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四輪目 意識
朝のHRが終わり、授業が始まる。葵は31人クラスの中で、席が一つはみだしている場所にいるため、京香の教科書を見させて貰っていた。
「ありがと、京香さん」
ボソッと囁くと、京香は唐突な胸の苦しみに襲われた。
「(なにこの胸が締め付けられる痛みは。もしかして、秘密をこいつに握られてるから、不安で……」
後ろを向きながら、授業を受けていた京香が突然前を向き胸を抑える。この動作に古都葉はクスクスと笑っていた。
放課後______
「葵くんなら心配なさそうじゃない?」
「いや、信用できないね。ああいう奴に限って、弱みにつけこんでくるのよ!」
帰り道、やはり話題は変わっていなかった。朝から葵の事ばかり話す京香を見ている古都葉は、またクスクスと笑った。