二十輪目 女子
「ちょっ、え?葵どういうこと?」
「え?な、何が?」
「えっ、何って……」
京香は何て言ったらいいか分からなかった。目の前に横たわっている好きな人が、男ではなく、女だったなんて。
「葵。あなたって、女……だったの?」
取り敢えず、ど直球に聞いた。今更まどろっこしいことはしていられなかった。
「え!?僕が女の子? なんでそうなるの」
冷静になり始めた京香と違い、葵はまだ宙に浮いた気分の中にいた。そして葵は、自分の体について把握しきれていないようだった。
「その……葵。葵って、今までで、手術したことってある?」
葵は、キスからの興奮がやっと覚め始め、京香の質問を愚直に答えた。
「えっ、そんな記憶は……ないし、うちにそんなお金はないよ?」
「じゃあ、一ヶ月に一回……その、トイレに行った時とかに、血が出たりしない?」
「え?そんな、僕、病気じゃないよ!」
やはり葵は、自分が女の子って分かっていないのではと、思い始めた京香は、思ってることを、全て葵に話した。
「ぼ、僕が女の子!?た、確かに言われてみれば。僕、女の子と男の子の違いってよく分からないや……」
「葵は女の子なの!両親から聞いてないとしても、保健の授業で習わなかった?」
「いや、僕。中学から高校の最初は、学校に行ってなかったから……」
そういえばそうだったと、頷く。
「待って、もしかしたら、戸籍登録から間違ってるのかもしれないよ。だって、先生だって分かってなかったし……」
とりあえず、2人は葵について知るため、葵の実家に電話をかけた。




