そして采は投げられた
「ねぇ。あーくん。7ine見た?動物園から猛獣が逃げ出したんだって」
「あーあのデマね。Twinterで見た。あんなの嘘じゃん。仮に本当でも距離的にメッチャ離れとるし」「そうだよね〜って私たちの喫緊の課題は卒論と就活だし」
「それプラス、オレは奨学金も返納しなきゃいけないから、お前よりプレッシャーだわ」「そうだよねぇ……あーくんは、おばさんの事もあるから、バイトも出来ないし大変だよね……卒論だけなら手伝ってあげてもいいよ〜」
「……よく言うわ。中学時代しょっちゅういじめられて、泣き顔をオレに晒したのは何処のどいつだったのやら」「忘れてないよ〜忘れてないからこんなにも親身になってるんじゃん」
「はいはい。……じゃあまた来週な」「ほ〜い ガッコウが違うのが寂しいねぇ私もバイトで殆ど時間合わないしさぁ。今日の夜も……」
「いーちゃん」「うん?」
「オレさ……」「……うん」
「いーちゃんが幼馴染で良かった」「なっ!なにをー言っとるのかねチミは!?」
「……違うな。幼馴染とか関係なく、これまで一緒に居てくれて感謝してる」「……あーくん?なんかあった?」
「……ハハッ。だから言ってんだろ。動物園から猛獣が逃げ出したんだよ」「あーくん、誤魔化さないで」
「……あーっ、もう!だから、いーちゃんのことが好きだってこと!」「……はぁ?……って、ななないいイキナリどどどったの!?」
「じゃ!これ以上はホントに遅れるから行くわ!」「ま、待てー!最低ヤロー!!返事は聴かんのかーーー!!」
「……最低ヤローか。本当に僕は最低だ。」




