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Crescent Ark Online  作者: 霧島栞
第三章・下[試練]
39/50

十三話[レイドゾーン]

[ワームホール]は、通称トンネルと呼ばれる、1F、地下2Fの二層からなる洞窟型のダンジョンで、レイドゾーンは地下2Fの最奥に存在する、[ワームホール深部]という深い穴倉である。


[ワームホール深部]は横穴から一転、竪穴にある足場を二手に分かれ、各ミニボスを撃破し、最終マップ前で合流するという構成になっている。


 要求レベルは70からで、出てくるミニボスのレベルも80~90と、転生前でも挑みやすい難易度だ。


「ユウヒ様! 正面地面から来ます!」


「おっと。いやー、こう大きいとパリィは出来ないね! アリス、アリサ、立ち位置に気を付けて!」

「はい、ゆうねーさま」


「りょーかいだよ!」


[W:ロックワーム]が地中から打ち上げ攻撃を繰り出すのをバックステップでかわしつつ、悠姫は初心者であるアリスとアリサに注意の檄を飛ばす。


[W:ロックワーム]は全長30メートル、頭の高さでも人のゆうに二倍はあるほどの巨体を持つモンスターだ。再び地中に潜行される前に、悠姫はタウントスキルである《クルーエルペイン》を駆使しつつ、自分にタゲを向かわせ続ける。


「ひよりんは炎系で掃射! 一気に削ってもいいよ! リーンは中衛維持しつつ、ダメージコントロールお願い!」


「はい!」


「了解ですわ」


 絶壁の竪穴から突き出たフロアは、かなりの広さがあるが、それでも避けに徹していればいつの間にか壁際や崖側に追い詰められていることもしばしばある。


 VR化前と違って、パリィングや受け流し、回避が容易になったことから、悠姫でもタンクのように立ち回ることは可能になってはいるが、けれども悠姫の本職はダメージディーラーである。


[W:ロックワーム]はDEF値が高く、VR化後のCAOでは岩肌に攻撃が弾かれることもあり、前衛職泣かせの外殻を持つ厄介なMOBとなっている。が、

「[ルーンエンチャント]! [トライエッジ]!」


 けれども悠姫にはそんなことは関係ない。


 悠姫のメインクラスである[聖櫃の姫騎士]の固有スキルの一つである[ルーンエンチャント]は、剣に魔法属性を付与することが出来るスキルだ。


 光を帯びた悠姫の剣が、三角形を描くように鋭い爪の残痕を、[W:ロックワーム]の岩肌に深く残し、HPバーを5%ほど削り取る。


[トライエッジ]単体は威力が低めのスキルではあるが、スキルオーバーによって重複発動させられた斬撃は、通常よりも遥かに高い火力を持っている。


「いつ見ても、使い勝手の良いスキルですわね」


 ぽつりとリーンがうらやましそうに呟く。


[W:ロックワーム]のようなDEFが高いMOB相手にも、まるで豆腐を斬り裂くように斬撃を通すことが出来るのだから、[ルーンエンチャント]は物理職からすれば垂涎のスキルだ。


 しかもそれでMATK依存ではなく、ATK依存なのだから汎用性という点で見れば誰もが欲しがる性能だろう。


「これなら、リーンも攻撃に参加してもいいよ! [グラビティホライズン]!」


 さらに横薙ぎの一撃を放ち、[W:ロックワーム]のHPが1割ほど消し飛ぶ。


 スキルオーバーのおかげで一撃の威力が上がったのは、こうした短期戦ではありがたい。


 巨体で押しつぶすように攻撃してくる[W:ロックワーム]相手では、打ち合いやパリィングも出来ない。しかしその分、スキルで攻撃を弾く必要が無いので、ダメージソースとしてスキルを使うことが出来るのは明確な利点だ。


