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第18話 電話


 あたしは机を両手で力一杯叩くと、眉を吊り上げて立ち上がった。


「あーもうっマジで腹立つ! 早く来いっつーの! こうなったら嫌でも学校に来させてやる!」

「え? でも、どうやって?」


 その言葉を聞いて、あたしは片方の手でもう一度机を叩き、瑠夏を睨みつけた。


「電話を使うのよ、電話」


 くるりと後ろを振り返って、時計を確認する。次の授業の始まりまで、あと5分も無い。


「次って数学だよね。サボろ」

「別にいいけど……なんで?」

「説明は後でするわ。……京子も、奈々も、いいよね?」


 あたしが睨みつけると、京子と奈々は渋々頷いた。この2人は真面目だからきっと、“高校入試に響くかも”とか余計な心配をしているんだろう。


「じゃ、行こっか」


 あたしたちは予鈴が鳴る直前に、教室を飛び出した。



***



 学校を離れ、駅にやって来た。公衆電話の並ぶ道を無言で歩いていると、瑠夏が口を尖らせてあたしに詰め寄ってきた。


「ねえ、るぅってば、いい加減教えてよ! 何する気なの?」


 あたしは胸ポケットからテレホンカードを取り出して微笑んだ。


「まぁ、見てなさいよ」


 目の前にあった公衆電話にテレホンカードを差し込み、美衣子の携帯電話の番号を押す。


「イタズラ電話掛けてやろうってわけよ」

「ああ〜……」

「なるほどっ!」


 3人も、楽しそうな顔をして他の公衆電話から電話をかける準備を始めた。

 暫く呼び出し音を聞いていると電話が繋がったが、美衣子は出てこなかった。機械的な女の人の声で、『留守番電話サービスです』という言葉が聞こえる。


「ちっ」


 舌打ちをして、仕方なく発信音を待つ。発信音の後、大きく息を吸い込んで、電話口に向かって大声で叫んだ。


「美衣子! 早く学校来なさいよ。来ないと許さないから。あんたの大好きな雪山先輩にも、危害加えちゃうよぉ?」


 その後も色々な暴言を吹き込み、あたしは乱暴に受話器を置いた。

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