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六輪目 作方
中庭のベンチは四人掛けになっていて、そのベンチには左から順に古都葉、京香、一人分空いて葵と座っている。
「そういえば二人はどうやって友達になったの?」
「え?私たち? えー、どうやってだっけ?」
「んー、中学からの付き合いだしね。よく覚えてないやあ」
「そんな……じゃあ僕どうやって友達作れば」
ガクッと肩を落としていると、古都葉が声をかけた。
「やっぱり、キッカケがあれば、誰とでも友達になれると思うよ?私の場合だったら、部活とか、学校行事とかで友達増えたかなぁ」
「京香さんはどうだったの?」
「いや、私は別に友達増やそうとも思ってないし……」
「なんだ、僕と同レベルか」
「同レベルとはなによ!私には古都葉がいるもん!」
「私を推してくれるのはいいけど……。葵くん。やっぱり友達はいたに越したことはないよ?特に男子は」
「そう……だよね」
「! じゃあ私の部活に入らない?男子部員少なくて困ってたんだぁ」
古都葉は、思い付くと直様携帯を取り出し、メールを送っていた。「放課後に2人、部活見学者が来ます」と。あまりにも急で強制的だったが、葵は嬉々としていた。