「わたくしは遠慮しますわ。――ひより」


「――いきます! [フレアストライク]! [クリムゾンレイン]!」


「ギィイイイイイイイイイイイイイイ!」


 ひよりの放つ苛烈な炎属性のスキルによって、[W:ロックワーム]のHPが2割削れる。


 まとめてダメージが入ったからか、炎の熱さからか、[W:ロックワーム]から悲鳴が聞こえ、リーンがその様子に顔を顰める。


「き、気持ち悪いですわね……」


 出来れば自分で攻撃はしたくないのだろう。嫌悪感をダイレクトに言葉にして、リーンは離れたところで静観気味だ。


「アリスも攻撃していいよ! あ、射撃前に[エンチャントペネトレイト]使ってね!」


「はい、ゆうねーさま。[エンチャントペネトレイト]」


[エンチャントペネトレイト]は、発動すると移動を制限される代わりに、銃弾の貫通率を30%上昇させることのできるスキルだ。


 効果は移動するまで続き、移動すると効果が切れる仕組みになっている。


「――あは。あはは。あははははははははは」


 人が変わったかのように、アリスは銃を撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。


 銃弾の雨が[W:ロックワーム]の岩肌をがりがりと削って、内部まで到達するが、けれども銃撃は止まない。


 弾切れになった瞬間に[クイックリロ―ド]を使用して、再装填して撃つ。撃つ。撃つ。止まらずに撃つ。


 パッシブスキルの[ロックオン]で単体火力が上がっているとはいえ、レベル78の初心者が出していい火力ではない。


 十数秒の銃撃でひよりと同じくらいのHPバーを削り、さらに銃撃はまだ続いているというのだから、DPSを考えれば途方もない火力だ。


「え、ちょ、アリス……?」


 その様子を初めて見たリーンが、ドン引きした声を漏らす。


「あはは、このままじゃアリスにタゲが行っちゃうね。わたしもがんばらないと。[クラスターエッジ]! [ドゥームブレイカー]!」


 暴れる[W:ロックワーム]の巨体をかわし、悠姫は側面から連撃の高倍率スキルを叩き込む。


 ほどなくして[W:ロックワーム]のHPバーが全損し、巨体が地面に倒れ伏し、ドロップアイテムがその場に残された。


「まあ、このくらいなら割と余裕あるよね」


「ですねぇ。ほぼ支援の更新もヒールも要らなかったですしね」


[W:ロックワーム]のレベルは80で、[ワームホール深部]の中では最弱だ。


 気を抜くにはまだ早いとはいえ、フィールドのレイドボスに比べたら、特筆して強敵という訳でもない。


「お、[黒鉄石]多めに出てる。硬い防具の素材になるから地味にありがたいね。この調子で進んでいこうかー」


 一応防具が出る可能性もあっただけにそこは残念だが、素材が多く出ただけありがたいと思い、悠姫はそう言って、第一パーティはさらに深部を目指すのだった。




「ほな、まずはノアの前衛性能を見せながら、[W:ソードビー]狩っていこかー」


 悠姫たちと二手に分かれてややあって。第二パーティもミニボスマップの手前まで進んでおり、遠方の上空を旋回する[W:ソードビー]と戦闘に入る前に、セリアがそう言って段取りを決める。


「はい。では、久我様は万が一、私が崩れた時のフォローを。他の連携は任せます」


 言ってノアは、[クイックチェンジ]を使い、短剣から武器を持ち替える。


「うぉ、斧って聞いてたが、デカイな!」


「しかも盾装備って、ガチタンクでは?」


 久我とリコが驚きの声を漏らす。


 巨大な戦斧と、身を隠す程に大きな盾。メイド服を着た細身の女性が持つにしては、あまりにもミスマッチだ。


「そらそうや。ノアはうちがPSでどうにもならん時に壁を頼むんやから、ガチのタンクも出来んと困る」


「本職に比べるとHP係数が少し低いのが玉に瑕ですが、局所的な耐久スキルは多いので、結構耐えられる構成になっております」


 言ってノアはピースして返す。


「ふむ、タンク入りでボス級相手は初めてでござるな。少し楽しみでござる」


「え、タンクなしでレイドとか出来るものなの?」


 ニンジャの言葉に、初のレイド参加であるリリカが問いかける。


「あー。CAOがVR化してからはパリィングや相殺が出来るようになってるからな。前衛でもやりようによっては、タンクに近い動きが出来るのは実証済みだ」


「へー」


 その分武器の損耗は激しくなるので、まともに打ち合いが出来るのはそういった武器の耐久力に何かしらの軽減スキルを持っているクラスか、耐久力を限界まで極めた武器が必要になるだろうが。


 剣聖のパッシブスキルで武器の耐久力減少緩和がある久我自身も、レイドボスを相手する時は耐久力の高い武器に変えているくらいだ。


 そういった点も含めて武器の耐久力減少を抑えるスキルが存在するのだとしたら、中々に運営も鬼畜な事を考えるものだ。


 確かに耐久力減少を抑えるスキルは便利ではあるが、好んで取られるスキルかどうかというと、むしろ真っ先に切り捨てられる候補のスキルと言っても過言ではないくらいに、不人気スキルである。


 しかし今後の事情次第では、必須スキルになり得る可能性もあるのだ。


「ま、だべっとってもしゃーないし、悠姫ちゃんに置いてかれるのも癪やから、ささっと[W:ソードビー]やってまおか」


「了解でござる」


「そうだな」


「はーい。じゃあバフ入れてきますねー。《我らに大樹ティアサリスの祝福を与え給え……[リジェネレートレイン]」


 言ってリリカは移動をする前に、持続回復とバフ系のスペルを全員にかけてゆく。


「では、私が先陣を切らせていただきます」


ノアがそう言って、第二パーティ初の戦闘が始まった。


[W:ソードビー]は、二対の剣の腕と、ランス状になった尾の針を持つ、全長4メートルほどの蜂のMOBだ。今は上空で旋回しているせいでそこまで大きく見えないが、間近で見たら卒倒するほどのサイズで、耐久力はそこまで高くはないものの、攻撃力は決して侮れないレベルである。


