十四輪目 昼食
映画を見終わった2人は、映画館の中にある、小洒落たカフェでお昼ご飯を選んでいた。
「あのYシャツが踊り出したシーンは凄かったよね!感動してるのか、笑ってるのか分からなくなっちゃったよ」
「ほんと!ああなるとは思わなかった!」
葵はサンドイッチセットを。京香はパンケーキセットを頼んだ。映画の感想を言い合いながら、普段来ないようなカフェに来ている姿は。初々しいカップルそのものだった。
実際、京香は心のどこかで葵から告白されると踏んでいた。実際、京香はこのような経験を何度もしたことがある。性格を無視すれば、可愛い女子高生である。誘いが来ないわけなかった。
「ねぇ……京香さん……」
急に葵がシリアスな空気に変えた。場慣れしている京香なら、いつもなら身も心も落ち着いている。けれど葵に関しては、適応外だった。平静は装えるものの、心は暴れていた。
「僕、京香さん……」
頭の中で、葵の行動かフラッシュバックしてくる。目の前で恥ずかしげにしている姿も目に映る。
「僕、京香さんと、ちゃんと友達になれて良かったよ!」
「え?」
少し、いや、大分予想していたもの違った。
「いや、だって京香さん。古都葉さん以外に優しくなかったから……」
たしかに、気が付いたら、京香からはいつものツンケンした態度はなかった。さらには、メイド服を知人、ましてや友達に見られているのに、すっかり忘れていた。