するか?」
「シャルンホルスト閣下の手紙によると英国はすでに動員令を発動、国家非常事態宣言を出し先頭に備えています。」
「グライセナウ君の方はどうかね?」
「グライセナウ少佐殿は日本の砲兵をひどく心酔しているようです。我が国の砲兵の50年は先をいっているとも言っております。」
「またいつもの砲兵バカか、他には?」
「海軍として全装甲内輪船が完備されてるそうです。さらに砲配置も全く違うそうです。」
ここで海軍武官が重い腰を上げた。
「いくら内輪船や装甲艦、砲配置を改良したところであの大英帝国なのですぞ?いくらなんでも…」
「ところが、不確かな情報だが、彼の国の新大陸方面艦隊が全滅したらしい。」
「馬鹿な⁉︎新大陸方面艦隊といえば奴らの精鋭中の精鋭、新型艦が多数配属され、練度も世界最高と言えるくらいですぞ!」
「指揮官のハミルトン中将がマドラスで見られたそうだ、普通なら今新大陸にいるはずだろう。つまり、そういうことだ。奴らは必死で隠しているが、奴らが隠し通せないほど焦っている証拠だろう。」
参謀本部のかなり大きな会議室の温度が5度ほど落ちたような感覚だった。
殆どの参謀が英国の敗北を予感し、さっきまで端で英国の余勢で上陸してきた場合の対処法を話し合っていたグループが全員震えている。
さらに露国と同時に開戦し、一気に中国を突破して撃破しようとしていた一団はすでに会議室を出ようとしていた。
「要は皇帝殿下が彼の国との戦端を開かず、和平に応じたのがすべての救いだと思えばいいのだ。」
会議室中が参謀総長の語った言葉に頷いていた。