「行きます。[アンカーチェイン]!」


 ノアのタウンティングスキルによって、無数の鎖のエフェクトが[W:ソードビー]へと絡みつき、[W:ソードビー]が上空から、一直線にノアに向かい滑空してくる。


「うへー……きも」


 近づいてくるにつれて、[W:ソードビー]の姿が明らかになり、その姿を見たリリカが、仮にニンジャに向けて放たれていたなら、クリティカルヒットして一日寝込むタイプの感想を漏らす。


 しかし気持ちは痛いほどにわかる。


 黄と黒の縞模様に、折れ曲がった節足。くびれた身体に艶のある外骨格。ぎちぎちと音を立てる牙と、頭の触覚。ぎょろりとした単眼がぐりぐりと動き、ノアへと向けられる。


 余りにも凶悪な見た目だが、それに対してノアは真っ向から[W:ソードビー]を迎え撃つ。


「私が攻撃を受け止めますので、久我様は削り、ニンジャ様とリリカ様は拘束を。[ペインクラッシュ]! [アンカーシールド]!」


 タウンティングスキルをもう一つ叩き込み、ノアは両腕の剣で斬りかかってくる[W:ソードビー]の攻撃を大盾でいなす。


[アンカーシールド]は持続時間中、ノックバックを無効化するスキルだ。


 ステータスが上がる訳ではないので、攻撃をいなせるかどうかは自身の技量と装備にかかってくるが、[W:ソードビー]程度の相手ならば現状の装備でも問題なく耐えられるようだ。


 大盾で防いでも僅かに入るダメージは、事前にかけられているリリカの[リジェネレイトレイン]の持続回復によって打ち消される。


「[スターフォール]! っとぉおお!?」


 ノアに視線を釘付けにされている[W:ソードビー]の横っ腹に、久我が高倍率の飛び上がりからの一刀両断スキルを放ち、HPバーが一気に2割ほど削れる。


 重奏技巧によってスキルの二重発動していたこと、[剣聖]のスキルの中でも隙が大きい代わりにダメージ倍率が高いスキルだったこともあり、一気にダメージを稼ぐことが出来たが、けれども重奏技巧によって思ったよりも勢いがつきすぎた大剣は、振り降ろしで止まることなく硬い地面に深々と突き刺さった。


