三十二輪目 硬直
京香は、落ち着いた途端、葵に倒れ掛かった。
「あおいさぁ。私たちが好き合ってるって、親も許してくれるかな」
「まぁ、本当のこと言わないなら、だ、大丈夫かな?」
「最悪、子供さえ生まなければなんの問題もないよね!? 戸籍も男になってるんだし!」
妄想はいくらでもできた。そんな世界があったらいいなと。しかし、現実は甘くなかった。
「葵、やりたい?」
「え、いまここで!?」
「うん」
「……。やりたくないわけじゃないけど……」
その言葉を聞いた京香は自分を抑えることができなかった。葵をベッドに押し倒し、衣服をはだけさせていく。きめ細やかな肌をみせる葵は、なぜ今まで男としていられたのか不思議に思うほどであった。透き通るような吐息が鼻をくすぐる。発情は止められない。
葵のショーツがするりと足を伝い、恥部が露わになる。紅潮した葵の顔に、更に熱が増す。京香の細い指が、小さなクレパスに侵入しかけた、その時。
「お茶、持ってきたわよ~~」
強化のお母さんが部屋に入ってきてしまった。そのまま、お盆とコップを持った女性は無言で部屋を去った。部屋に残された二人の少女も、硬直しているのであった。




