十五輪目 恋心
葵は、食事を済ませると、申し訳なさそうに京香に言った。
「ごめん京香さん。実は僕、午後から予定があって……」
「あ、そうなんだ。わかったよ」
そんなこんなで、2人のデート!?は呆気なく終わりを迎えた。別々に別れる駅まで歩いてる途中は、延々と映画の話をしていた。
※※※
メイド服をクローゼットに綺麗してから畳み、家着に着替えた。そしてそのままスマホを取り出した。勿論、連絡した先は古都葉である。
「なんとか終わったよ……」
「なに?映画見に行ったんじゃないのぉ?そんな疲れるようなことしたの?」
「い!いやしてないし! いや、色々あってさ……」
京香はそのまま、今日の一部始終を話した。
「へぇー!楽しそうでなによりだよぉ」
「そうなんだけどさー。 なんか私、葵に告白されると思ってたんだけどさ。されなかったんだよね」
「相変わらず、自意識過剰だねー」
苦笑いして、会話を続けた。そして電話をするまで、古都葉に言うか悩んでいた事を、言おうと決意した。
「けど、されなかったよ。しかもなんかわたしが逆に意識しちゃったっていうか……」
「え!?ええ!?もしかして? 葵くんに?」
「まだわかんないけど……もしかすると、これがそうなのかも」
言ってて恥ずかしかった。しかし間違ってないというものが心の奥底から湧いてきたのだろう。京香の声は不思議とスラスラ出た。