「うわ、やべ」


 思ったよりもダメージが出すぎたことで[W:ソードビー]のターゲットが久我に移るが、武器は地面に刺さったままで、さらには体勢を崩したままだ。


「止めるでござる! [紫電][月食:影結い]!」


「スタン? いいね。[ソーンバインド]!」


 そこにニンジャとリリカの支援が入り、黒い影と茨の蔦に絡め取られた[W:ソードビー]の体躯がその場に縫い付けられる。


 ニンジャが放った[紫電]は、超速で斬り抜けながら、相手に1秒間のスタンを強制的に付与することが出来るスキルだ。


 1秒というと短い時間に感じるかもしれないが、ほとんどの耐性を貫通してスタンを取ることが出来るので、かなり使い勝手が良いスキルだ。


「いい支援です。[アンカーチェイン]!」


 ミニボスとはいえ、やはり通常のレイドボスに比べれば耐性も低くなっている。


 アルガスのように一瞬で拘束が解けることはなく、その隙にノアはクールタイムが上がってきた[アンカーチェイン]で再びターゲットを取る。


「[バンカーストライク]! [スタークラッシュ]!」


 さらにそこからダメージを稼ぎ、がっちりと自分にターゲットを固定する。


 と、そこで拘束が解けて、[W:ソードビー]が両手の剣の連撃を放ち、続けて俄かに紫色を帯びた針がノアに襲い掛かる。


けれどもその全ては大盾によって悉く防がれて、ノア本体には届かない。


「[リカバリー]!」


 毒を付与してきた[W:ソードビー]の毒針も、リリカの反応支援により一瞬で解除される。


 どうやら引継ぎ組というのは伊達ではないようだ。場慣れしているシアに劣るとも勝らない反応支援は、熟練者の安定感を感じさせる。


「よし。悪い悪い」


 剣を地面から引き抜き、久我が戦線に復帰するが、一旦は様子見だ。


 ノアがヘイトを稼ぎ切っていない状況では、攻撃をしてもターゲットを分散させるだけだ。


 もちろん、タゲを取ってしまっても問題ないと言えば問題ないくらいの相手ではあるのだが、あくまで今は最深部のレイドボスに向けた練習段階である。


「ふむ」


 ちらりとダメージログを見たノアは、一瞬だけ思案して、セリアへと向けて指示を出す。


「恐らく一撃かと。よろしくお願いします」


「ん? やってもうてええの?」


「練習は、この後のもう少し歯ごたえのある相手にした方がいいかと」


「せやな。ほな、やってまおか[スペルリーディング]」


「え、一発で消し飛ばせるって、マジ?」


「マジなんだろうなぁ」


 悠姫との決闘の際にセリアが使った[スペルリーディング]は、30秒という短い間、スキルの倍率を1.5倍まで引き上げる代わりに、その後1分間のステータスの低下というピーキーなスキルだ。


「――《愚者は識る。汝に与えられし贖罪。其は浄化の炎となり、罪を負いし者へ裁きを与えん》」


 思念詠唱で幾重にもなぞるようにセリアは詠唱を重ね、


「ついでにデバフ入れとくね。――[デッドリールーン]」


 セリアの魔法が放たれる前に、3秒間の間だけ被ダメージが1.5倍増加する[ハイエルフ]の固有スキルを使い、そして、


「――[イグニスジャベリン]」


 上空に現れた5本の巨大な、炎を纏った槍が一斉に[W:ソードビー]の身体を貫いた。


「ピギィイイイイイイイイイイイイイイ!」


 その痛烈な一撃に、あっという間に[W:ソードビー]のHPは全損し、悲痛な悲鳴をあげながらデータの残滓へと帰って行った。


 戦闘ログを見ると、2本目の[イグニスジャベリン]が刺さった時点で1807814ダメージ×2の3615628ダメージが出てHPがゼロになったようだ。


 つまりまだ[イグニスジャベリン]3本分のダメージの伸びしろは残っているし、何ならHPがフルの状態からでも2匹同時に消し飛ばせるくらいの火力が出ていたというのだから、いかに規格外かということがわかるというものだろう。


「やっべぇな。それ。レイドの取り巻きも消し飛ばす方が早いんじゃないか?」


「いや、さすがにそれは厳しいやろ。今回は一体で終わりやから[リーディングスペル]と5重の多重展開で落とせとったけど、消費MPとクールタイム、[リーディングスペル]での弱体化もあるんやから、再召喚されたら回りきらんで」


「あー、威力に目がいってたけど、そういえばデメリットもあるんだったな」


「だよね。さすがにあの威力を何のデメリットもなしにポンポン撃てるってなったら詐欺だもんね」


「ヘイトの操作も難しいしね。タンクがヘイトを取りきる前に撃ったら、一気に流れちゃうだろうし」


「せやな。それ含め、調整してかなあかんな」


「[スカラベクイーン]はHPが500M程有りますし、もとより長期戦です。今後のミニボスでは、火力を抑えて連携を重視して、試していきましょう」


「はーい」


 そう言うノアの先導の元、セリア達は先に進んでいくのだった。




「ほんまごめんやて」


 ややあって、合流してきた悠姫達を迎えたのは、開口一番にそう言ったセリアの言葉と見事なまでの土下座だった。地面に頭をつけての、ガチの土下座である。


 後ろの面々も、ノアを除いて全員が全員、白々しいまでに顔を逸らして少しバツが悪そうな表情をしていた。


「えっと、なんで?」


 悠姫達よりだいぶ早くついてそうだと思ったものの、別に早く着く分には何も問題はない。


 ユニーククラスの火力職で、セリアとひよりの魔法火力の違いを考えればセリアの方が早くついていることには特に疑問はないのだが、そう疑問に思う悠姫に応えたのは、「はぁ……」とため息をついて言葉を続けたノアだった。


「私から説明いたします。悠姫様。その前に、そちらのパーティの連携はどうでしたか?」 


「え? うん、まあ特に問題点も無く順調だったかな? リーンが昆虫苦手だから、ちょっと消極的だったけど」


「べ、別に、わたくしがDPSを稼いでしまったら連携の訓練にならないと自重しただけですわよ!」


「そうだねー。抑えめの火力にしてくれたおかげで、アリスやアリサも戦闘に参加しやすかったし、戦闘の流れもだいぶわかった感じだしね」


「はい。ゆうねーさま」


「ばっちりだったよね!」


「アリサちゃんはもう少し慎重に動いた方がいいですけどね」


 アサシンであるアリサは、単体に対する火力は中々のものがあるし、背後を取った時のスキル火力は目を見張るものがある。しかしまだ立ち回りに慣れていないのもあれば、直情的な面もあるので、被弾するたびにシアはひやひやしながら回復を飛ばしていたのだ。


