第8話
先のボンベイ空爆によって大英帝国の極東方面の戦力や威信は一気に削られてしまった…
〜大英帝国 議会〜
連日会議が続いている。
大日本帝国と名乗っている謎の勢力によって世界最強と言われていたロイヤルネイビーの最新主力艦や極東方面の一大基地であったボンベイが完膚なきまでに倒されていたからだ。
戦果誤認だといい、断固抵抗を述べる庶民院とある程度譲歩すべきと主張する貴族院で大いにもめていた。
さらに国王ジョージ2世と民衆は殆どが庶民院に味方し、貴族院はかなり劣勢だった。
「陛下、せめて大陸の彼らと同時に行動するべきかと…」
「ならん!我が国のことは我が国で対処すべきだ」
「しかし陛下…奴らは強すぎます。我々の力では不十分です。彼らの協力を仰ぎましょう。」
「そんなに彼らに恩を売りたいのか⁉︎なら彼らに付け!衛兵、コイツをひっ捕らえフランスにでも送ってしまえ!」
とばかりに何人もの有力な貴族をひっ捕らえ、処刑や流刑にされた…
〜とある貴族のクラブ〜
「今度はトップハム卿も行かれてしまったか…」
「国王はご乱心か?」
「やはりここは革命を起こさせるしか…」
「いや、民草はみな国王を支持している、あまりにも危ない賭けだ。」
「これでは我が国は負けてしまう…」
と卑屈論がはび凝っていた。
海軍軍令部は講和も辞さないほどの臆病ものとして全国民から避けづまれ、
貴族も弱腰とされてしまった。
ここで国王ジョージ2世が後世にも残る『大英帝国の唯一の失敗』と言われた宣言を出してしまう。
「臣民は我が国単独にて我々を落としめんとす大日本帝国と交戦、これを撃破せよ」と発令してしまった。
流石に国王の宣言とあれば動かないわけにもいかず、反対派も動き出してしまった。
〜大英帝国 海軍軍令部〜
ここでも反対の気持ちを押し切り
作戦を立てている俊英たちがいた。
「相手はあまりにも強大だ、夜襲、雪原斬り込みを主体とした奇襲と徹底した一撃離脱戦術で敵を翻弄し、個となった敵を一気に撃破していく!」
これはあまりにも綱渡りな作戦であった。
まず夜襲はサーチライトや熟練搭乗員にかなりの確率で見つかり、逆撃をかぶる可能性がある。
さらに雪原斬り込みによる夜這い朝駆けも空母機動部隊と水雷戦隊の速力にはあまりにも無意味だ。
現に鼠輸送ですら夜中に終わらず、敵航空機によって駆逐艦が消耗されて行った。
その大日本帝国海軍駆逐艦すら逃げ遅れる方式に旧式の木造外輪船がどこまで対応できるかと想像すら馬鹿らしい。
そして各個撃破も敵の提督が冷静であるほど無意味な作戦であった。
だがそこまではすでに彼らは想像済みであった。
「そんな建前論はいい。腹の探り合いはまた麗しのパブでやろうではないか。結局、作戦局は『ナニ』を隠している?」
この大英帝国唯一そして最大の打撃力がいま、日の目を見ようとしていた。