十七輪目 告白
意中ではない人と、触れ合うの容易い。それなのに、意識した途端、思い通りに行動出来ない。その状況に置かれているのは、相手ではなく自分だと。京香は再認識した。今まで付き合ってきたイケメンな彼氏は、顔に癒されることはあっても、ドキドキすることなんてなかった。
葵と京香は、中庭端から下駄箱の物陰に移動していた______
「な、なに?京香さん」
「葵。お前は私をどう思ってる?」
「え?急になんで……。ぼ、僕は仲のいい友達だと思ってるけど」
それを聞いた京香は、ハァと息を吐いた。その様子に察せない葵は、あきれられてると勘違いし、慌てふためいている。
「ねえ、葵。私、あなたのことが好きなの」
「え?」
静止が続いた。何故か逆に京香はイライラした。
「返事しっかりしなさいよ!はいなの?いいえなの!?」
「ぼ、僕は。好きとかよく分からないけど。とても嬉しいです。 僕で良ければお願いします」
礼儀正しくペコリと頭を下げた。そして頭を上げ、ニコッと笑った。
京香は今日に至るまで、真の告白を知らなかったのだろう。イケメンに告っては付き合い、別れ。しかし今、全身で喜びを感じ、真の告白というものを知ったのだろう。
一滴の雫が溢れた。