「後はアリスもDPSを気にして抑えるところは抑えるようにすれば、ほぼほぼ基本の立ち回りはおっけーってところだね」


「う……はい。気を付けます」


 撃ち始めると我を見失いがちなアリスに軽くだけ注意しはしておく。


 レベルはまだ悠姫達に届かないくらいなのに、銃の性能とガンシューティングで鍛えられた持ち前のプレイヤースキルで高い火力を叩き出しているだけに、止め時を考えなければアリスにタゲが行ってしまい、そこからパーティが崩れてしまう可能性もある。


「それはそれは。……そちらは有意義な戦闘をされたようですね。そちらは」


 悠姫達のやり取りを聞いていたノアの表情には微笑みが湛えられていたが、言葉はそれとは反対にとても冷ややかなニュアンスを多分に含んでいた。


「あー……」


 そんなノアのニュアンスだけで、悠姫は大体のことを察した。


「高DPS職が揃っていたのと、リリカ様の固有スキルの[デッドリールーン]との相性が良すぎたせいで、悪ノリして調子に乗った5人によって、4匹のミニボスは連携の確認をする暇もなく消し炭になりました」


 そう。殊勝な返事をしたと思っていたセリア達だったが、あの後《W:メタルコックローチ》、《W:土星テントウ》、《W:鬼斬りヤンマ》と続く全てのミニボスで、先にDPSのテストをしてみようという名目の元、DPSチェックが開催されてしまった。


 流れ的にはこうだ。


ノアがヘイトを取って固めた瞬間、ニンジャの[紫電]で1秒間のスタンを与え、[二刀抜刀・影結い]とリリカの[ソーンバインド]で拘束し、久我の[ジャッジメントストライク]とニンジャの[二刀抜刀・桜花斬]。リコの[スターフォールレイン]セリアの[スペルリーディング]からの各種魔法といった、大火力を、リリカの[デッドリールーン]で増幅させ3秒以内に叩き込むという、頭の中まで筋肉で出来ているような戦法だ。


 しかし実際の所、火力には申し分なく、楽しくなってしまった5人はノアの制止の声を振り切って全てのミニボスで同じ流れを繰り返し――今に至るという訳だ。


 ノアに汚物を見るような目を向けられて、少し頭をあげていたセリアの頭が再び下がる。


 ニンジャはリーンに怒られた時のように小さくなってしまっているし、リコとリリカは曖昧な笑みを浮かべて『やっちゃったー』って顔をしている。久我に至ってはわざとらしすぎる口笛を吹いて顔を背けていた。


「ま、まあ気持ちはわかるし、連携不足でもなんとかなるように、今回はそっちに取り巻き任せる形にしようかな」


 むしろ話を聞いていて悠姫は、リリカのメインクラスである[ハイエルフ]に興味が湧いて、今度シアの代わりに狩りに誘おうと思いつつ、提案する。


 ペア狩りとかなら、範囲支援に特化したシアよりもかなり狩りやすいのではないだろうか、とシアが聞いたら発狂しそうな事を考えつつ、悠姫は続ける。


「[スカラベクイーン]は取り巻きの[兵隊スカラベ]がヒーラー2、弓2、アタッカー2で召喚されるから、ヒーラー2、アタッカー1を残して処理して貰って後は耐久してもらう感じでいいかな」


「そうですね。何せDPSには自信があるようですし、ヒーラー残しでも倒しきれるでしょう」


「ひぇ……」


 ノアの棘のある言葉と有無を言わせぬ笑みの前に、セリアを含む第二パーティの面々は乾いた笑みを浮かべるしかなかった。


「よ、よーし、それじゃあ装備の最終確認だけして、[スカラベクイーン]の討伐を開始しようかー」


 いつの間にかぴったり引っ付いてきているアリスの頭を撫でながら、悠姫達のパーティとの温度差に背を向けながら、各自最終チェックを進めてゆく。


 それを見たシアが鬼の形相で見ていたが、悠姫は気が付かないふりをしてスルーした。




[スカラベクイ―ン]は、レイドゾーンの中でも最も簡単な部類に入るレイドボスである。


 と言ってもあくまで数あるレイドゾーンの中では簡単だと言うだけで、難易度が低いという訳ではない。


 高いDEFに、素早い動き。取り巻きが居るにも関わらず、本体の動きが早く、立ち位置をしっかりしなければ後衛が範囲スキルに巻き込まれる可能性が高い。


「[ルーンエンチャント]!」


 しかしそれも、ATKをMATKに変換出来る悠姫の前ではDEFの高さは特段問題なく。


[トライエッジ]からの[クルーエルペイン]でしっかりとタゲを取り、短い多腕の攻撃をかわして、[スカラベクイーン]のスキルにはしっかりスキルの重奏技巧を重ねて弾いてゆく。


「キィアアアアアアアアアアアアアア!」


 HPが8割を切り、HPトリガーの範囲スキル[グラウブレイク]のモーションを取ると同時に、悠姫はシアに指示を出す。


「シア! キリエ!」


「はい! ――[キリエエレイソン]!」


「あひぃ!?」


 広範囲攻撃で倍率が高い攻撃の時に、一度だけ物理攻撃を無効化するスキル、[キリエエレイソン]で無効化するが、ギリギリの範囲内に居たニンジャが巻き添えを食って消し飛ばされていた。


「ちょ、ちょ、悠姫ちゃん! ニンジャが巻き込まれたやんけ! しっかりしてや!」


「それはそっちの立ち位置のせいじゃない? 取り巻き担当なんだからしっかりしてよね!」


「くぅー!」


[スカラベクイーン]本体を担当出来ないセリアは臍を噛んで悔しさに耐えるしかない。


 元々レイド戦闘の連携確認を怠った自分のせいとはいえ、メイン戦闘をまかせっきりになるというのは戦闘廃人のセリアからすれば悔しくて仕方ない。


 リリカが隙を見て[リザレクション]でニンジャを起こす。


「アリスー? DPSちょっと抑えてね! リーンはアリサと一緒に動いて!」


「……はっ! は、はい! ゆうねーさま」


「了解ですわ! アリサ!」


「はーい! ゆうおねーちゃん! リーンちゃん!」


「リーンちゃんはやめなさい!」


「えー」


 まだまだ不慣れなアリスとアリサに逐一指示を出しつつ、悠姫は[スカラベクイーン]の攻撃を捌いてゆく。


 アリスは距離を取りながら攻撃出来るのでいいが、アリサは接近しないとダメージを与えられない。なので、リーンと共に行動させることで、立ち位置を覚えさせる作戦だ。


 悠姫にしても、アルガス等と比べると、[スカラベクイーン]の攻撃はリーチ面で避けやすく、攻撃パターンも頭に入っているので、スキルでの相殺も合わせやすい。戦局は今の所だいぶ安定している。


「取り巻きも、ヒーラー2とアタッカー1に固定出来たし、そうなると引き付けるのも楽だねぇ」


「ニンジャさんとリコはあっちの攻撃支援してもいいんじゃない?」


「これは贖罪でござるから……」


 ヒーラーの回復量を超える攻撃で弓とアタッカーの取り巻きを減らせれば、[兵隊スカラベ]はさほど脅威ではない。3匹以下にしなければ取り巻きの再召喚も無いので、引き付け組からすれば後は本体を討伐してくれるのを待つのみだ。


「なーなー、ノア、うちもあっちの攻撃やっても……や、なんでもないわ」


「…………」


 にこりと凄みのある笑みを向けられて、セリアは諸手を挙げて降参する。


「リーン! 残り1割になったら、いい?」


「し、仕方ありませんわね? それまでしっかり耐えるんですわよ!」


「セリアもニンジャも、最後の1割は総攻撃でね!」


 他のフィールドレイドを回っていた時に思ったことだが、現状、リーンの[吸血]からの[ブラッディインストール]が凶悪過ぎる。


 一分間とはいえ、発狂モードに入って攻撃速度や攻撃力が増加したレイドボス相手にしても一方的にステータスの暴力を押し付けることが出来るのだから、フルアタックをかければ溶かせるくらいのHPしかない序盤のレイドボス相手ならば、そのアドバンテージは計り知れない。


 パターン化されてしまえば、レイド戦闘も地味な作業だ。


 しかし腐ってもレイドゾーンのレイドボスである。


 数十分ほどかけてHPを削り、そろそろHPバーが半分になろうかというところで、悠姫が号令を飛ばす。


「HP半分になったら取り巻きが増えるから久我はタウンティング準備! 範囲攻撃はタゲを取り切るまでは停止! シアはタイミングでキリエを!」


「わかりましたユウヒ様!」


「了解! やっと出番だぜ」


「ヘマするんじゃありませんわよ久我!」


「じゃあいくよ! ひよりん!」


「はい! ゆうちゃん! ――[フレアストライク]!」


「キィヤアアアアアア!!」


 合図を送ると同時にひよりが多重展開で3つの[フレアストライク]を発動し、炎に焼かれた[スカラベクイーン]のHPバーが半分のラインを切る。

「――[キリエレレイソン]!」


 削れると同時に、[スカラベクイーン]の周りにアタッカー型二体、弓型二体の[兵隊スカラベ]が魔法陣の中から召喚されて、続けて[スカラベクイーン]に湾曲したツノが生え、そこに雷を溜め始める。


「あれ!?」


 これまでのフィールドレイドではHPが減った時の特殊行動に違いがなかっただけに、完全に油断していた。


「リーン! アリサ! 距離を取って! リコ!」

 そこまで叫んだ瞬間、雷鳴が爆ぜた。


「キィィイギィィィイイイ!!」


 金切り音にも似た[スカラベクイーン]の叫びと共に、ツノから雷が無差別にフィールドを蹂躙する。


「――――ッッ! [レイジングインパクト]!」

 首筋にチリチリとした感覚を覚えて悠姫は中心を起点にして爆発が起こる[レイジングインパクト]を発動する。直後雷光が閃き爆発に阻まれた。


[レイジングインパクト]を選択したのは完全にギャンブルだったが、雷をパリィングなどできる気がしない。


「状況!」


「こっちは全員無事や!」


「わたくしとアリサは無事ですわ! 他は全滅!」


「シアさんにリザかけます!」


 名前を呼ばれた意味を正しく理解してくれていたリコの言葉を聞いて、悠姫は目の前の[スカラベクイーン]に集中する。


 バチバチとツノを帯電させたまま、襲いかかってくる[スカラベクイーン]の攻撃は最初より鋭さを増しているが、まだまだ撃ち合いも回避も出来る速度だ。


「すいませんユウヒ様! お待たせしました! 《深く世界に揺蕩う光のマナよ、傷付いた同胞へと癒しの風を届け、彼の者達へ神の祝福を与え給え!》[セイクリッドアプローズ]!」」


 リコに起こされたシアが、蘇生、回復、バフを同時に行うことが出来る[セイクリッドアプローズ]を発動し、アリスとひよりを復活させて、HPをフルまで回復した上に、各種バフまでかけなおす。


 5分のクールタイムがあるとは言え、咄嗟の立て直しにはかなり有効なスキルだ。


「危ない危ない……シアとアリス、ひよりんは射程に気をつけつつ攻撃! リーンとアリサも、さっきの雷撃がまた来ないとは限らないから距離を取りながらの一撃離脱での削りを優先で! [クルーエルペイン]! [グラビティホライズン]!」


 ヘイトをさらに稼いで[スカラベクイーン]の帯電したツノの振り下ろしを、[ルーンエンチャント]で光を纏った剣で打ち返す。拮抗したツノと刃の間にバチバチと雷光が飛び散り、悠姫のHPを僅かに削る。


「――[アフェクション・ベル]!」


 それを見てすぐにシアは持続回復のスキルを発動させて、ツノとの打ち合いで減るHPをケアする。


「セリア、取り巻きの方は!?」


「こっちは余裕や! 拘束系のスキル使いが2人もおると、かなり余裕あるなぁ」


 増えた取り巻きも一体まで減らせる。既に弓二匹を落としているあたり、ミニボス戦でDPSチェックをしていたのがかなり役に立っているのだろう。


 湧いてタゲを取った瞬間に弓を一匹。その後拘束をかけながらさらに弓を一匹。重奏技巧や多重展開を使っている為、次のスキルのクールタイムまで少し間が空いてしまうが、拘束での引き延ばしも出来るので、アタッカー型の[兵隊スカラベ]二体程度なら問題はない。


「よし。じゃあまた削り始めるよ!」


 雷を纏ったツノが厄介だが、打ち合いの威力だけならば[アルガス=ガンディーヴァ]の方が格段に上だ。


 貫通してくる感電ダメージも、[アフェクション・ベル]の持続回復でなんとかなる。


 突発的に使ってくる広範囲放電スキルで、何度か危うい場面はあったものの、順調に[スカラベクイーン]のHPが2割のラインまで削れる。


「ひよりん! アイシクルバインドとフロストチェインを! ――リーン!」


「わかっていますわ!」


 HP残り一割からリーンの[ブラッディインストール]でタゲとダメージを稼ぐ算段だが、[スカラベクイーン]の発狂モード移行はHP二割からのトリガーである。なので今のうちに[吸血]だけ済ませてしまおうと、悠姫はひよりに拘束の指示を出し、生まれたわずかな時間でリーンに首筋を差し出す。


「い、いきますわよ!」


 時間の余裕が一切ないせいで、半ば抱きつかれるような格好でリーンに血を吸われる。


 痺れるような少しの感覚と共に、悠姫のHPバーが削れる。


「――[ヒール]!」


 即座に飛んできた回復に、ちらりとシアの方に視線を向けると、人を殺せそうなほどの形相でこちらを見ており、悠姫は脳裏に化け猫を想起して苦笑する。


 のも、束の間。


「[ルーンエンチャント]!」


[ルーンエンチャント]が切れる前に再度スキルを使用し、悠姫は拘束が解けてまるで怒り狂ったかのように襲いかかってくる[スカラベクイーン]のツメとツノの波状攻撃を捌いてゆく。


「ギィィィイイイ!!」


 捌かれ続けることに苛立ちを覚えたのか、はたまた打ち合いで微量なダメージが加算されてHPが二割を切ったからなのか、[スカラベクイーン]が奇声を上げ、速度を上げて悠姫にツノで襲いかかる。


「――――」


 しかし悠姫にはその動きが鮮明に、まるでスローモーションに感じられるかのように、見えていた。


 帯電したツノが目前に迫っているにも関わらず、悠姫はそれを一歩前に踏み込んで、薄皮一枚を犠牲にかわす。


「はあああああああ!」


 側から見たら自殺行為にしか見えなかったが、踏み込んだことによって生まれた隙に、[グラビティホライズン]を重奏技巧で叩き込み、その反動を利用してステップで距離を取り、返す刃で[クルーエルペイン]を叩き込む。


「なんっちゅー動きしとんねん! これやから廃人は困るなァ!」


 一部始終を見ていたセリアが感嘆の言葉を叫ぶ。


 INTが高い魔職だけに、悠姫の動きがしっかりと見えていたのだろう。


「リーン以外全員最大火力で攻撃! 第二パーティも余裕ある人は火力出して!」


「よっしゃ! 待っとったで!」


「りょーかい!」


「ござる!」


 アリスの激しい銃撃と、ひよりの多重展開の魔法、背後からのアリサのスキル攻撃。そこに鬱憤が溜まった第二パーティのセリアとニンジャ、リコの火力が合わさり、[スカラベクイーン]のHPが目に見えて削れてゆく。


「――リーン!」


 このペースなら行けると踏んだ悠姫は、リーンに号令を出して決めにかかる。


「これで幕引きですわ! [ブラッディインストール]! ――[ルーンエンチャント]!」


 真紅のオーラが立ち上り、黒い剣が白い光を纏う。


「覚悟なさい!」


 集中砲火を浴びている[スカラベクイーン]に一呼吸で肉薄し、悠姫の隣に並び立つ。


「[スカーレットスクラッチ]! [クリムゾンソード]!」


 そのままステータスにモノを言わせて、ツノを弾くようにスキルを叩き込む。


 僅かにタタラを踏んだ隙を、二人は見逃さない。


「[ドゥームブレイカー]!」


「[シュトゥルムスピア]!」


 同時に放たれたスキルに、体勢を崩していた[スカラベクイーン]の身体が宙に浮く。


 さすがに転倒までは行っていないが、それでも絶好のチャンスタイムだ。


「――リリカ! お願い!」


 組み慣れているリコが、ここが勝負時、と、リリカに指示を飛ばす。


「りょ! ――[デッドリールーン]!」


 [スカラベクイーン]の身体に致命の証が刻まれ、悠姫とリーンがスキルを放つ。


「はああああああああ! [モータルリコレクション]!」


「死になさい! [ルナグロウ]!」


 武器の破壊を代償に、[補正込みSTR]×[武器攻撃力]×[HS補正]のダメージを叩き出す[モータルリコレクション]と、ロードヴァンパイアの最上位スキルであり、実に12000%もの倍率を持つ[ルナグロウ]。


 悠姫も最初は気が付かなかったのだが、VR化前は[モータルリコレクション]の計算式は[補正込みSTR]×[武器攻撃力]だけだったが、VR化と共にHSヒットスピードという概念が生まれ、それによって実質多くのスキルが強化される形となっていた。


 その命を散らせようと輝く武器と共に、スキルの補正で超速化された動きで[スカラベクイーン]の身体を切り裂き、それに追従するように、黒い閃光が閃き[スカラベクイーン]の身体に風穴を開け、HPバーを全損させる。


「ギィィィイイイキィアアアアア!!」


[スカラベクイーン]の断末魔と、わかりやすい死亡演出に、悠姫は癖でログを確認する。


[モータルリコレクション]は26,334,720ダメージ。[ブラッディインストール]の入った状態の[ルナグロウ]は11,786,600ダメージだった。


 さすがに武器の破壊がある分、[モータルリコレクション]の方が火力は高かった。


「欠橋悠姫! また武器を壊してますわね!」


「リーン、ダメージで負けたのが悔しいからってそんな煽らなくても」


「べ、別に悔しがってなんかありませんけど!?」


 嘘だ。悠姫と同じようにログを見て、不満そうに眉を顰めていたのを悠姫は見逃していなかった。


「まーまー、ともあれ、[ワームホール深部]攻略完了やな」


 そんなセリアの言葉と、[スカラベクイーン]が溜め込んだという設定のレイドゾーン踏破報酬の財宝、そして[スカラベクイーン]自体のドロップ品の山の前に、悠姫達の初のレイドゾーン攻略は大成功で幕を閉じたのであった。

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